3月22日・23日、三井不動産レジデンシャル主催の体験型サステナブルイベント「SUSKATSU PARK」が開催された。本記事では、前編として両日にわたって行われたトークセッションやイベントの様子をレポート。楽しそうな子どもたちの歓声が聞こえる爽やかな春の雰囲気とともにお届けしよう。
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エレミニスト編集部
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春のやわらかな陽射しが降り注いだ3月22日・23日、三井不動産レジデンシャルが主催する体験型サステナブルイベント「SUSKATSU PARK」が開催された。会場には、開場前から多くの家族連れが列をなし、オープンと同時に一気に活気に包まれた。
会場内には、親子で楽しめるワークショップやいちご狩り体験など、五感で楽しめる多彩なブースがずらりと並んだ。マーケットでは、こだわりの詰まったフードを味わいながら、生産者と直接言葉を交わす来場者の姿も。
メインステージでは、料理家の寺井幸也氏やモデルのNOMA氏、海洋ごみを素材に楽器を制作する「ゴミンゾク」によるライブパフォーマンスなど、多彩なゲストが登壇。トークや音楽を通じて、それぞれの視点から持続可能な暮らしについて語られた。
また、隣接するMIFA フットボールパークでは、元巨人軍監督・高橋由伸氏や、FC東京の石川直宏コミュニティジェネレーターと仲川輝人選手によるトークショーも開催され、スポーツを通じたコミュニティづくりや未来のあり方について語られた。
SUSKATSU PARKのなかでも、ひときわ長い列をつくっていたのが「いちご狩りコーナー」だ。都会に現れた小さな畑で、旬のいちごを自分の手で摘み、その場で味わう。子どもたちの笑顔と歓声が絶えず、終始家族連れでにぎわいを見せていた。
このプログラムが特別だったのは、ただ“食べて終わり”ではなかったこと。収穫後はいちごをジュースに加工し、残ったヘタや果肉の端はLFCコンポストの体験ブースへ。 「食べる」から「土に還す」までのサーキュラーな流れを、親子で体験できる仕組みが用意されていた。
いちご狩りを楽しんだあとは、その場で摘んだいちごを使ってつくるフレッシュジュース体験へ。会場に登場したジューススタンドは、規格外野菜や果物の活用を通してフードロス削減に取り組む「Why Juice?(ホワイジュース)」によるもの。
「一般流通に乗らない形が不揃いな果物でも、味や栄養には変わりがない」という食材本来の価値を伝えるべく、Why Juice?では生産者の顔や想いを大切にしながらジュースを届けている。素材の味をそのまま活かしたジュースを味わう体験は、子どもたちにとっても印象的だったはず。「おいしい」の先にある背景やストーリーまで味わえる、そんな豊かな時間となっていた。
ジュースを楽しんだあとは、残ったいちごのヘタや果肉の端を使って、堆肥づくりに挑戦。会場には、手軽に始められるバッグ型の家庭用コンポスト「LFCコンポスト」の体験ブースが登場した。
LFCコンポストは、「半径2kmの持続可能な栄養循環」を目指す取り組みとして注目されており、生ごみを堆肥に変え、家庭菜園などで再び命を育むという、家庭でも実践できる食の循環を提案している。
イベント当日も、スタッフの説明を聞きながら堆肥化のプロセスに興味津々の子どもたちが次々と参加。食の循環について、親子で楽しみながら学べる時間となっていた。
「コンポストを初めて知ったという方も多く、生ごみが土になることに驚かれる方がほとんどです。子どもたちも、スコップで混ぜてくれていました」。(スタッフ)
完成した堆肥は自宅のプランターなどで活用できるだけでなく、使いきれない場合はLFCが設けた堆肥回収の仕組みを通じて農家へ届けることも可能。そこで育てられた野菜が、また家庭に戻ってくるといった循環の仕組みが整っている。
いちごを摘んで、味わって、土に還す。
食の循環をまるごと体験することで、子どもたちにも自然と食べものの背景や、資源を無駄にせず次につなげる意識が芽生える。そんな気づきに満ちた時間となっていた。
WILD MAGIC「LOVE KINGDOM」のメインステージで開催されたダイアローグ第一弾には、料理家の寺井幸也さんと、モデル・クリエイターとしても活躍するNOMAさんが登壇。「サステナブルな暮らし」をテーマに自分の心と体に向き合うことの大切さ、そして食や自然とのつながりについて語り合った。
料理家の幸也さんは、撮影現場でのケータリングからスタートした「幸也飯(ゆきやめし)」を皮切りに、食を通じて人の心と体に寄り添ってきた。その姿勢はやがて企業との連携へと広がり、現在ではサステナブルな価値を届ける取り組みにも力を入れている。
「僕はただおいしい食事を届けるだけでなく、その食材がどこで、誰によって、どんなふうにつくられているのか、その背景までしっかり伝えたいと思っています」。
そう語る幸也さんは、全国の生産地を訪ね、生産者の声に耳を傾けてきた。規格外の野菜を積極的に活用し、食の裏側にあるストーリーに光を当てることで、一皿がおいしくなるまでの過程を伝えている。
「背景を知ることで、 『いただきます』や『ごちそうさま』といった言葉の意味も変わってくる気がします。当たり前に思える食卓の色彩が、実は当たり前じゃないということ。それをもっと多くの人に伝えていきたいんです」。
転機となったのは、自身が一年間でつくった料理の数が1万食を超えていたことに気づいたとき。
「それだけ多くの人の体に入るものをつくっている自分が、“食材の出どころ”を知らないままでいいのか?」と思い、生産地へ足を運ぶようになったという。無農薬や有機栽培に取り組む農家と対話を重ね、土や微生物の力にふれる中で、食の本質を見つめ直していった。
一方、NOMAさんは、植物療法や自然科学を取り入れたライフスタイルを実践しながら、書籍やSNSを通して“地球と調和して生きる”というメッセージを発信している。体調不良やモデルの仕事を通して心身と向き合うなかで、食や土、海といった自然の力に目を向けるようになり、日常のセルフケアを通して自分自身と向き合う時間を大切にしてきたという。
「環境問題を“外のこと”として捉えるのではなく、まずは自分の体と心を整えることから。人の健やかさと地球の健やかさは、きっと等しいものだと思います」。
食事をはじめ、クレイ(粘土)を使った入浴やパックなど、日常的に自然の力を取り入れたセルフケアを取り入れることで、自分の感覚を取り戻してきたという。
「私にとっては、それも“地球の一部として調和して生きる”ためのひとつの手段。物事をジャッジせず、自分の命をどう燃やしていくかを問いながら、謙虚に“知っていく”作業を大切にしていたいと思っています」。
会場では、「煙や香りも、目に見えない自然とのコミュニケーションだと思うんです」というNOMAさんの言葉に、うなずく来場者の姿も。幸也さんも、「体温と同じ温度の湯に浸かると、体と水の境界がなくなる瞬間がある。その感覚に身を委ねることで、自分と深く対話できる」と語り、それぞれの視点から自然との調和のあり方について語り合った。
「“いただく”という言葉の重みが変わってくる」
「目に見えないものにこそ、本質がある」
そんな二人の言葉には、日々の暮らしや自分自身を丁寧に見つめ直すためのヒントが込められていた。手段や正解にとらわれるのではなく、自分のなかにあるワクワクをどう見つけ、楽しんでいくか。そんな気づきを得ることができた、あたたかな対話の時間だった。
初日のダイアローグ第2弾では、α世代に人気のモデルの鈴木ゆうかさん、女優の三原羽衣さん、タレントの小林希大さんが登壇。全身古着のコーディネートで登場し、それぞれがファッションを通じて感じている古着の魅力や、楽しみ方について語った。
今回使用されたアイテムの一部は、三井不動産レジデンシャルの「くらしのサス活 Circular Action」を通じて回収された衣類を、資源循環サービス「PASSTO」と連携し、再活用したもの。会場には実際の回収ステーションも設置され、服がめぐる未来の循環を可視化していた。
ふだんはパンツの丈感で悩むことが多いという鈴木ゆうかさん。今回、ジャストサイズのパンツと出会うことができ、とても驚いたという。
「古着でここまで丈がぴったりなパンツに出会えるなんて、正直驚きました。ふだんの自分とはちょっと違う、少しモード寄りなスタイルにも挑戦できて、新しい自分を発見できたような気がします」。
また、「ふだんとは異なる少しハンサムなスタイルに、新たな自分を発見できた」とも語った。自分に似合うかどうかだけでなく、新しい自分と出会えるかどうかという観点も、古着ならではの魅力だ。
三原羽衣さんは、もともと古着が好きで愛用している。そして、ふだんのコーディネートには自由さと直感を大切にしているという。
「古着って、色も素材感もすごく豊かで、他の誰とも被らない自分だけのスタイルが楽しめるところが魅力だと感じています。しかも、誰かが大切に着ていた服を自分がまた着ることで、自然と大切にしたくなる。その感覚が、古着のいちばんすてきなところだと思います」。
この日のコーディネートでは、一目惚れした鮮やかな色合いのカーディガンにスポーティーな要素をプラスし、カジュアルになりすぎないバランスに仕上げている。
小林希大さんは、ふだんから古着を取り入れているという。モノトーンのシンプルな装いが多いというが、今回はシャツのレイヤードやレザー調パンツなど、新鮮なスタイリングに挑戦した。
「古着って、自分では出せない“こなれ感”があるんです。ちょっとした色落ちや風合いに味があるというか。兄弟や親戚と服をシェアすることも多いんですが、そういう文化って実はすごくサステナブルなんだなと、今日改めて感じました」。服を長く着る、分かち合うという、日常に根付いたサステナブルの実践についても触れた。
ファッションショーで語られた言葉には共通して、「古着は我慢や妥協ではなく、楽しさと出会いのある選択である」というメッセージが込められていた。一度誰かの元を離れた服が、また誰かのお気に入りになる。そんな軽やかな循環の魅力を、それぞれの等身大の言葉で教えてくれた時間となった。
古着のトークセッションに続いて行われたのは、小林希大さんがナビゲーターを務めるYouTubeライブ形式の「サス活体験ツアー」。観客の中から選ばれた4名とともに、会場内のさまざまなブースを巡りながら、楽しみながらサステナブルを学べるコンテンツを体感した。
最初に訪れたのは、自転車をこいで電気を生み出す「自転車発電」の体験ブース。楽しみながら、エネルギーがどのように生まれるかを肌で感じることができるコンテンツに、出演者も参加者も思わず笑顔に。
続いて、生産者の顔が見えるジュースブランド「Why Juice?」ではドリンクの試飲。どこでどんなふうに育てられた素材なのか、その背景に思いを巡らせながら味わっていた。そして、最後に訪れたのは、オリジナルトイレットペーパーづくりのワークショップ。ふだんは意識することの少ない“紙”のリサイクルについて、遊び感覚で学びながら取り組める内容となっていた。
トークセッションで語られた「服を選ぶ」という視点から始まり、このYouTubeライブでは「エネルギー」「食」「日用品」と、暮らし全体をサステナブルにする視点が広がっていった。出演者も参加者も一緒になって、楽しいからこそ続けたくなるサス活のかたちを実感する時間となった。
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