道端に落ちている草木が家具の素材として生まれ変わるーー。トルコのデザインスタジオ「Ottan Studio」では、収集したごみをアップサイクルし、デザイン性の高いインテリアを製造・販売している注目のスタートアップだ。デスクや照明などを中心に豊富なラインアップを取り揃えている。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
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身の回りから出たごみをコンポストする──。数年前までは環境意識の高い人しかやっていなかった行為だが、ここ最近になって、かなり多くの人が実践していると耳にするようになった。サステナビリティへの関心がアップデートされてきた証拠のひとつだろう。
2017年に創業されたトルコのスタートアップ「Ottan Studio」は、その一歩先をゆく存在だ。彼らは廃棄される食糧をアップサイクルして、家具をつくりだしている。
Ayşe Yılmazさんを中心に5人のチームで創業した「Ottan Studio」は、サステナビリティとデザインをかけ合わせることを強みとするスタートアップだ。木材や石材などに代わる持続可能性のある素材はないのか? という大きな疑問から、研究と開発を重ねているという。
彼らが高いポテンシャルを見出したのが、廃棄される食糧や道端に落ちている草木。いまのところ、使い道もなく捨てられるごみだから──。
「Ottan Studio」はそれらを洗浄し、乾燥させ、粉砕し、樹脂を混ぜることで、新たな素材を生み出している。ごみの収集は、地元の小売業者や生産者、自治体などにも協力してもらっているそうだ。
最大の特徴は、リサイクルにとどまるのではなくインテリアをつくり、アップサイクルを手がけている点だろう。オレンジ、レモン、ザクロ、グレープフルーツ、キウイ、トウガラシ、米、豆、玉ねぎ、キャベツ、ヤシの葉、落ち葉……ありとあらゆるものが「Ottan Studio」の製造販売する家具の土台となっている。
しかも人工的に着色をするのではなく、自然由来の色合いのまま販売しているのも忘れてはいけない。どこまでも環境のことを考えているデザインスタジオだ。
また、商品をひとつ売り上げるごとに1本植樹しているという。公式ウェブサイトではSDGsの目標9、12、13、15に取り組んでいると明言しているので、企業が果たすべき責任のひとつと考えているのかもしれない。
現在のラインアップは、デスクや照明など。ゆくゆくは自動車の装飾として採用されることも狙っているそうだ。
ごみとして扱われていた廃棄される食糧や落ちている草木に可能性を見出し、新たな命を生み出し、環境に貢献する「Ottan Studio」は、もっともサステナブルな企業のひとつだろう。
今後、彼らがどのような画期的なアイデアを世に送り出すのか、引き続き注目だ。
参照元/OTTAN STUDIO
https://www.ottanstudio.com/
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