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デンマークでは、2025年いっぱいで手紙の配達が終わる。郵便物の量の大幅減少が理由で、デンマーク人の95%がデジタル郵便サービスを利用している。
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デンマークの国営郵便サービス「ポストノルド」は先日、デンマークでの郵便配達を2025年末で終了することを発表した。同社の歴史はおよそ400年になるが、その長い歴史に幕を閉じることになる。
ポストノルドのデータによると、手紙の量は2000年に14億通だったが、近年はとくに右肩下がり。2020年頃には2000万通を切るまでになり、過去25年でその量は1割近くまで減ったという。加えて、過去1年だけで30%も減少したと言われている。
このような背景から、ポストノルドは長年財政難に陥り、2024年は赤字を計上している。そのため、2025年末をもって郵便配達のサービス終了を決断するに至った。デンマーク国内にあるおよそ1500個の郵便ポストは、6月頃から撤去が始まる予定だ。
なぜ、デンマークで手紙の量が急減しているのか。その理由は、デジタルサービスが普及しているからだ。デンマークは世界でもっともデジタル化が進む国のひとつと言われ、デンマーク人の95%がデジタル郵便サービスを利用している。
運転免許証や健康保険証もデジタル化されスマホで持ち歩くのが一般的。銀行の明細書、請求書、自治体からの各種のお知らせもすべて電子送信が利用されているという。公共サービスはデジタル送信または、各種のプラットフォームを介して送られ、デンマークのポストノルドは、手紙市場はもはや利益を生まないと述べている。
また2024年に新しい郵便法が施行され、郵便サービス事業に民間企業も参入した。その結果、免税対象ではなくなり郵便料金が増加したことで、ますます郵便サービスの利用者の減少につながる状況が生まれているようだ。
一方で、報告によると27万1000人が現在も郵便サービスを利用しているという。とくに高齢者を中心に、病院の予約、予防接種、在宅ケアなどの知らせを郵便サービスで受けている人もいる。だが、ポストノルドは今後、小包の配送に力を入れていく予定で、かつデンマークでは手紙と小包の両方で自由市場となっているため、今後もそれらのサービスを利用することは可能だという。
手紙の配達サービスの終了で、職を失う人々が生まれる側面があることも忘れてはいけない。ただ、デジタル化する世界で、日本も含めて郵便サービスの存続は多くの国が直面する問題だろう。デジタル化をうまく活用して、廃棄物を減らすメリットを享受しながら、これからの社会のあり方を考える必要も出てくるのではないだろうか。
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