デンマークとノルウェー、スウェーデンの3カ国にある高速道路に、今後5年で48の充電ステーションを開設するという取り組みを紹介しよう。デンマークの建築設計事務所「Cobe」は、既存のガソリンスタンドと区別することで、EVの運転体験を変えようとしている。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
少しでも地球にやさしい取り組みを実施するためにと、たくさんの企業がさまざまな工夫を凝らしている。この記事のテーマとなるEVと充電ステーションに焦点を当てれば、割引きや電気の提供などを行うことで、ガソリン車からEVに乗り換えるハードルを低くしている。
デンマーク・コペンハーゲンに拠点をおく建築設計事務所「Cobe」は、EVのための充電ステーションをデザインすることにした。
彼らは体験を変えることに力を入れている。同じような建築が増えれば、きっとEVへと乗り換える人の数も多くなるだろう。
プロジェクトの名前は「Ultra-Fast Charging Stations for Electric Cars」。今後5年で、デンマークとノルウェー、スウェーデンの3カ国にある高速道路に、48の充電ステーションを開設するという取り組みだ(すでに2箇所は開設済み)。
先ども触れた通り、彼らが力を入れているのは体験づくり。「Cobe」の創設者兼建築家Dan Stubbergaard氏は、このように語っている。
「電動自動車は未来のあり方のひとつです。私たちのデザインで、EVを運転する人に癒しを提供し、心の充電もする機会をつくりたいと考えました。エネルギーもテクノロジーも環境にやさしいので、コンセプトと建築、それを支えるものにも同じような要素を反映させることにしました。そのため、私たちはサステナブルなもので構成された充電ステーションと、高速道路でさえも木々や植物が豊かで静かで落ち着いた空間になるようにデザインしました」
そんな想いが込められたのが、以下で紹介する充電ステーションだ。
ガソリンスタンドとは異なり、生命を感じられるのが特徴のひとつだろう。充電ステーションの大部分が木材でつくられていて、なかには植物も植えられている。騒音や大気汚染とはかけ離れた場所にしたかった、という考えが反映されているようだ。
建築はモジュール式を採用しており、その土地にあった大きさに調整することが可能。もしも解体することになっても、リサイクルができて、十分に環境に配慮しているといえるだろう。
ちなみに、1台の充電にかかる時間は約15分。ガソリンを入れるのに比べて時間がかかるとはいえ、こうした場所ならば、心も落ち着かせられるに違いない。
近い将来、EVへと乗り換える人数も充電ステーションの数も確実に増えることを考えると、「Cobe」がデザインしたそれは世界をリードする建築になるだろう。高速道路でこの充電ステーションを横目にしたら、きっとEVに乗りたくなるはずだ。
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