0から1の数字で表されるジニ係数。「所得格差を表す数値」というのは、いったいどういう意味なのだろうか?ジニ係数が示す意味や数値を通じて、私たちが認識すべき問題点を解説する。格差が生じる原因や対策、海外からみた日本の現状にも目を向けてみよう。
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ジニ係数とは、所得格差を示すときによく使われる指標のひとつである。1936年に、イタリアの数理統計学者コッラド・ジニが考案したことから、この名前がつけられた。
ジニ係数の特徴は、手元に統計データさえあれば、簡単に格差の度合いを示せる点だ。誰でも簡単に計算できるため、重宝されている。
では具体的に、ジニ係数を使うと、所得格差はどのように表されるのだろうか?ジニ係数は0から1までの数字で表され、以下のように定義されている。
完全に所得分配ができている(格差がない)状態→0
1つの世帯がすべての所得を独占している(最大の格差が生じている)状態→1
ある時点で0.354であったジニ係数が、また別の時点で0.545に上昇していたとしたら、「所得格差が拡大している」というわけだ。
日本では、厚生労働省が実施している「所得再分配調査」や、総務省統計局による「全国消費実態調査」などで、ジニ係数を発表している。日本の所得格差について知りたいときには、これらの情報をチェックするのがおすすめだ。
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実際に厚生労働省が発表するデータ(※)をチェックしてみると、ジニ係数には「当初所得ジニ係数」と「再分配所得ジニ係数」の2つが存在することがわかる。
※https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je07/07f34120.html
当初所得ジニ係数とは、純粋に前年の所得を対象に計算して求められた数値である。一方で再分配所得ジニ係数とは、社会保障料および税金の控除をおこない、年金や医療、介護などの社会保障給付をくわえた所得から求められる数値を示している。
当初所得ジニ係数と再分配所得ジニ係数を比較してみると、再分配所得ジニ係数のほうが0に近いことがわかるだろう。所得再配分によって格差が是正されている現状を、数値で把握できるのだ。
近年、日本において所得格差の拡大が問題視されている。1999年は0.472であった当初所得のジニ係数は、2017年には0.5594にまで上昇。格差は着実に拡大中だ。
一方で、再分配所得ジニ係数に目を向けてみると、その上昇具合はゆるやかだ。1999年の再分配所得ジニ係数は0.381で、2017年は0.3721。1999年よりも格差が是正されており、所得の再分配がうまく機能していることがわかる。
現代の税制や社会保障制度は、高所得者から低所得者へ所得を再分配する仕組みを採用しているが、格差是正のために、非常に重要な役割をはたしているといえるだろう。
また国際化が進む現代において無視できないのが、世界から見た日本の現状である。以下のデータは、世界各国の2017年のジニ係数をまとめ、高い順にならべたものだ。
南アフリカ 0.62
コスタリカ 0.48
アメリカ合衆国 0.39
イギリス 0.36
日本 0.34
スペイン 0.33
カナダ 0.31
ドイツ 0.29
スウェーデン 0.28
※https://data.oecd.org/inequality/income-inequality.htm
こちらの数値だけを見れば、「日本はアメリカやイギリスよりも所得格差が少ない国」である。しかし現実は、そう楽観視できるものではない。
2016年のデータ(※)によると、日本のジニ係数0.339に対し、先進国の平均は0.297、新興国の平均は0.462であった。日本の所得格差は、「ほとんどの先進国よりも大きい」というのが現状である。
※https://www.oecd.org/tokyo/newsroom/UPDATED%20Japan_JP.pdf
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