欧州で「古いダムの撤去」が過去最多 生態系回復・河川再生の動きが広がる

ダム

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かつて人々の暮らしや産業を支えてきたダムや堰(せき)が、役目を終えたあとも川の流れを分断し、生態系に負荷をかけている。こうした障害物を撤去し、水辺の生物が自由に移動できる川を取り戻す動きが、ヨーロッパを中心に世界で広がっている。

Kojiro Nishida

編集者・ライター

イギリス、イースト・ミッドランズ地方在住。東京の出版社で雑誌編集に携わったのちフリーランスに。ガーデニングとバードウォッチングが趣味。

2026.06.22

「EU自然再生法」の目標実現を目指す

川

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世界各地でいま、役目を終えたダムや堰(せき)を撤去し、魚や水辺の生物が自由に行き来できる河川を取り戻す動きが広がっている。堰とは、川の水をせき止め、農業用水の確保や水位の調整などに使われる構造物のこと。

とくにこの動きが強まっているのがヨーロッパだ。2025年には、ダムや堰をはじめ、水路を地下に通すための暗渠(あんきょ)、水量を調整する水門を含む、602もの河川の障害物が撤去された。件数は前年から11%増加し、過去最多となった。これによって再び流れがつながった河川の長さは、3,740kmにのぼる。

ヨーロッパでのこの動きを後押ししているのが、2024年に施行された「EU自然再生法」だ。同法では、2030年までにEU域内で少なくとも2万5000kmの河川を「自然に流れる川」へ回復させることを目標として掲げている。

EU「自然再生法」が成立 2030年までに海・陸域の20%を再生へ

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「ダム・リムーバブル・ヨーロッパ」という環境保護運動組織の報告書によると、2025年に撤去された数がもっとも多かったのはスウェーデンの173件。次いでフィンランドが143件、スペインが109件だった。また、アイスランドと北マケドニアでは初めての撤去が行われた。

ノルウェーでは、ヴィンストラ川にあった高さ6mのダムが爆破によって撤去されるなど大規模なものもあるが、2025年に取り除かれた障害物の4分の3以上は、高さ2m
未満の小規模なものだった。そのうちの多くは、すでに当初の役割を果たしておらず、比較的安価かつ容易に撤去ができたという。

川の生態系を取り戻す 一方で懸念点も

川魚

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ヨーロッパでは1970年以降、淡水性回遊魚の個体数が75%減少しており、河川を分断する障害物がその一因になったと考えられている。

川を自然な状態に戻すことは、魚をはじめとする水辺の生物の回復に役立つ。しかし、外来種の広がりを加速させてしまうリスクもある。クイーンズ大学ベルファストの生物学者、エレン・ドラン氏は次のように指摘する。

「(川の)つながりが回復すると、短期的には改善が見られる一方で、外来種などのストレス要因がやがて蓄積し、長期的な保全効果を損なう可能性もあります。こうしたリスクは、十分な準備やモニタリング、そして長期管理を行うことで抑えることができます」

使われなくなったダムを取り除く動きはヨーロッパ以外でも広がっており、アメリカでは2025年に100基のダムが撤去され、中国でも近年、保全活動の一環として、長江流域で数百基のダムが撤去されている。

※参考
Record number of dams dismantled in Europe in effort to help wildlife thrive|The Guardian
Dam Removal Progress 2025|Dam Removal Europe

※掲載している情報は、2026年6月22日時点のものです。

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