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英ロンドンの科学者らが、世界初とされる完全生分解性パーティーバルーン「バイオローン」を発表した。通常の風船は分解に何年もかかり、有害な化学物質を放出する恐れがあるというが、この新素材は約9か月で生分解される。楽しさと環境配慮を両立したいという、小さな思いが未来を動かした。

Naoko Tsutsumi
エディター/ライター
兵庫県出身。情報誌、カルチャー誌、機内誌など幅広いジャンルの媒体の編集に携わる。コロナ禍にシンガポールへ移住。「住む」と「旅」の視点の違いに興味を持ち、地域の文化の違いを楽しんでいる。
2019年に発表された研究によると、絶滅危惧種のミズナギドリ目は海洋ごみの誤食が非常に多く、誤食のなかでも最も死のリスクが高いのが、風船のごみだった。
調査の結果、硬質プラスチックを飲み込んだ場合と比べて、風船を飲み込んだ場合のほうが死亡する可能性が32倍高いという。海洋ごみとなる風船は、野生生物へ危険を及ぼす恐れがあるとして、風船を空に放つことを禁止する国や地域も少なくない。
一方で、インフルエンサーや有名人が開催するパーティーに触発されてか、近年は写真映えする「バルーンアーチ」の人気が高まっているという。高級パーティー企画会社を営むシャーロット・メリア氏は、「私たちはつい先日大規模なイベントを開催したばかりで、私は何千個もの割れた風船に囲まれていたことに気づいた」と振り返る。
風船による海洋生物へのごみの影響を考えたとき、何か行動を起こさずにはいられなかった——これが、メリア氏が行動を起こすきっかけとなった。
メリア氏によると、これまで「100%生分解性」と表示されている風船でさえ、実際には完全に分解されることはほとんどなかったという。
だが、メリア氏が運営するイベント会社が出資した、ロンドンの科学者チームは、世界初とされる完全生分解性のパーティー用風船「Bioloon(バイオローン)」を開発した。
共同発明者でインペリアル・カレッジの博士課程研究員のジュリアナ・カミング氏は、「天然ゴムでつくられた通常の風船には、強度と伸縮性を高めるための処理が施されている」と説明する。この処理で使われる促進剤や活性剤などには重金属塩やニトロソアミンが含まれることが多く、風船が分解する際に有害な化学物質を環境に放出する可能性があるのだ。
それに対して、バイオローンは同じゴム素材を原料としながら、有害な添加物を使わずにポリマー鎖を結合させる新製法を採用。およそ9ヶ月で生分解されるという。標準的な風船と比べても価格は上がらず、膨らませるのも簡単。チームはこの製品を2年以内に販売することを目指しているという。
メリア氏はこの素材の汎用性に大きな期待を寄せている。将来的には、手術用手袋、家庭用手袋、ラテックス製の衣類、コンドームなど、日用品や医療製品の開発に着手することを視野に入れている。パーティーシーンから、暮らしや医療現場を支える素材へと可能性が広がっている。
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