IMF(国際通貨基金)とは? 設立の目的や役割、課題をわかりやすく解説

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IMF(国際通貨基金)とは、国際通貨システムの安定を維持することを目的とする国際機関である。この記事では、IMFが設立された目的や役割、加入することによるメリット、課題について解説する。

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2024.10.24

IMF(国際通貨基金)とは

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「IMF」は、International Monetary Fundの略で、日本語では「国際通貨基金」という。これは、国際通貨システムの安定を維持することを第一目的とする国際機関である。この目的を果たすために、加盟国間の協力と調整を図る役割を担っている。本部はアメリカ・ワシントンDCにあり、加盟国数は190カ国である。(※1)

IMFの歴史

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1944年7月に米国ニュー・ハンプシャー州ブレトン・ウッズで開催された連合国国際通貨金融会議において、45カ国の政府代表が経済協力のための機構を設立することに合意した。それにより、IMFの創立が決定。設立の目的は、1930年代の世界恐慌の一因となった致命的な経済政策の失敗を繰り返さないために、国際経済協力の枠組みが必要だと考えたことにある。(※1)

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IMF設立の目的

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IMFの設立目的にはおもに3つある。それぞれ解説しよう。

国際通貨制度の安定

IMFは、為替レートの安定を確保し、各国通貨の大幅な変動を抑えることを目的としている。通貨の急激な変動は、貿易や投資を阻害し、国際的な経済危機を引き起こすリスクがあるため、IMFは通貨の安定と国際的な決済を支援する。(※1)

短期的な国際収支の支援

IMFは、加盟国が国際収支の不均衡に直面した際に、短期的な金融支援をおこない、経済危機を回避することを目的としている。これにより経済的なショックが世界全体に波及するのを防ぎ、加盟国が適切な経済政策を実施できるようサポートする。(※1)

財政・金融政策の監視

IMFは、国際通貨制度の安定を維持し危機を防ぐために、サーベイランス(政策監視)を行っている。サーベイランスを通して地域や世界の経済と金融市場の動向も監視し、経済の状況を精査し、持続的な成長を目指す政策を提言するために定期的に加盟国政府と政策対話を実施している。(※1)

IMFの3つの役割と主要業務

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前述した目的を果たすために、IMFは次の3つの役割を担っている。また、その役割は主要業務でもある。

サーベイランス(政策監視)

サーベイランスとは「政策監視」を意味し、世界、地域、各国の経済と金融の状況を監視し、加盟国に経済政策に関する助言することをいう。このサーベイランスを通じて国際通貨制度の安定を維持し危機を防ぐ役割をしている。また、問題点を明らかにするためにもおこなわれている。(※1)

資金援助

IMFは、国際収支の問題のある加盟国に対して融資をおこなっている。具体的には、該当する加盟国が国際収支上の必要があれば融資を申し込める。経済の安定と成長の回復に向けて政策を実施するうえで、財政の余裕を持てるよう支援するかたちだ。また、経済危機を防ぐための予防的な融資もおこなっている。(※1、※2)

技術支援

IMFでは、中央銀行業務、通貨為替政策、税制、統計など幅広い分野の技術支援と研修を実施している。これは、どの加盟国でも要請があれば活用できる。技術支援の目的は、財務省や中央銀行などの能力向上、加盟国の人的資源を対象として経済政策の立案・実行能力向上を支援することである。(※1、※3)

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IMFと他の国際機関の違い

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IMFと混同しがちな国際機関に「世界銀行」と「WTO」がある。それぞれとの違いを解説する。

世界銀行との違い

世界銀行は、途上国の開発や貧困削減、経済成長と開発を促進することにより人々の生活水準を改善することを目的とし、資金の融資や能力育成活動を提供する国際開発金融機関である。(※4)IMFは国際通貨制度の安定を目的としているため、その点が大きな違いだ。

WTOとの違い

WTO(世界貿易機関)は、国家間の貿易の規則を取り上げ、貿易の円滑化や政府間の貿易紛争の解決、貿易政策の検討、貿易に関する交渉のためのフォーラムの提供などを目的とした国際機関だ。(※5)IMFとは目的が異なるが、世界の経済政策立案における一貫性を高めることを目指し、互いに協力しあっている。(※6)

IMF加盟国とその出資比率

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IMF加盟国とその出資比率について説明する。

IMF加盟国数

IMFに加盟している国は190カ国である。(2022年10月時点)(※7)

主要加盟国の出資比率

国際通貨基金(IMF)の主要加盟国の出資比率は、米国が17.4%、日本が6.5%、中国が6.4%、ドイツが5.6%となっている。(2023年12月時点)(※8)

IMFに加盟するメリット

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IMFに加盟するメリットには、次のようなものが挙げられる。

国際収支の悪化に対する資金援助

国際収支が著しく悪化した場合、加盟国は融資を申し込むことができる。ファシリティの種類は3つあり、最貧の加盟国に対し、年利0.5%、期間10年の譲許的融資をおこなう「貧困削除・成長ファシリティ」、おもに短期的な国際収支の問題に対処するために利用される「スタンドバイ取極」、改善に時間を要する構造的な問題のために国際収支の悪化に苦しむ加盟国を支援する「拡大信用供与措置」がある。また災害や軍事紛争によって国際収支の悪化に陥った加盟国に対し、緊急支援もおこなっている。(※1)

経済政策に関する助言や技術支援

IMFでは、以下の4分野を対象とした技術支援を提供している。
・通貨および金融に関する政策
・財政政策とその運営
・統計データの作成・管理・公表およびデータの質の向上
・経済と金融分野での立法
これらの技術支援は、IMFの職員が加盟国を訪れて政府や中央銀行の職員に対して助言する方法や、専門家を現地に派遣するという方法によって実施される。(※1)

国際社会からの信頼向上

IMFに加盟すると、自国の経済と金融に関する政策が国際社会によって精査されること、秩序ある経済成長と物価の安定に向けた政策を実施すること、不公正な競争上の優位を得るための為替操作をおこなわないことなどを、国際社会の経済ルールや基準にしたがって行動する意思を示すことになる。そのためIMFへの加盟は、国際社会からの信頼向上につながる可能性がある。(※1)

IMFの課題

課題

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IMFの課題や問題点を紹介しよう。

ガバナンスの問題

IMFでは、加盟国の出資割合に応じて議決権が割り当てられている。重要な事案を決めるには全体の85%以上の同意が必要なため、出資割合に応じて議決権が割り当てられている加盟国の投票数の増減が、IMF内部のガバナンスに直結する。よって出資額の多い先進国が影響力を持ちやすく、成長著しい新興国や途上国の声が十分に反映されていないことが課題となっている。(※9)

政策の有効性

IMFは加盟国に対し、共通の政策方針を提示することがある。しかし各加盟国は現状の経済構造や特性が異なることから、共通する政策方針がどの国にも有効とは限らない。そのため、政策の有効性が疑問視されている。

コンディショナリティー

コンディショナリティーとは「融資条件」のことを意味する。IMFが国際収支の悪化に陥っている国へ資金援助する場合、コンディショナリティーが課される。近年においては、このコンディショナリティーが肥大化していることも問題となっている。(※10)

IMFは世界経済の安定を目的とした国際機関

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IMFは、サーベイランスや資金援助、技術支援などをおこない、国際通貨システムの安定を維持することを目的としている国際機関だ。IMFの業務は、SDGsの「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「働きがいのある仕事と経済成長を」などにもつながる。IMFの活動に、これからも注目していこう。

※掲載している情報は、2024年10月24日時点のものです。

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