米ぬかを使い切る こめ油の「つの食品」がつくる「米ぬか由来・国産イノシトール」の魅力

こめ油の築野食品がつくる、こめ油や米ぬか由来の成分

「お米の油は、つの食品。」でおなじみ、こめ油の国内トップシェアを誇る築野(つの)食品。精米する際に出る米ぬかからこめ油を製造するほか、こめ油を抽出した後の副産物の高度有効利用にも積極的に取り組んでいる。サプリや化粧品原料に使われる米ぬか由来成分「イノシトール」はその代表例であり、海外製の安価なものが流通するなか、国産米ぬか由来にこだわって製造を続けている。築野食品がイノシトールを製造する背景には、創業から企業カルチャーとして根付く「もったいない精神」があるようだ。

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2025.02.12
Promotion: 築野食品

米ぬかの高度有効利用に光をあてた 築野食品の「もったいない精神」

築野食品がこめ油で使う国産米の田んぼ

築野食品の事業の核となるのが、お米。米ぬか原料は必ずトレーサビリティを取り、国産のものにこだわって使用している。

築野食品はもともと、戦後の1947年に農林水産省指定の精麦(せいばく)工場としてスタートした。フィリピンのミンダナオ島で終戦を迎えた創業者が食べ物の大切さを痛感し、「もし日本に戻れたら、食糧の安定供給を軸に社会に貢献したい」と考えて興した事業である。

こめ油の製造は1960年から。当時、使い道が限定的だった米ぬかを使い切ることに苦労していた米屋の事情を目の当たりにし、米ぬかの新たな活用方法を模索していた。そんななか、米ぬかから食用油がとれることを知り、「食に貢献するために」とチャレンジが始まったのだった。

そもそも米ぬかとは、田んぼで収穫されたお米を削り白米にする(精米)際に出る、“白米ではない部分”のこと。栄養価の高さは昔から知られていたものの、そのままでは食用に適さないことから、食としての活用が進んでいなかった。

主な用途は、飼料や肥料。それでも使いきれずに、泣く泣く畑に撒いて処分するケースもあったという。「せっかく食用に活用する術があるのなら」と、食に対する強い想いが築野食品のこめ油製造事業のきっかけだ。

現在は、こめ油の製造に止まらず、米ぬか由来の機能性成分を製品化する「ファインケミカル事業」と、米ぬかの非可食部から工業用途の原材料を生み出す「オレオケミカル事業」を展開し、米ぬかの高度有効活用に取り組んでいる

米ぬかを余すことなく使い切る こめ油製造時の副産物にもフィーチャー

築野食品の米ぬか由来の各種成分など

米ぬかから「こめ油」を抽出した後に残った「脱脂ぬか」にも、魅力的な成分が数多く含まれている。

米ぬかからとれるこめ油は、約15%ほどと少ない。残りの約85%は、油を抽出した後の「脱脂ぬか」や、食用には適さない「脂肪酸」などのいわば副産物だ。しかし、この副産物にもさまざまな栄養成分や機能が存在する。こめ油以外の部分もなんとか活用したいと展開しているのが、前述したファインケミカル事業とオレオケミカル事業である。

「副産物をそのまま肥料やエサに使う」という活用方法もあるという。しかし、「もっと有効活用できないか?」と考えるのが築野食品。こめ油の抽出や精製の過程で出る成分を細かく分けることでそれぞれに機能を見出し付加価値をつけるチャレンジを行ってきた

もったいない精神が色濃く出た製品も

築野食品の「築野MIX」。

築野食品のこめ油製造時に出る副産物をもとにした「築野MIX」。

弛まぬ研究の賜物として、築野食品が製造している米ぬか由来原料や成分は20種類程度製品数でいうと、200種類に達している

なかでも、築野食品らしさが出ている製品が「築野MIX」だ。こめ油の原料として利用した後の脱脂ぬかと、こめ油の製造過程で使用し、かつては産業廃棄物として処理していた副資材「廃白土」を活用し、キノコ培地を開発した。

本来はキノコ培地に活用されていた米ぬかを脱脂ぬかに置き換えることで、こめ油の増産につなげたほか、現在では2018年度に約1,600トンあった廃白土の廃棄が0になっている。築野MIXの取り組みは、2024年に農林水産省の第12回食品産業もったいない大賞「審査委員長賞」を受賞している。

こめ油の築野食品では、米ぬか由来成分の研究が進む

「米ぬかを余すことなく使い切る」ために、研究開発に力を注いでいるのは、築野食品ならではだ。

また、こめ油を使用した後の再活用の取り組みも行っている。築野食品では、全国のレストランなどで出る使用済みの油(廃食用油)を活用し、バイオマス樹脂などの工業用原料に製品化する事業を行っており、地域から出る油の回収にも積極的。本社前には廃食用油回収ボックスがあり、社員や地域住民が自宅で使った油を自由に持ってこられるようになっている。限りある資源を余すことなく活用したいという方針の表れだ。

ちなみに、創業当時、精麦を行っていた建物は現在も会議室として活用されているという。築野食品では、創業から一貫して、資源を大切にする姿勢が根付いておりもったいない精神のエピソードがあふれているのだ。

サプリ・化粧品の国産原料として幅広く活用される 築野食品の「イノシトール」

築野食品の米ぬか由来のイノシトール

米ぬか由来のイノシトール。国内で製造しているのは築野食品のみだ。

築野食品では1972年以来、米ぬか由来の栄養成分イノシトール」の製造を続けている。イノシトールもこめ油製造時に出る副産物(脱脂ぬか)に含まれている成分であり、米ぬかの高度有効活用の事例のひとつだ。

イノシトールとは、私たち人間の体内でも合成されるビタミン様物質(ビタミンB群)。母乳にも多く含まれ、赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素として知られている。発育のサポートや生活習慣病の予防などが期待できる、神経や免疫などさまざまな部分において基礎となるような原料だ。細胞の働きを助け、水分と油分のバランスを整える働きがあることから、化粧品原料としても注目されている

私たちに密接な栄養素として、古くから食経験が豊富。米国食品医薬品庁(FDA)の安全性の基準である「GRAS(Generally Recognized As Safe)」認証を受けており、ヨーロッパでも積極的に摂ることが推奨されている栄養素のひとつである。

築野食品で行われる「国産イノシトール」の研究

イノシトールは、母乳にも含まれる成分であり、化粧品原料など幅広く活用されている。

また、水に溶けやすく、ショ糖の半分程度のすっきりとした甘さもポイント。安全性に加え、“使いこなしやすさ”も評価され、日本では育児用粉ミルクに長年配合されている。ほか、機能性サプリメント栄養ドリンクから、化粧水育毛剤まで、食用に止まらず幅広い用途で使われている成分だ。

成分表示名は「イノシトール」や「イノシット」。もしかしたら、ふだん手に取っているドリンクや化粧品のパッケージをチェックすると、この成分名を発見できるかもしれない。イノシトールはそれほど身近な成分として、私たちの生活に溶け込んでいる。

国産の“お米由来”ならではの品質と安心感

築野食品のイノシトール開発の背景には、米ぬかの有効活用を模索するなかでの、国内外のメーカーからの製造要請がある。しかし、しだいに海外製のとうもろこし由来のイノシトールが安価で流通し始め、国産イノシトールは海外製に押されるように。国内でイノシトールの製造を続けているのは、いまや築野食品のみになった。

それでも国産であることお米由来の安心感は唯一無二。品質も評価され、海外からも選ばれ続けている。加えて、イノシトールは、築野食品の米ぬか由来原料の出発点でもある。お米や米ぬかの価値を向上させるという強い使命のもと、質の高いお米由来のイノシトールをつくり続けている

米ぬかによる地域貢献も 歩みを止めない企業姿勢

築野食品のこめ油

おなじみのこめ油各種。

築野食品の根底には、常にもったいない精神がある。拡大するこめ油のニーズに応えるため限りある国産資源である米ぬかを最大限に有効活用する方法を常に研究している。つまり、すべての原料に対して真摯に向き合い、品質を担保することが重要だ。そのために技術を磨くことを欠かさない。

2019年には、本社所在地の和歌山県伊都郡かつらぎ町にある廃校跡地に、米ぬかの研究開発拠点「TSUNO innovation & welfare center(TIWセンター)」を設立。技術力を磨くと同時に新たな雇用を創出し、地域の人口減少問題に貢献している。

築野食品工業

地元とのつながりを大切にしてきた築野食品。事業が大きくなり従業員が増えることで、若い移住者も増えているという。

地域密着であることも築野食品の創業以来のポリシーだ。職場体験や自社農園での芋掘り体験を通じて、地元の小学校とのつながりも深い。かつて工場見学で築野食品を知った小学生が、時を経て入社するケースもあるという。地域住民への感謝を込めて、イルミネーションや花火を企画することも。地元への恩返しの気持ちを忘れずに、さまざまな取り組みを行っている。

米ぬかとともに進化してきた築野食品。こめ油の国内トップシェアを獲得してもなお、「もっと収率を上げるには?」「米ぬかをもっと活用するには?」と、研究に余念がない。また、日本では米の生産量や消費量が減少するなか、こめ油やイノシトールをはじめ、米ぬか由来の製品をつくり続けることが、米ぬか全体の価値を上げると信じているという。

築野食品はこれからも、「米ぬかに夢を託して」の合言葉を掲げ、米ぬかのさらなる可能性を切り拓いていく。

※掲載している情報は、2025年2月12日時点のものです。

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