イギリス発のノンアルコールスピリッツを製造する「Seedlip」が、キノコの根である菌糸体を採用したギフト用ボックス・パッケージを開発。生分解できるだけでなく、ハーブを育てられるのも特徴だ。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
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日常生活でサステナビリティを意識するようなり、ただ捨てるだけのギフトボックスやパッケージの存在意義に対して、たくさんの人が疑問を抱いているだろう。個人的には、ECサイトからモノを購入して、自分の手に届くたびに「どうせ捨てるだけだから、そこまで包装しなくてもいいよ」なんて思っている。
そんな大きな課題に目をつけたのが、イギリス発のノンアルコールスピリッツを製造する「Seedlip」。
素材にキノコの根である菌糸体を使用することで課題解決を狙っているのだ。
彼らが開発したのは菌糸体を素材としたギフト用パッケージ……という詳細を明らかにする前に、まずは「Seedlip」の説明から。
彼らは2015年にイギリスで設立されたノンアルコールスピリッツメーカーだ。初めて聞いた人は「でも、スピリッツって蒸留酒のことでしょ?」とツッコみたくなるだろう。自分も最初はそうだった。
「Seedlip」が提供するのは、お酒の場を楽しみたいけどアルコールを取りたくない(もしくは体質的に取れない)人のためのノンアルコール飲料。そう、ちょうどノンアルコールビールのような立ち位置。すでに数年前から欧米では市民権を得ていて、最近になって日本にも徐々に流れが来ているのだ。
ちなみに、彼らは300年以上前の蒸留方法を参考にして、商品開発をおこなったとのこと。
話を元に戻すと……革新的なノンアルコール飲料を製造する「Seedlip」が、革新的なギフト用パッケージをつくったということだ。
キノコの根である菌糸体は、最近、フェイクレザーの原料となったり二酸化炭素の吸収率が高かったりすることから、その有用性が認められ始めている。すでに商品開発を終えている「Seedlip」は流行を先取りしていたとも表現できるだろう。
そんな菌糸体でできたギフト用パッケージは生分解が可能。使い終わったあとでもコンポストできるということだ。
これだけでも十分に優れているのだが、最大の特徴はハーブを植えるプランターとしても使用できる点。ガイドブックも付属されるそうなので、プレゼントを受け取った人はノンアルコールスピリッツだけでなくガーデニングも楽しめるようになる。
すでに話題になっているがモノの過剰包装は、さらに疑問視されていくはず。そうしたなかで、いち早くギフト用パッケージに菌糸体を採用した「Seedlip」は、間違いなくサステナビリティをリードする飲料メーカーとなるだろう。
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