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日本には多くの湖がある。この記事では湖の大きさ・深さ・透明度をそれぞれランキングで解説する。また日本の湖の特徴や環境問題、美しい湖を守るためにできる取り組みを紹介する。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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ここでは日本国内の湖について、面積が大きい順にその特徴をランキング形式で解説する。(※1)
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日本最大の湖で、滋賀県の面積の約6分の1を占め、「Mother Lake」と称し滋賀県のシンボルとして親しまれている。多くの生態系が存在し、水資源としても重要だ。またレジャーや観光スポットとしても人気である。
霞ヶ浦は、関東地方の水源として重要な役割を果たしている。湖畔では釣りやヨットなどが楽しめ、自然環境も豊かである。
日本最大の汽水湖で、牡蠣やホタテの養殖が盛ん。湖畔には自然が残され、サロマ湖展望台からの眺望は絶景として知られている。
猪苗代湖は広大で透明度が高く、湖畔にはリゾート地が広がっている。国指定天然記念物のミズスギゴケ群落や、白鳥の飛来地としても知られる。
鳥取県と島根県にまたがる汽水湖で、漁業が盛ん。宍道湖とともに中海・宍道湖圏域を形成し、釣りや観光スポットとしても親しまれている。
日本最大のカルデラ湖で、湖畔には温泉が湧き出している。観光地としても有名で、自然豊かな風景が広がっている。
島根県の代表的な湖で、夕日が美しいことで有名。シジミの産地としても知られ、観光地としても人気を集めている。
名前の由来はアイヌ語で”大きな窪地”を意味する「シ・コッ」が語源と言われている。透明度が高く、四季折々の自然が楽しめる湖。周辺には温泉やキャンプ場が点在し、アウトドアや観光を楽しめる。
カルデラ湖で、周辺にはリゾート施設や温泉地が広がる。火山の景観が特徴的で、花火大会などイベントも多く開催されている。
静岡県西部に位置する湖で、うなぎの養殖が有名。観光地としても人気があり、マリンスポーツや温泉など多彩なアクティビティが楽しめる。(※12)
ここからは、日本の湖大きさランキングの11位以降をみていこう。
順位 | 湖 | 湖面積/平方km | |
11 | 風蓮湖(ふうれんこ) | 北海道 | 64.17 |
12 | 小川原湖(おがわらこ) | 青森県 | 61.96 |
13 | 十和田湖(とわだこ) | 青森県・秋田県 | 61.10 |
14 | 能取湖(のとろこ) | 北海道 | 58.18 |
15 | 北浦(きたうら) | 茨城県 | 35.04 |
16 | 厚岸湖(あっけしこ) | 北海道 | 32.70 |
17 | 網走湖(あばしりこ) | 北海道 | 32.27 |
18 | 八郎潟(はちろうがた) | 秋田県 | 27.75 |
19 | 田沢湖(たざわこ) | 秋田県 | 25.80 |
20 | 摩周湖(ましゅうこ) | 北海道 | 19.22 |
世界の湖ランキング(湖面積・水深・透明度)はこちら。
水深の深い日本の湖を、TOP10まで紹介する。(※1)
日本一深い湖で、澄んだ青い湖面が特徴。湖には美しい「辰子姫伝説」が残り、四季折々の風景が楽しめる。
およそ4万年前に支笏火山の噴火でできた陥没地に水が溜まって形成されたカルデラ湖。透明度が高く「支笏湖ブルー」として知られている。温泉地が点在し、カヌーやダイビングなどのアクティビティが充実している。
青森・秋田両県にまたがる湖で、カルデラ湖としても有名だ。御倉半島と中山半島に挟まれた中湖では約327mの水深がある。大地をえぐった噴火のエネルギーのすさまじさと、形成にかかった年月の長さを感じることができる。遊覧船が楽しめ、春の新緑や秋の紅葉が美しい観光スポットとして親しまれている。
南九州最大のカルデラ湖。誕生は約5700年前で、1回の噴火で形成されたのではなく、周辺部も含めると6回の噴火で現在の形状になった。周辺には温泉や観光スポットがあり、桜島や開聞岳の絶景を楽しめる。
「霧の摩周湖」として有名で、霧に包まれた神秘的な風景が魅力。世界有数の透明度を誇り、晴れた日には湖面が深い青色に輝く。注ぎ込む川も流れ出る川もないのに水位がいつも変わらない、神秘的な湖。
約11万年前の大噴火によって形成されたカルデラに水がたまってできたカルデラ湖。中央に浮かぶ中島は、約5万年前に洞爺湖の中央部でおきた火山活動によってつくられた溶岩ドーム。湖畔にはリゾート地が広がり、花火大会も有名である。
日光国立公園内に位置する湖で、周辺には華厳の滝や二荒山神社がある。海抜1269mで、人造湖を除く4㎢以上の湖を対象とすると日本一標高の高い場所にある湖。ボートや釣り、紅葉狩りなども人気だ。
支笏洞爺国立公園にある丸い形のカルデラ湖で、透明度の高さが自慢。約4万年前のクッタラ火山の山頂部の陥没によりできたとされる。静かな環境で、自然そのままの姿が保たれている。
富士五湖の一つで、逆さ富士が見られる絶景スポットだ。「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」の一部として、世界文化遺産の構成要素に含まれている。透明度が高く、ダイビングやカヌー、釣りなど多彩なアクティビティが楽しめる。
日本最大のカルデラ湖で、小さな流入河川がいくつも見られ、それが釧路川1本となって流れ出している。酸性の水を湖にもたらす湯川が流れ込み、湖底にも温泉が噴出しているため、湖水の酸度は高く、水草も少ない。湖畔には温泉も湧き出ている。冬季には「御神渡り」も見ることができる。
ここからは、透明度の高い日本の湖をランキング形式で紹介する。(※2)
*なお、環境庁による全国の湖の透明度などに関する調査は、第4回(1993年)以降行われておらず、同ランキングはこの調査結果をもとにしたものであり、現在はランキングが変動している可能性がある。
摩周湖は栄養が少ないため、植物プランクトンに由来する光吸収が少ない。その結果として独特な青い湖水を生じている。なお夏場は植物プランクトンの数が増え、透明度が下がる。
倶多楽湖は22mの透明度で、北海道でも屈指の水質を誇る。湖に流れる沢はあっても湖から流れる川はなく、クリアな湖水が特徴である。
赤沼は蔦の七沼のひとつで、青森の自然に囲まれた静かな湖だ。澄んだ湖水を保ち、透明度が高いのが特徴だ。
支笏湖は澄んだ湖水を持つカルデラ湖で、水質が非常に良好だ。水中の栄養分が少なく、プランクトンの発生が少ないことから透明度は非常に高い。
パンケトーは透明度が高く、時によっては湖底まで見通せる。国立公園のなかでもっとも厳重に保護される「特別保護地区」に指定され、ふだんは立ち入りが規制されており、水質が高く保たれている。
大沼池は透明度が高く、長野県でもとくに水質が良好な湖だ。鮮やかな湖水は水質によるものとされており、ph4.4という非常に強い酸性の水のため魚は生息していないという。
菅沼は透明度が高く、群馬県内でも有数の美しい湖だ。ダムの影響で水位が多少上下し、以前は水の透明度が19mあったが現在は低下している。
宇曽利山湖は、透明度が高い静かな湖だ。火山活動により形成されたため、周囲の地形が水質の保全に寄与している。水質はpH値が約3.2~3.8の強酸性で、普通の生物は生きられない環境である。
ペンケトーは、上述したパンケトーと隣接する美しい湖だ。ペンケトーの水が、パンケトーに注ぎ込んでいる。
本栖湖は富士五湖の一つ。水中では魚などの生物や、かつての噴火によるクレーターや沈んだ巨木などが見られる。西湖、精進湖と同じ水脈を有しているとみられ、水位が連動する傾向がある。
日本の湖には、いくつかの特徴がある。でき方、水質、役割について見ていこう。
湖の形成方法は大きく3つある。カルデラ湖は火山活動によってできた窪地に水がたまった湖で、代表的な例は十和田湖や屈斜路湖だ。断層湖は断層によってできた凹地に水がたまった湖で、諏訪湖が該当する。海跡湖は砂州や砂嘴によって海の一部が囲まれてできた湖で、サロマ湖がその例である。(※3)
湖の水質は汽水湖と淡水湖に分けられる。汽水湖は海水と淡水が混ざり合った湖で、代表的な例は浜名湖である。淡水湖は純粋な淡水のみを含む湖で、琵琶湖がその例である。
湖は重要な水源としての役割を果たしている。例えば、琵琶湖は淀川の水源となっており、関西地域の水供給に大きく貢献している。
日本の湖でいま、数々の問題が起きている。どれも私たちの生活に直結するものだ。
富栄養化は湖に栄養分が過剰に供給される現象で、藻類の異常繁殖を引き起こす。これにより水質が悪化し、生態系に悪影響を及ぼす。近年では、下水・農牧業・工業排水など多岐にわたる人間活動の影響により、水中肥料分の濃度上昇が懸念されている。(※4)
産業排水や生活排水による、湖の水質汚染が問題となっている。水の汚れは、かつては産業排水が主原因だったが、工場などに対する規制が強化され、排水処理対策の進んだ今日では、生活排水が汚れの大きな原因となっている。これにより湖の生態系が破壊され、飲料水などとしての利用が困難になる場合がある。(※5)
外来種の魚や植物が湖に侵入し、元々の生態系を脅かす問題がある。例えば、ブラックバスやブルーギルなどが在来種の魚を捕食したり、外来植物が湖岸を覆い尽くしたりすることで、在来の生物や生態系に大きな影響を与える。(※6)
都市化や農業用水の過剰な取水により、湖の水位が低下する問題もある。とくに地下水の利用が過剰になると、湖の水位が下がる。そうなると生態系が破壊されるだけでなく、周辺の湿地や動植物の生息環境も脅かされる。
美しい日本の湖を守るためには、私たちの日常生活における小さな行動が重要だ。例えば排水に流れる残飯の量を減らす、食器や鍋の汚れは新聞紙でふき取ってから洗うことで、排水中の有機物を抑えられる。
また天ぷら油などの油類は凝固剤で固めて捨て、無リン洗剤や粉せっけんを使用することで環境への負担を軽減できる。さらに洗剤の使用量を適切に管理し、米のとぎ汁は富栄養化を防ぐため植木や畑の水やりなどに活用することが望ましい。
日本各地には、美しい湖が点在している。湖は自然環境を提供するだけでなく、私たちの生活にとっても重要な役割を果たしている。しかし富栄養化や水質汚染、外来種の侵入、湖の水位低下など、さまざまな環境問題に直面している。このような問題に対処するためには、私たち一人ひとりが環境に配慮した生活を送ることが重要だ。排水の処理や無害な洗剤の使用、ごみの適切な処理など、日常生活の中でできる小さな行動を、さっそく今日から始めてみたい。
※1 湖沼調査|国土地理院
※2 環境庁自然保護局|第4回湖沼調査
※3 日本の自然湖沼の成因|環境科学技術研究所
※4 富栄養化とは?|環日本海海洋環境ウォッチ
※5 川や海の汚れの主な原因は何ですか?|愛知県
※6 外来生物(外来種)問題|WWFジャパン
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