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インドを拠点とするLCC(格安航空会社)のインディゴは、性別やジェンダー間における格差が大きいインドで、LGBTQ+の人々や女性、障がい者の権利や安全を守るために数々の取り組みを行う航空会社だ。
Kojiro Nishida
編集者・ライター
イギリス、イースト・ミッドランズ地方在住。東京の出版社で雑誌編集に携わったのちフリーランスに。ガーデニングとバードウォッチングが趣味。
2006年に設立されたインド最大の民間航空会社「インディゴ(IndiGo)」は、チケットの予約時に性別を「男性」または「女性」に特定しない、「Mx」の選択肢の導入を検討している。自らの性別の特定を望まないトランスジェンダーの乗客へ選択肢を提供することが狙いだ。
さらに同社では、包括性を高めるための取り組みの一環として、働くスタッフの敬称にも男女の性別にとらわれないオプション「Mx」の導入も検討されているのだという。
インディゴ航空はこれまでもLGBTQ+コミュニティを支援する取り組みを行ってきた。例えば、LGBTQ+の人材に特化したリクルートエージェンシーと提携し、LGBTQ+当事者の採用を強化する独自の雇用プログラムの実施。性別適合手術や事実婚パートナーも医療保険に加盟できるといった福利厚生の強化も行っている。
その成果もあってか、現在はフライト業務を含むさまざまな職務でLGBTQ+の人々が活躍しているという。
それに加えて、同社は障がい者の雇用数を倍増させたい考えだ。人事担当責任者のスークジット・S・パスリチャ氏によれば、現在60以上の都市で240人以上の障がい者が顧客対応業務に就いている。
「当社は能力ベースの雇用を進めており、主に空港でのカスタマーサービス担当者として障がい者を雇用している」と同氏は話している。
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インディゴ航空は2024年5月、女性の乗客がほかの女性客の隣の席を意図的に選べるプログラムを試験的に実施した。このサービスは女性客がオンラインでチェックインする際、ほかの女性客が予約している座席が色付けされ一目でわかる仕組み。
機内での安全性や快適さを求める女性のニーズに応えたもので、男性客は同システムを利用することはできない。まだ試験導入中だが、2024年8月は前月よりこのシステムを利用した女性客が60~70%も増加。大きな反響を呼び、継続的な実施が期待されている。
多様性を尊重し、包括性を促進するためのさまざまな取り組みを行うインディゴだが、拠点とする国インドは世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数」の2024年度のランキングにおいて世界129位(最下位は146位のスーダン)とかなり低い位置にある。
2014年にはインド最高裁がトランスジェンダーを「第三の性」として認め、2018年には、同性間の性行為を禁止する植民地時代の法律を廃止。少しずつ法的な枠組みの整備が進められている。
とは言え、まだまだ女性やLGBTQ+に対する根強い差別や格差が残っている。そのようなインドで、航空会社最大手のインディゴがこれらの取り組みを行う意義は大きいといえる。
ちなみにインドでは、エア・インディア・エクスプレスとヴィスタラ航空の2つの航空会社で、乗客が予約時の性別を「Mx」と選択できるオプションがすでに提供されている。
※参考
IndiGo evaluates introducing gender-neutral 'Mx' option for flight bookings|The Times of India
Indigo to evaluate gender-neutral honorific option ‘Mx’ for staff|FINANCIAL EXPRESS
IndiGo's gender-specific seating for women travellers sees 60-70% rise in August|INDIA TODAY
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