“菌活葬”で死後も環境に貢献 オランダで遺体を堆肥化する埋葬法が発明される

オランダのスタートアップ「Loop」が開発製造したのは「生きた棺」。これはキノコの根である菌糸体を原料とし、人間を2〜3年でコンポストできるという特徴がある。死後も地球にいい影響を与えられると表現しても、決して大げさではなさそうだ。

小嶋正太郎

農家 / 編集者

元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。

2020.11.09
EARTH
編集部オリジナル

地球を救うかもしれない… サキュレアクトが出合った「未来を変える原料」と新たな挑戦

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人間を生命の循環の一部に オランダ企業「Loop」が開発した“生きた棺”

いま世界的にキノコが注目されている。正確に言えば、その根である菌糸体なのだが、フェイクレザーの原料になったり二酸化炭素の吸収率が高かったりと、その有用性は非常に高いとされている。

オランダのスタートアップ「Loop(ループ)」もまた、菌糸体を原料としたプロダクトを開発した。

彼らは「生きた棺」を製造しているのだ。

「Loop」のイメージ画像①

そもそも「生きた棺」とは、原料となっている菌糸体が遺体を分解し、土を豊かにし、植物に栄養分を与えることを助ける機能を持っているため、名付けられた名前。この斜め上のアイデアを思いついたのは、オランダのデルフト工科大学の研究室で学ぶBob Hendrikx氏だ。

彼は菌糸体について、こう説明している。

「常に廃棄物を環境にいい栄養分に変えています。毒性のある油やプラスチック、金属に対しても同じ効果を発揮しているのです。たとえば、菌糸体はチェルノブイリやロッテルダムで土壌をきれいにするために使われていて、一部の農家でも土を蘇らせるために使用されています」

深刻化する環境汚染はもちろんのこと、土葬では森林伐採、火葬は大気汚染につながっている状況を変えるべく、Bob Hendrikx氏は「Loop」を創設し、「生きた棺」を開発。

狙いは、本当の意味で「人間も生命の循環の一部に組み込む」ことだ。

人間のコンポストにかかる時間は2〜3年

「Loop」のイメージ画像②

「Loop」のイメージ画像③

「生きた棺」は遺体をコンポストするとも表現できる。

この棺自体は30〜45日でなくなり、遺体は2〜3年で生分解されるとのこと。すべてが自然由来の原料のため地球に害を与える可能性も非常に低いそうだ。

ちなみに、従来の棺では10年〜15年も生分解に時間がかかっていたという。

「生きた棺」を使用する利点は、その時間を短縮できるだけでなく、生分解の途中でさえも周囲の土壌の質が上がり、新たな生命の芽生える機会を提供できること。死後までも地球にいい影響を与えられると表現しても、決して大げさではなさそうだ。

Bob Hendrikx氏は今後の展望を以下のように話している。

「いま、私たちは地球という墓地に住んでいるのです。人間の行動は寄生虫のようで目先のことしか考えていません。生命体を死なせて汚染物質をつくっていますが、それらを生きたままにしたらどうなるでしょう? 呼吸のできる家や成長するTシャツがあることを想像してみてください」

棺だけにではなく他のモノにも生命を授ける──。すべてを生命の循環に組み込むことが大きな野望としてあるようだ。Bob Hendrikx氏の発明には、引き続き注目したい。

参照サイト/Loop
https://www.loop-of-life.com/

※掲載している情報は、2020年11月9日時点のものです。

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