Photo by Jakob Owens on Unsplash
アメリカのイリノイ州では、環境に配慮した映画およびテレビ制作を行った場合、税金控除を受けられる制度がスタートした。映画によるビジネスが記録的なペースで成長を続けているイリノイ州で決定された、全米初の試みだ。

Ouchi_Seiko
ライター
フランス在住。美容職を経て2019年よりライターに。居住地フランスのサステナブルな暮らしを手本に、地球と人にやさしい読みものを発信。
2026年4月、アメリカ・イリノイ州のJB・プリツカー知事は、環境に配慮した映画・テレビ制作を促進するため、新たな税制優遇措置を導入すると発表した。
この制度は、「認定グリーン・プロダクション」の条件を満たす作品に対して、5%の税金控除を適用するというもの。評価を行うのは、イリノイ州商務経済機会局(DCEO)のイリノイ・フィルムオフィスだ。このような制度を導入する州は、全米で初となる。
イリノイ・フィルムオフィス副局長のピーター・ホーリー氏は、「映画業界において、私が以前から気にしていたのは廃棄物です」と述べており、「食品廃棄、紙やプラスチックの廃棄、燃料の浪費は常に問題でした」と語っている。
さらに、ホーリー氏によれば、この優遇措置で奨励される持続可能性施策を導入した場合、制作コストは1〜3%ほど増加する可能性があるものの、5%の税金控除によって相殺できるという。
「認定グリーン・プロダクション」と判断されるには、制作会社が認定済みのサステナビリティ関連企業を起用し、イリノイ・フィルムオフィスによる撮影現場の視察を受ける必要がある。さらに制作会社は、撮影完了後30日以内に、持続可能性スコアシートや炭素排出量などに関する報告書を提出しなければならない。
評価対象となる取り組みの例としては、廃棄物の削減、効率的な輸送や機材利用による排出削減、適切な資材利用、責任ある食品運用などが挙げられる。
この制度は、イリノイ州のクリーンエネルギー分野や、グリーン関連産業の成長を促進することも期待されているという。制作会社が対応をすすめることで、バッテリーシステム、太陽光発電トレーラー、再生可能エネルギー関連設備といったインフラへの需要が高まるためだ。その結果として、州全体で新たな高賃金雇用が創出される可能性がある。
Photo by Acool rocket
イリノイ州の映画業界は、記録的なペースで成長を続けている。2025年の映画制作関連の消費額が過去最高の7億300万ドルに達し、推定1万8,000人の雇用を支えた。さらに、こうした動きは、地元のケータリング業者、ホテル、ドライバーなど、州内各地の事業者にも経済効果をもたらしているという。
また、制作現場でのより直接的な変化も見込まれている。たとえば、紙の脚本からデジタルタブレットへの移行、使い捨てペットボトルから給水ステーション設置、そしてディーゼル燃料への依存を減らし、よりクリーンなエネルギー代替手段へ移行するといった動きだ。
このような成長を背景に、イリノイ州の都市であるシカゴは現在、映画産業で働く人にとって、全米で3番目に魅力的な大都市に位置付けられているという。
イリノイ州は、持続可能な映画作品づくりへのシフトで、経済発展と環境責任が両立することを示す、新たな全米基準を打ち立てようとしている。
※参考
Governor Pritzker Launches First-in-the-Nation Film Production Tax Credit to Incentivize Sustainable Filmmaking|Illinois.GOV
Illinois Unveils Green Tax Credit for Movies and TV Shows|The Hollywood Reporter
ELEMINIST Recommends