オランダで広がる「週4日勤務」 週平均労働時間は32.1時間

おしゃれなオフィスで働く人

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オランダでは「週4日勤務」のスタイルが一般化しつつある。平均週労働時間は約32.1時間で、EUのなかでもっとも短い。しかも生産性が高く、就業率も高いことから、オランダはEUでも豊かな国のひとつである。

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2026.03.09

パートタイムが多く、フルタイムでも週4日勤務が多数

ユーロスタットによると、オランダの20歳から64歳までの労働者の平均週労働時間(本業)は約32.1時間だ。これはEU全体でもっとも短い。

オランダではパートタイムで働く人が多く、パートタイム労働者の割合は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でもっとも高い。さらに、フルタイムであっても、仕事を週4日で終わらせるようにして「週5日勤務」ではなく「週4日勤務」のスタイルで働いている人が多いという。

同国最大手の銀行グループ「ING」のエコノミスト、バート・コリン氏は「週4日勤務が一般的になっている。私は週5日勤務しているが、5日働いていることで厳しく批判されることすらある」と語っている。

しかも、オランダでは生産性が高く、就業率は82%と非常に高い。そのため同国のGDPは高い水準を維持し、EUでも豊かな国のひとつであるのだ。

しかし、以前からこのような労働スタイルだったわけではない。

何十年もの間「男性が稼ぎ頭」という伝統的なモデルであったが、1980年代から1990年代にかけて女性がパートタイムで社会進出するようになった。さらに税制優遇や福利厚生によって、夫婦の1人がフルタイムで、もう1人がパートタイムで働くスタイルが確立されていったという。現在では、週4日だけ働いて残りの時間は子どもや家族との時間にあてる人も多いようだ。

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これまでにもさまざまな研究で、労働時間が長くなることと生産性の向上には関係がみられないことが指摘されている。そのため、週4日勤務スタイルを導入する国も少なくない。

アイスランド

アイスランドは長年にわたり週4日労働を推進してきた国だ。2015年から2019年にかけて、国の労働力全体の1%を超える2,500人の公務員を対象とした、世界最大規模の実験を行った。賃金を下げずに週の労働時間を40時間から35時間に短縮。その結果、生産性、仕事への満足度、そして健康状態全般において改善が見られた。

この実験後、アイスランドの複数の主要労働組合は労働協約の再交渉を実施。現在ではアイスランドの労働者の約86%が、短時間労働を採用するか、短時間労働を要求する権利を獲得している。そして週4日労働改革のモデルとして広く認められている。

ベルギー

ベルギーでは2022年より新しい法律で、労働者は給与が減額されることなく週4日勤務できる権利が与えられている。現在、労働者は週4日勤務か週5日勤務のどちらかを選択できる。

リトアニア

リトアニアでも2022年から、公務員の特定の層に対して、週4日勤務の短縮制度が導入されている。3歳未満の子どもを持つ労働者は、給与の減額なしに週32時間勤務にする権利が認められている。

日本

日本では、東京都で2025年4月から都職員が「週休3日」を選択できる制度を導入した。4週間で155時間という所定の労働時間を確保していれば、週1日、平日に休みを取得できる。

同様の制度を導入している自治体に、茨城県、千葉県があり、人手不足がすすむなかで求職者に働きやすい環境であることをアピールするためにも、全国にこの制度が広まりつつある。

ただ、週4日勤務にメリットばかりとは言い切れない。例えば、オランダでは管理職に占める女性の割合がわずか27%と、先進国のなかで最低水準だ。そのため、この制度が女性の活躍を阻害していると指摘する声もある。

とはいえ、働く人の心身の健康を維持することが、企業や社会にとっても経済を健全に保つ優先事項。それぞれの国や地域ごとの制度や生活習慣にあわせて、最適なスタイルを模索しなければならないだろう。週4日勤務制への注目は今後ますます高まっていくことは間違いないのかもしれない。

※掲載している情報は、2026年3月9日時点のものです。

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