2019年、バージニア州の4つのビーチで発見されたごみを調査。もっとも頻繁に発見されたプラスチックごみは、ボトルキャップと風船であることが発見された。先日同州にて、風船を放つことを禁止する法律が可決された。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
不必要なプラスチック汚染から野生動物を守るため、アメリカ・バージニア州にて風船を空に放つことを禁止する法律が可決された。風船を飛ばした大人は、1つにつき25ドルの罰金、大人がこどもに指示して風船を飛ばした場合は、その大人が罰金を受け取ることになる。
バージニア州が面する大西洋岸には豊富な海洋生物が繁殖しており、9種の海鳥のほか、絶滅危惧種に指定された5種のカメも生息する。
2019年には、バージニア水族館・海洋科学センターとロングウッド大学の研究者が、バージニア州の4つのビーチで発見されたごみを調査。もっとも頻繁に発見されたプラスチックごみは、ボトルキャップと風船だったという。
バージニア州沿岸地帯管理プログラムのローラ・マッケイ氏は当時、次のように述べている。「比較的アクセスの悪いビーチにもかかわらず、0.2から0.4エーカーという小さな調査エリア4つで、15000個以上の破片が見つかりました。そのうち、80%以上がプラスチック製でした」
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世界自然保護基金によると、風船が海洋生物にとってとくに危険なのは、動物が餌として認識してしまうからだ。というのも、破裂して海に浮かんだ風船は、クラゲや海草の一部に見えるらしい。
バージニア州にとって、風船を規制するのは初めてではない。既存の法律では、1時間に50個以上の風船を意図的に放すことが禁じられている。
他にもカリフォルニア州、フロリダ州、テネシー州、コネチカット州でも風船の放流を法的に制限しており、ニューヨーク州のサザンプトンではヘリウムガスをつかった風船の放流を禁止している。
昨今はより"環境に配慮した風船"として、生分解性プラスチックでできた風船も多く発売されている。しかし、それは海洋生物にとって普通のプラスチックと何ら変わらない。
なぜなら、生分解性プラスチックが分解されるには土壌中の温度や微生物などの環境が必要不可欠だからだ。海のなかでは普通のプラスチックより早く分解されることは少ないため、結局誤食するリスクが減るわけではないのだ。
とはいえ、そんなことを知らなくても、空高く飛んでいった風船の行方は少し想像力をはたらかせればわかることではないだろうか。環境を守るためには、一つひとつのアクションの結果を考える力が大事なのかもしれない。
参照リンク/Virginia's Legislative Information System
https://lis.virginia.gov/cgi-bin/legp604.exe?212+ful+CHAP0420
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