農業廃棄物でできた「土に還る発泡スチロール」 英企業が開発

バイオプラスチック

Photo by Carbon Cell

梱包材や断熱材として使われる発泡スチロール。軽くて便利な一方、適切に処理されなければ、自然分解されにくいのに埋立処分されるなど環境負荷が指摘されている。こうした課題に対し、英発スタートアップがプラスチックフリーの発泡素材を開発。プラ依存の現状に一石を投じる。

Naoko Tsutsumi

エディター/ライター

兵庫県出身。情報誌、カルチャー誌、機内誌など幅広いジャンルの媒体の編集に携わる。コロナ禍にシンガポールへ移住。「住む」と「旅」の視点の違いに興味を持ち、地域の文化の違いを楽しんでいる。

2026.04.13

プラスチック依存を断ち切る、農業廃棄物生まれの新素材

素材

Photo by Carbon Cell

イギリス発のスタートアップ、カーボンセル社が開発したのは、プラスチックを使わない発泡体。一見すると真っ黒な発泡スチロールのようだが、似て非なる代物。

農業廃棄物(バイオマス)を熱分解によって炭化させた素材(バイオ炭)だ。断熱性、強度、軽量性を兼ね備え、さらに、さまざまな形状に成形できることから、従来の発泡スチロールと同様に梱包材や建設用断熱材として適した素材といえるだろう。

バイオマスには炭素が含まれ、そのままでは微生物の働きなどによって分解されCO2となって大気中に放出される。だがバイオ炭はその炭素を土壌に閉じ込めることができ、結果として大気中へ放出されるCO2量を減らせる効果が期待できる。

つまり、このバイオマス由来の素材をつくることで、大気中に放出されるCO2を減らすことにつながるのだ。カーボンセル社は、この発泡体1kgあたりで約1kgのCO2のを削減できると推定している。

これは単なる発泡スチロールの代替ではない。温室効果ガスやマイクロプラスチック汚染といった環境危機に対応できる、まったく新しい素材だということがよくわかる。

廃棄物ではなく、循環の一部として機能する設計に

プロダクト

Photo by Carbon Cell

さらに、この新素材に含まれる天然ポリマーは家庭用コンポストで分解され、長い年月をかけて土壌を豊かにする炭素として残る。使用後は廃棄物ではなく、自然界の循環の一部として機能するよう設計されていることにも注目したい。

カーボンセル社のエリザベス・リーCEOは、「吸音パネル、インテリアデザイン、断熱材、自動車用複合材、植木鉢、さらには映画やテレビ、演劇業界などの舞台美術から小道具の開発に至るまで、これまで発泡スチロールが多用されてきたあらゆる分野を想定してバリエーションを準備しています」と話す。

現在、インテリアやプロダクト分野でのプロジェクトが進行中。最初のパイロットプロジェクト向け製品の生産を12月に開始する予定で、発泡スチロールの市場規模を縮小するために、急速に生産規模を拡大したいと考えているという。

発砲スチロールの使用や生産を段階的に廃止する国や地域が出てくるなか、新たな代替素材として注目されそうだ。

※掲載している情報は、2026年4月13日時点のものです。

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