建築設計事務所「Snøhetta」などが参画するプロジェクトによって、消費電力以上の電力をつくるオフィスビル「Powerhouse Telemark」が建設された。太陽光を取り入れ、断熱材を多く使うなど、消費電力を抑える工夫が凝らされている点に注目だ。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
そこで働くことが環境保護につながる──。実現不可能に思えてしまうかもしれないが、私たちの予想を超えるオフィスビルが建設された。
場所はノルウェーのテレマルク。
つねに消費電力以上の電力をつくるという特徴があるのだ。
名前は「Powerhouse Telemark」。建築設計事務所「Snøhetta(スノヘッタ)」などが参画するプロジェクトによって、設計と建設がおこなわれた。
ちなみに、すでに「Powerhouse」シリーズとして3つのビルが完成している。どれも消費電力以上の電力をつくってしまう世界最先端の建築。最低でも60年間は同じ状態を保てるというから驚きだ。
「Powerhouse Telemark」は太陽光パネルを設置し、エネルギーを生成するが、その量が多いわけではない。フォーカスする点を「いかに使わないか?」にして、不可能を可能にしている。
画像を見ていて気づいたかもしれないが、「Powerhouse Telemark」は太陽光を多く取り入れられるデザインとなっている。おかげで人工的な照明を使うシーンが少なくなるのだ。
空気調節についても同じ。三層の断熱材を窓に採用することで暖房の使用頻度が減るように設計されている。厳しい冬を迎えるノルウェーでは、こうした工夫があるかどうかでは大違い。
「Powerhouse Telemark」の消費電力と通常のビルのそれを比べると、はっきりとわかるだろう。
70%も消費電力を削減しているのだ。
「Snøhetta」の共同設立者Kjetil Trædal Thorsen氏は、「Powerhouse」シリーズについて、こう語っている。
「私たちは業界全体で団結することが重要だと考えています。たとえば、『Powerhouse』がサステナビリティに関する業界水準を引き上げ、経済的に、社会的に、そして環境面に影響を与えているように」
日本で建設されるビルに対しても、消費電力以上に電力をつくる特徴は強く求められているはずだ。環境意識が高まっているいま、働きながらも地球に貢献することを求める人が多くなっているのだから。
参照サイト/Snøhetta
https://snohetta.com/projects/523-powerhouse-telemark-a-sustainable-model-for-the-future-of-workspaces
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