干ばつでも青々とした緑を維持 イギリスの「リワイルディング」に見る自然の力

川の空中写真

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自然を再生し、生態系を維持することは、私たちの暮らしにどのような恩恵をもたらすのだろうか。2026年夏、熱波と深刻な雨不足に見舞われたイギリスで、「リワイルディング(再野生化)」の取り組みを行った地域で、自然の力を気候変動への備えに生かす可能性が見えてきた。

Kojiro Nishida

ライター

イギリス、イースト・ミッドランズ地方在住。出版社で雑誌編集に携わったのちフリーランスに。ガーデニングとバードウォッチングが趣味。

2026.09.09
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記録的な干ばつがもたらした発見

乾燥した土地

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今年の夏、度重なる熱波と深刻な雨不足に見舞われたイギリス。ロンドンのヒースローでは、8週間にわたり観測可能な降雨がなく、イングランド各地で庭の水やりなどに使うホースの使用が制限されるなど、人々の暮らしにも影響が広がった。農業への影響も深刻で、牧草が育たず、冬用の飼料を前倒しで家畜に与えざるを得なくなった農家もあるほどだ。

街の公園や、ふだんは緑豊かな田園風景が、干ばつの影響で黄褐色に姿を変えるなか、緑を保っていた場所がある。イングランド南西部サマセットの「ホルニコート・エステート」で、川や湿地の再生が進められていた土地だ。

ここで行われているのは、「リワイルディング(再野生化)」と呼ばれる取り組み。開発など人の活動によって損なわれた生態系を再生し、自然が自ら回復していく力を取り戻すことを目指している。

ホルニコート・エステートでは、川と周囲の土地のつながりを回復させるための工事や、湿地の再生、ビーバーの再導入などがこれまで行われてきた。エステートの管理団体「ナショナル・トラスト」によると、2026年8月、暑さと雨不足が続くなかでも、再生した川や湿地では豊かな緑が保たれていたという。

水を「蓄える」土地づくり

川

Photo by Rijk van de Kaa on Unsplash

ホルニコート・エステートで緑が保たれた鍵は、水をできるだけ早く排出するのではなく、土地に蓄えられるようにしたことにある。

ナショナル・トラストによると、イギリスでは過去100年間に湿地の9割以上が失われている。同国では従来、湿地の水を抜き、川を直線化するなどして、水をできるだけ早く土地から排出してきた。ホルニコート・エステートでは、その発想を転換。直線化されていた川に自然な流れを取り戻し、周囲の土地にも水が広がるようにすることで、水を蓄えられる環境を再生したという。

再生した湿地は、いわば「天然のスポンジ」のような役割を果たす。水を蓄え、ゆっくりと放出することで、2026年の夏のように雨の少ない時期には、水辺の環境を維持することが可能になる。一方、嵐や豪雨の際には、水が一気に流れ出すのを抑え、下流に位置する村々の洪水リスクを軽減する働きも期待される。

2026年の夏は、各地で山火事も相次いだイギリス。ナショナル・トラストが管理する土地でも山火事の被害が出ており、同団体は、自然を社会に欠かせないインフラとして捉え、気候変動への備えに投資するよう政府に求めている。

洪水を防ぎ水を保持する 世界で広がる「スポンジシティ」構想

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※掲載している情報は、2026年9月9日時点のものです。

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