学校給食で「豆」が週1回必須に 英政府が10年以上ぶりに新基準

豆料理

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英国政府が学校給食の基準を10年以上ぶりに見直した。豆類を主菜の選択肢として週1回以上出すことが義務づけられ、エンドウ豆ミルクなどの代替品もおやつとして認められる。実施は議会の承認を経て2027年9月からの予定。子どもの食を健康と気候から見直す動きは、食卓にヒントをくれそうだ。

Naoko Tsutsumi

エディター/ライター

兵庫県出身。情報誌、カルチャー誌、機内誌など幅広いジャンルの媒体の編集に携わる。コロナ禍にシンガポールへ移住。「住む」と「旅」の視点の違いに興味を持ち、地域の文化の違いを楽しんでいる。

2026.10.07

少なくとも週1回、豆類が主菜に並ぶ新ルール

英国の学校給食基準は、国が定める全国共通のルールだ。今回の改訂は10年以上ぶりで、議会の承認を経て2027年9月から各校に適用される予定。

最大の変更点が、豆類の位置づけだ。インゲン豆やレンズ豆、ひよこ豆などの豆類を、主菜の選択肢として少なくとも週1回は提供しなければならない。中等学校には1年間の移行期間が設けられ、その間は2週間に1回でよいとされている。

これまでの基準では、毎日タンパク質源を出すことに加え、特定のタンパク質を週3日以上提供することが求められてきた。新基準では、後者の枠に豆類も数えられるようになったことで、健康的な植物性タンパク質をより選べるようになった。また、週3日はベジタリアン向けの主菜のうち1品に豆類を使うという既存の要件も継続している。

なお、英国の国民食であるベイクドビーンズ(白インゲン豆をトマトソースで煮込んだ料理)はタンパク質のグループには含まれるものの、豆類とは別扱いで、野菜としても数えられない。この料理はきっと子どもたちにも人気だろうが、残念ながら“ヘルシーな豆類”には含まれなかった。

加工肉は週1回まで、飲み物の選択肢も広がる

食事のバランスを整える項目はほかにも並ぶ。すべての主菜に野菜かサラダを添える。ソーセージやハム、ベーコン、ハンバーガーなどの加工肉は週1回まで、チーズを主材料にした料理は週2回までとする。砂糖を多く含む食品や飲料の制限は強まり、油で揚げた食品は全面的に禁止される。

さらに、飲み物にも変化がある。フレーバーなしの無糖オーツミルクと豆乳に加え、栄養を強化したエンドウ豆ミルクが選択肢に入った。栄養要件を満たすヨーグルトや植物性の代替品も、おやつとして認められる。乳製品を避けたい子どもにとっても、選択肢が広がる内容と言えるだろう。

長年、ジャンクフードの制限や食育の重要性、給食の改善を訴えてきたイギリス出身の国民的シェフのジェイミー・オリバー氏も、最新の科学に基づく基準だと歓迎した。

背景にある食物繊維不足と、家庭へのヒント

英国政府の資料によると、食物繊維が足りていない子どもは9割を超え、飽和脂肪酸の摂取が推奨量を上回る子どもは8割を超えるという。今回の基準は、こうした食の偏りを給食から整える狙いから。食物繊維を豊富に含む豆類が前面に打ち出された理由も、ここにあると言えるだろう。

2025年12月に英国の調査会社YouGov(ユーガブ)が約2000人に行った世論調査では、英国人の10人に7人が、学校給食で植物性食品の割合を増やす政策を支持していた。また、協議期間中には市民団体「Plant-Based Schools(プラントベース・スクールズ)」のキャンペーンを通じ、政府の意見募集には2270件超の回答が寄せられ、植物性メニューをより柔軟に出せるよう求める声が集まった。

政府は、植物性の選択肢が基準全体に盛り込まれたと説明しており、今後、豆を使った身近な料理の例や、アレルギー、宗教上の食事制限、ベジタリアン、ビーガンへの対応の考え方を示すガイダンスも公表する予定だ。

この動きは無料給食の拡大とも重なる。イングランドでは2026年9月から、低所得世帯などが受ける給付制度「ユニバーサル・クレジット」の受給世帯すべてに、無料給食の対象が広がった。これにより無料給食の対象となる子どもは300万人を超えた。より多くの子どもが給食を食べる以上、その中身は社会全体の健康や環境に直結することになる。

食事の変化は、給食だけの話ではない。英国のNGOであるFoodrise(フードライズ)は、豆類などの植物性タンパク質は肉より安いことが多いと指摘している。

幸運にも日本には大豆や小豆などの豆類を煮たり、炒ったり、醸したり。伝統的なメニューがたくさんある。まずは週1回、カレーやスープ、サラダの主役を豆にしてみるのはどうだろう。子どもの食をきっかけに、私たち自身の「タンパク質の選び方」も見直してみたい。

※掲載している情報は、2026年10月7日時点のものです。

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