IoA(インターネット・オブ・アビリティズ)とは、人間がインターネットにつながり、人の能力(アビリティ)が強化されることを意味する。日本語に訳すと「能力のインターネット」となる。IoAはサステナビリティの分野でも注目されている。IoAの概要やIoTとの違い、将来の展望を紹介する。
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「IoA(Internet of Abilities、インターネット・オブ・アビリティズ)」とは、人間がインターネットにつながり、人の能力(アビリティ)が強化されることを意味する。日本語に訳すと「能力のインターネット」となる。
インターネットを活用することで、人間どうしの能力を結びつけたり、人間の感覚とドローンなどの機械とをつなげたりすることが期待されている。
自分ではない人やもののなかに入って、違うことが仮想体験できるようになるが、これは「ジャックイン」と呼ばれている。
ちなみに、ジャックインという言葉は、ウィリアム・ギブスンのSF小説『ニューロマンサー』から採られている。
IoAは将来的に、人工知能(AI)を駆使して、IoAで人間の能力を大きく拡張させることも期待されている。AIやロボットの力を使い、人間の能力を拡張することは、「人間拡張」と呼ばれている。
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IoAの具体例として、以下のものが挙げられる。
スポーツ選手の背後にドローンを飛ばす。そのドローンにジャックインすることで、テニスのサーブやゴルフのスイングなどを間近で体験できる。
空を飛ぶドローンにジャックインすれば、空を飛ぶ感覚を体験できる。また、アスリートの体にジャックインすれば、自分が体験したことのない、より激しいスポーツ体験が可能になる。
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IoAと近い言葉に、「IoT」がある。IoT(Internet of Things、もののインターネット)とは、さまざまな「もの」がインターネットに接続し、情報交換して相互に制御しあう仕組みである。家電やスマホ、時計、工場のコンベアなど、さまざまなものにセンサーを取り付け、そのセンサーが拾う情報をネットワークを介して集約し、整理・解析して役立てる。
IoTの活用事例としては、製造業における製造の効率化や熟練工の持つ技術の可視化、農業における農作物の状態監視などが挙げられる。
IoTがものをインターネットにつなげる仕組みなのに対して、IoAは人の持つ能力をインターネットにつなげる仕組みである。人の能力をネットワークで結びつけ、AIなどを活用して能力を高めることが可能になるIoAは、IoTが一歩進んだ概念だと考えることもできる。
また、IoAやIoTと似た言葉に、以下のものがある。
IoC(Internet of Customer、顧客のインターネット)
IoCとは、顧客の課題を解決することを意識して、IoTを活用する概念である。IoTデバイスから得られる膨大なデータを分析し、機械の不良箇所の可視化や営業活動の効率化など、顧客の課題解決に結びつけようとする取り組みがIoCである。
IoE(Internet of Everything、すべてのインターネット)
IoEとは、ものだけでなく、人やことがすべてインターネットでつながっていることである。IoEの代表的な事例として、スペイン・バルセロナ市の市役所が挙げられる。バルセロナ市役所では市役所機能をバーチャル化しており、公共データを一元化してネット上で市民に提供しているため、バルセロナ市民は自宅で行政サービスを受けられる。
IoTは、すでに日常生活や私たちの暮らしに浸透しつつある。IoTをもっとも活用している産業が製造業だ。これまで人の持つ経験や技術に依存していた分野で、生産管理の効率化や、専門的な技能の伝承などにIoTが活用されている。
また、サステナブルの分野でもIoTの利用が期待されている。例えば、工場のエネルギー使用量やCO2の排出量を見える化することで、使用電力を抑制したり、排出ガスを減らしたりすることに繋げられる。
一方、IoAは未来の技術と思われがちだが、現時点で一部実用化されている。例えば、空港や配送業、農作業などで利用されるパワードスーツは、IoAを駆使した技術である。
また、サステナブルの点から考えると、世界各国の観光名所にドローンを配置し、ドローンにジャックインすれば、家にいながらにして観光旅行を味わえるなど、CO2抑制につなげられる可能性がある。
IoTやIoAは、私たちの暮らしを大きく変える可能性がある。これからも動向に注目したいところだ。
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