Photo by Tonya Matyu / Copenhagen Fashion Week
パリ、ミラノ、ニューヨークにならんで、「世界4大コレクション」とよばれるロンドン・ファッションウィーク。主催する英国ファッション協議会(BFC)は、コペンハーゲン・ファッションウィークとの連携の一環として、「サステナビリティ基準」の採用を発表した。
Naoko Tsutsumi
エディター/ライター
兵庫県出身。情報誌、カルチャー誌、機内誌など幅広いジャンルの媒体の編集に携わる。コロナ禍にシンガポールへ移住。「住む」と「旅」の視点の違いに興味を持ち、地域の文化の違いを楽しんでいる。
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Photo by Bryndis Thorsteinsdottir / Copenhagen Fashion Week
ロンドン・ファッションウィークが、コペンハーゲン・ファッションウィークにならい、サステナビリティ基準を取り入れることが決まった。
コペンハーゲン・ファッションウィークといえば、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に基づいた厳しいガイドラインを独自に設けていることで知られている。
業界を牽引するサステナブルなフレームワークは、ブランドが持続可能な戦略を持ち、高品質で、寿命の長いデザインを実現するために、素材や労働のあり方などに関する要件が設けられていて、それに満たないブランドはイベントに参加することができない。2020年に導入が始まり、2024年に改訂。業界の動向や世界の情勢を鑑みて進化を続けている。
シーズンごとに新しいコレクションを発表し続けることを止められないファッション業界。環境負荷の大きな課題が山積するビジネスモデルへの危機感から、いち早く動き始めたコペンハーゲンのサステナブルな活動に呼応するように、「オスロランウェイ」、「ノルウェーファッションハブ」、「ベルリンファッションウィーク」と続くなか、ついに4大コレクションのひとつ、ロンドン・ファッションウィークまで連携の輪が広がった。
北欧と英国のファッション市場が力を合わせてサステナブル活動を行うことについて、英国ファッション協議会のCEOであるキャロライン・ラッシュ氏は「ファッションの持続可能な未来に向けてサステナビリティを確実に推進するための重要な一歩」だと話す。
今回のパートナーシップは、単なる業界内の国際連携の推進にとどまらない。世界的なファッションイベントからのメッセージとして業界全体に広く伝わることで、変革へと一気に潮目が変わるかもしれない。
Photo by James Chochrane / Copenhagen Fashion Week
世界一といわれるほど意識の高いサステナビリティ基準を設けるコペンハーゲン・ファッションウィークには、素材へのこだわりや、環境に配慮することを徹底した生産方法でコレクションを完成させる気鋭のブランドが台頭し、いま注目を集めている。
それにならって英国ファッション協議会は、1993年よりスタートしたロンドン・ファッションウィークでの活躍を目指す新進デザイナー支援プログラム「ニュージェン(NewGen)」の参加条件に、コペンハーゲンの「サステナビリティ基準」を加えることを決定。試験運用期間を経て、2026年1月の施行を目指している。
さらに、今回のコペンハーゲンとの連携を「ポジティブファッション研究所(IPF)」を通じて進める活動の一部としている。IPFは、ファッション業界の環境問題への影響に取り組むために発足したシンクタンク。研究、協力、そして教育のプラットフォームとしての役割を担っていることからも、新進デザイナーやブランドがリードし、より持続可能で責任ある業界の実現を加速させていくという、ロンドン・ファッションウィークと協議会の強い思いが見えてくる。
地球環境と社会的配慮に基づいたファッションの新しいアイデアがカタチとなって、私たちをワクワクさせてくれる日が待ち遠しい。
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