バンドワゴン効果とは、多くの人が支持する物事は、その支持がよりいっそう高くなる現象だ。バンドワゴン効果の具体例と、関連用語を解説する。
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バンドワゴン効果とは、多数の人が支持している物事に対して、よりいっそう支持が高くなる現象である。アメリカの経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタインの提唱が始まりだ。時流に乗る、勝ち馬に乗る、多数を支持するという意味を持つ。
「バンドワゴン」は、パレードの先頭を行く楽隊車のことである。パレードでは楽隊車の後を行列がついていく。その様子から意味が転じ、バンドワゴン効果という言葉が生まれた。
バンドワゴン効果は、大衆の心理を反映した現象だ。「多数が支持しているのならいいものであるはず」と感じ、自分も支持したくなる。背景には、他者との同質化願望が存在している。みんなと同じものがほしい、同じことをしたいという心理が、バンドワゴン効果として作用するのである。
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人が商品を選択・購入するとき、他人の目や流行を気にするのはよくあることだ。いわば外部からの影響を受ける。これを消費の外部性という。消費の外部性は、バンドワゴン効果と密接な関係にある。
例えば、「いま一番売れています」と宣伝されている商品が気になる、「みんながこのお店に来ています」というPRに安心するといった消費者も多い。これは、バンドワゴン効果につながる心理の動きであり、販売戦略としてバンドワゴン効果が用いられるケースだ。
バンドワゴン効果が有効に作用すると、購入者あるいは利用者が増加する可能性がある。マーケティングに限らず、ビジネスシーンにおいて重視するべきテクニックであると言えるだろう。
ただし、バンドワゴン効果はあくまで集客テクニックだ。提供されるサービスの質が悪ければビジネスの成功事例に至ることは難しい。バンドワゴン効果は集客、満足度、アフターフォローを含めたビジネスの全体設計図、その1部分だと捉えるべきである。
次に、バンドワゴン効果が利用された具体的事例について見ていこう。改めて向き合っていくと、バンドワゴン効果が社会の多方面で利用されていることに気付くはずだ。
集客に大きな成果が期待できるバンドワゴン効果は、広告コピーへの利用が適している。例としてオンライン英会話スクールのバナー広告をピックアップする。
該当のスクールは、2種類のバナー広告を作成した。受講環境、費用、画像は両者とも同じものである。しかし一方には「累計○○人突破」と具体的な受講人数を記載し、一方には記載しなかった。
その結果、具体的な数値を記載したバナーは、記載しないバナーよりも2倍のクリック率を獲得した。
SNSにおいても、バンドワゴン効果を確認することができる。InstagramやTwitter、Facebookでは、発信力の強いユーザーをインフルエンサーと呼ぶ。インフルエンサーは数万人単位のフォロワーを有することも少なくない。
そして、「数万人のフォロワーがいるインフルエンサーが言うことだから」「インフルエンサーが取り上げていた商品だから」という理由から、バンドワゴン効果が発生するのだ。
インフルエンサーではなくても突発的に数千、数万の注目を集める発言があれば、やはりバンドワゴン効果が発生する。
選挙活動でも、バンドワゴン効果は力を発揮する。投票前に「圧倒的支持」「最有力候補」のような情報を多く発信した候補者は、多数の支持を集める傾向にある。
webやテレビなどのメディアで優勢として取り上げられた候補者が、バンドワゴン効果で新たな支持者を集めることも少なくない。選挙活動のバンドワゴン効果は、1848年のアメリカ大統領選挙での利用が確認できるほど長い歴史を持っている。
恋愛でもバンドワゴン効果が発生する。人気のある人には、さらに人気が集まる、友達が好意を持っている人を好きになる、注目を集める人を好きになるなど、これも1つのバンドワゴン効果であることは間違いない。
ビジネスや社会的活動以外のフィールドにおいても、バンドワゴンの心理的効果が発揮されるという好例である。
書店でのバンドワゴン効果は、本のディスプレイで行われるケースが多い。平積みになった本を見て、その本がいま売れている、人気を集めている、感じる人は、手に取る可能性が高い。「いま売れています!」といったポップも効果的だ。
ただし、平積みの期間が長いと逆に「売れていないのでは」と思われるケースもある。バンドワゴン効果の力を、より引き出すためには戦略が必要だ。
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バンドワゴン効果と関連する他の心理テクニックも存在する。代表的な3つの効果をピックアップする。
スノッブ効果は、バンドワゴン効果と正反対の効果だ。バンドワゴン効果は「人が持っているものほどほしくなる」といった効果であるが、スノッブ効果は「人と違うものがいい」という効果を持っている。
他者との差異を望む感情が背景にあるため、希少性や限定性のある物品や行動、情報に対して効果を発揮する。
ヴェブレン効果は顕示効果、つまり「見せびらかしたい」という感情が背景にある。「有閑階級の理論」とも言われる。高額な物品やサービスを購入し、顕示することによってステータスを感じる層に効果的である。
わかりやすくステータスを顕示できるものほどヴェブレン効果が高く、ブランド品や高額サービスに関するビジネスで利用されるケースが多い。
アンダードッグ効果は、バンドワゴン効果の対義的効果である。事前に不利な予想や情報を得ることにより、同情や関心を集める。日本では「判官びいき効果」と表現されることもある。
弱い立場、不利な状況にある人を応援したいという感情を誘い、そこで逆転勝利を起こせばカタルシスや感動を呼び起こしやすい。感動的なコマーシャルではアンダードッグ効果を利用しているケースがある。
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