Photo by John Cameron
フランス南西部のワイン産地・ボルドーでは、気候変動で気温が上昇しブドウの成熟が早まり、ワインの味わいにも変化が生じている。伝統あるワインの個性を守るため、産地では栽培方法や品種の見直しが進められている。

natsumi_kawaide
ライター
フランスのパリに滞在中、ライターとして欧州の旅行見本市や日本文化イベントを取材。帰国後は旅行情報誌の編集に携わり、現在はフリーランスのライターとして活動している。

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世界的なワイン産地として知られるフランス・ボルドー。現在この地域では、気候変動による気温上昇が長年受け継がれてきたワインづくりに影響を与えている。
かつては、冷涼な年にブドウが十分成熟しないことが課題となることもあった。しかし現在は温暖化の進行により、一部の主要品種が従来よりも早く、過度に成熟することが新たな問題となっている。ブドウの生育時期が早まることで、春先に芽が出た後に霜が降ってしまい、芽が傷むリスクも生じている。
とくに影響を受けているのが、ボルドーの主要品種の一つであるメルローだ。気温上昇によってブドウの糖分が増加し、収穫時の潜在アルコール度数が従来より高くなることもあるという。その結果、ボルドーワインが持つフレッシュさや繊細さ、複雑な香りを維持することが難しくなってきている。
こうした変化に対応するため、ボルドーの生産者は、ブドウ品種の選び方、育て方、畑全体の環境という三つの側面から対策を進めている。
一つ目は、使用するブドウ品種やワインの配合を見直す取り組みだ。新たな品種を試したり、複数品種を組み合わせる割合を調整したりすることで、気温上昇によって変わるブドウの成熟状態に対応しながら、従来のワインのスタイルを保とうとしている。また、ブドウの房の数を調整する方法も検討されているという。
二つ目は、ブドウの根や果実を守るための栽培方法の工夫である。一部の生産者は秋に植え付けを増やし、冬の剪定期間を長くすることで、根の定着を促している。葉や枝の管理方法も見直し、ブドウの房が強い日光にさらされる量を抑える対策を取り入れている。
三つ目は、ブドウの木だけでなく、畑全体を一つの生態系として捉える考え方だ。ブドウの木の間にカバークロップ(被覆植物)を植えて土壌を覆うほか、生け垣や花、果樹を取り入れ、生き物が移動しやすい環境や多様な昆虫が生息できる畑づくりを進めている。これによって、気温上昇に適応する生物多様性を高めようとしているのだ。
気候変動は、ワイン産地・ボルドーに新たな課題を突きつけている。こうした困難に直面しながらも、伝統的なワインづくりを守るだけではなく、品種や栽培方法、畑全体の環境を見直すなど、多面的な取り組みから環境の変化への適応を進めている。
このような取り組みが、気候変動が続く現代のワイン産地の新たなモデルとなるのか、今後の広がりにも注目したい。
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