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ルワンダでは2024年、ゴリラの棲む森を守るためのプロジェクトが新たにスタートした。村に暮らす人々の生計を安定させることによって、森林の保護を目指す。
Kojiro Nishida
編集者・ライター
イギリス、イースト・ミッドランズ地方在住。東京の出版社で雑誌編集に携わったのちフリーランスに。ガーデニングとバードウォッチングが趣味。
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ボルケーノ国立公園(ルワンダ)に据えられたダイアン・フォッシーの墓
ダイアン・フォッシー(Dian Fossey)という女性をご存知だろうか。1932年にアメリカで生まれ、主にマウンテンゴリラの研究と保護活動において多大な功績を残した霊長類学者だ。
フォッシーはルワンダで18年間にわたりゴリラの生態を観察。彼らの行動パターンや社会構造への知見を深め、個体を識別するためにゴリラの鼻紋を用いた手法を開発するなど熱心な研究を行なったことで知られている。
研究のかたわら、ゴリラを密猟者から守るためにさまざまな保護活動を積極的に展開していたフォッシーだったが、1985年12月、ルワンダのヴィルンガ山地にある自身の研究拠点で何者かによって殺害されてしまう。犯人は見つかっておらず、事件はいまも未解決のままだ。
惜しくも志半ばで命を落とすこととなったフォッシーだが、彼女の遺志は「ダイアン・フォッシー国際ゴリラ基金」によって引き継がれ、現在もゴリラを守るための活動がアフリカで続けられている。
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密猟対策などのゴリラの保護活動や研究活動のほか、地域社会の支援も行っているダイアン・フォッシー国際ゴリラ基金。2024年、ルワンダの25の村で新たなプロジェクトをスタートさせた。
このプロジェクトでは、各村の住民たちが主体となって村の発展計画を策定し、その実現のための助成金を受け取ることができる。村人たちは、自分たちの生活の中で何がもっとも必要なのかを話し合い、例えば農業やインフラの整備、清潔な水の確保、教育の拡充などの実施を通じて各村のニーズを満たしていく仕組みだ。
これは、過去10年間で1,800以上のプロジェクトを成功させた実績を持つ非営利団体「スパーク・マイクログラント」との提携によって実現した。各村には計画の実施前にトレーニングが提供されるほか、年間を通じた技術的な支援も受けられる。コミュニティ全体で持続可能かつ長期的な生計向上を目指す。
ゴリラの保護活動とは一見関係のなさそうなこのプロジェクトだが、人が暮らすコミュニティを発展させることはゴリラを守ることにもつながっている。現在農村部では、多くの人が森林の資源を利用することで収入を得て生活し、森林の生態系に深刻な影響を及ぼしているのだという。
農業などで地域住民の生計を安定させることで人間による過剰な森林資源の利用を減らし、ゴリラの棲む森を守る。ホリスティックなアプローチでコミュニティの発展と環境保全の両立を叶えるプロジェクトだ。
2025年春にはさらに25の村が追加され支援の範囲を広げていく予定。プロジェクトを実施する各村には政府からの資金も提供され、地域社会全体で協力し取り組んでいくことが発表されている。
※参考
New community program helps villages and protects forests|Dian Fossey Gorilla Fund
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