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ブラジルは、化粧品やパーソナルケア製品、香水などの開発における動物実験を禁止した。動物実験を禁止する国は、世界で40か国以上にのぼる。
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ブラジルの連邦議会の下院で7月、動物実験を実施した化粧品の販売を禁止する法案が可決された。そして8月5日、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ・ブラジル大統領が署名した。最大2年の移行期間を経て、この法律が発効される。
今回の法律は、科学的試験における動物の使用に関して規制した既存の法律について改正。化粧品、パーソナルケア製品、香水の開発のために、生きた動物の使用を禁止する内容だ。
ブラジルではウサギを使った動物実験は1950年代頃から行われてきたというが、2024年12月には規制当局が代替検査法を正式に承認。欧米では代替検査キットが使用されており、これを輸入して使うことも選択肢としてあるが、輸入にかかるコストと時間が課題であった。
そこで、国際動物保護団体の「Humane World for Animals」(旧ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル)は現地で化粧品メーカーなどと、動物を使わない代替検査の無料オンライントレーニングコースを用意。動物実験以外の方法についての理解や信頼を深める取り組みを進めている。
ブラジルで動物実験禁止の動きが生まれたのは、いまから10年も前のことだ。当時、最初の法案が議会で審議されたが、承認を得るには至らなかった。
だが、「Humane World for Animals」をはじめとした団体などの活動が、今回の法律制定の原動力になったようだ。
同団体による、動物実験禁止を呼びかけるプロモーション動画「Save Ralph」は、再生回数が1700万回を超える。さらに現地では市民から署名を集め、その数は160万件以上になった。
動物に頼らない試験方法がスタンダードになりつつある社会背景と重なり、そのような市民の声も、法改正を後押ししたに違いない。
動物実験を禁止している国は、欧州、インド、韓国、アメリカ(一部の州)のほか、ラテンアメリカでは、チリ、メキシコ、コロンビアなどもある(日本ではまだ法律として動物実験は禁止されていない)。
一方、毛皮を使わない「ファーフリー」が当たり前になり、ケージ飼育や生きた動物の輸送や輸入を禁止する国が生まれるなど、動物にまつわる動きは近年、めまぐるしく変化している。
このようなアニマルウェルフェアを主体とした考えは、今後もさまざまな業界で広く浸透してしていくことだろう。
※参考
In a win for animals, Brazil votes to ban the sale of animal-tested cosmetics|Humane World for Animals
Brazil: Lula signs law banning the use of animals in cosmetics testing|Premium Beauty News
Brazil Moves Toward Federal Ban on Animal Testing for Cosmetics in Landmark Vote|Global Cosmetics News
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