化粧品の石油由来原料&マイクロプラ脱却へ デンマーク発バイオテック企業の挑戦

化粧品クリーム

Photo by J M on Unsplash

デンマーク発バイオテクノロジーのセルジー(CELLUGY)は、化粧品分野での化石由来原料やマイクロプラスチックの代替品の開発を行う。このたび、欧州連合の資金提供制度で810万ユーロ(約13億円)を調達。EUでの化粧品の化石由来原料やマイクロプラスチック脱却を目指す。

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2025.07.07

石油由来原料に頼らない バイオ由来の代替品を開発

セルジーは、2018年創業のデンマークのバイオテクノロジーのスタートアップだ。同社が手がけるのは、セルロースをもとにしたレオロジー調整剤の「EcoFLEXY」。

レオロジー調整剤とは、粘度を高めて粒子を安定させ、使用感を調整するために使用されるもの。スキンケアやカラーコスメから、デオドラント、オーラルケアまで、ほぼすべてのパーソナルケア製品に不可欠な存在だ。

だが、現在使われるレオロジー調整剤の原料のおよそ7割は化石由来であり、これがマイクロプラスチックのひとつでもあるという。

そこで、同社では発酵や糖を用いて、セルロースをはじめとするバイオポリマーを開発。化石由来原料のレオロジー調整剤ではなく、代替品となる「EcoFLEXY」を使用することで、化粧品業界での化石由来原料やマイクロプラスチック依存からの脱却を目指しているのだ。

EUから約13億円の資金を調達

そんな同社は先日、810万ユーロ(約13億円)の資金を調達した。環境・気候変動対策プロジェクトのための欧州連合(EU)の資金調達手段である「LIFEプログラム」の助成金というかたちで資金の提供が行われ、「EcoFLEXY」の生産規模拡大を目指す。

これによって同社では、年間259トンのマイクロプラスチックの排出を防ぎ、2034年までには年間1,289トンの排出回避につなげる予定だ。

化石由来原料でつくられたレオロジー調整剤は、分解されにくく毒性もあることから、EUの規制対象であるという。また、最近の研究で、マイクロプラスチックが吸入や経口摂取、皮膚接触によって人の体に侵入する可能性があることも示唆されており、人体への潜在的な影響が懸念される。

同社のAlvarez-MartosCEOは「私たちの最終目標は、数十億ドル規模の産業から石油化学製品を排除すること」と言う。

EUではマイクロプラスチックが、米国では「永遠の化学物質」と言われるPFASの規制が、はじまろうとしている。世界の化粧品業界は、いま大きな転換点にあると言っても過言ではないかもしれない。

※掲載している情報は、2025年7月7日時点のものです。

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