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地球温暖化の主な原因となっているCO2を資源に、服をつくろうという試みが米国のスタートアップで進んでいる。パタゴニア、H&Mなどが素材の試験運用を行っている。

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ハーバード大学医学部出身の双子の女性が、サンフランシスコで立ち上げたRubi Laboratoriesは、CO2を主原料に「セルロース」をつくるシステムの構築を行っている。セルロースは植物細胞の主成分であり、食物繊維のひとつだ。
同社では、酵素を使ってCO2からセルロースをつくる。酵素を含む水溶液にCO2が添加されると、数分以内には白いセルロースが生成されるという。
遺伝子操作された細菌や化学触媒を用いてCO2をセルロースに変換する方法は、他のスタートアップが試みている技術だが、酵素を使っているのが同社の特徴だ。新素材の研究をしていた同社共同創業者でCEOをつとめるニーカ・マシューフ氏が、双子の妹であるレイラ氏と研究を行っていた際、この方法が生まれた。
「あらゆる技術を検討したが、最終的に酵素にたどり着いた」と2人は話している。酵素を活用した産業はあらゆる分野で行われており、非常に低コストで導入できるという。
Rubi Laboratoriesは最近、750万ドルの資金調達を行った。この資金ラウンドにはH&Mグループも参加しており、この資金によって、デモンストレーション規模のセルロース生産システムが構築された。
また、同社では大手ファッションブランドやメーカーと総額6,000万ドルを超える複数年契約を締結。パタゴニアやH&M、ウォルマートなど15社のパイロットパートナー企業と、このシステムでつくられたセルロースを使った素材の試験運用を行っている。
同社の共同創業者である、双子のニーカ・マシューフ氏とレイラ・マシューフ氏は、弱冠15歳のときに科学者としてのキャリアをスタートさせた才能の持ち主。これまで、人工光合成に関する研究論文を発表したり、がん治療薬のバイオエンジニアリング研究を行ったりしてきた。
そんな2人は「二酸化炭素を有害な廃棄物ではなく、貴重な資源に変えることができると証明しよう」と決意。その大胆なビジョンを胸に同社を創業した。
マサチューセッツ工科大学の「35歳以下の注目すべき35人」2025、欧州特許庁が選ぶ「未来を担う2025年リーダー10人」などに選ばれたほか、2026年の世界経済フォーラムの公式プログラムで講演も行っている。
同社が最初に考えているのはアパレル業界での展開であるが、消費財や航空宇宙産業とも提携している。
CO2の排出削減が地球規模で求められ、世界各国が取り組みを行うなか、CO2を資源に活用とする大胆な取り組みは多くの人々が注目する技術と言えるだろう。
※参考
H&M wants to make clothing from CO2 using this startup’s tech|Tech Crunch
Meet the sisters behind Rubi turning CO₂ into materials with $7.5M backing|TFN
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