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米・ニューヨーク州議会が、ファッションモデルの権利を保護することを目的とした「ファッション労働者法」を承認した。環境への負荷が大きいなど、さまざまな問題を抱えるファッション業界において、今後、モデルの労働環境はどう変わるのか?
Naoko Tsutsumi
エディター/ライター
兵庫県出身。情報誌、カルチャー誌、機内誌など幅広いジャンルの媒体の編集に携わる。コロナ禍にシンガポールへ移住。「住む」と「旅」の視点の違いに興味を持ち、地域の文化の違いを楽しんでいる。
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ファッション業界の課題として環境負荷とともに、労働・人権問題に注目が集まっている。製造過程における下請け工場の過酷な労働環境が明るみになったことで、搾取的労働で労働者の人権を侵害していないのか、ということがいま企業に問われている。
さらに、欧米を中心にファッションモデルの労働環境・条件にも関心が寄せられている。そのようななか承認されたのが、ニューヨーク州での「ファッション労働者法(Fashion Workers Act)」だ。
現在、モデルマネジメント会社が、モデルへのギャランティを受け取り、経費を差し引き、モデルの画像の使用許可を管理するケースが多いという。それによって、個々の契約以外では、モデル側は搾取されやすかった。この“力の不均等”を是正するために提案されたのが、今回の法案だ。
アメリカのラジオ局「WSKG」の記事によると、「ファッション労働者法(the Fashion Workers Act)」を支援するブラッド・ホイルマン=シガール州上院議員はニューヨークのファッション業界の現状について、「消費者が目にするラグジュアリーとはかけ離れている」とし、「私たちの州の経済的・文化的基盤の重要な一部である労働者に対して、透明性、説明責任、職場の安全基準をほとんど欠いている」と述べた。
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「ファッション労働者法」は、モデルマネジメント会社に対し、モデルへの公正かつタイムリーな支払いを保証し、モデルの画像を同意なく使用できないようにするものだ。
ファッション業界における労働者の権利の保護・向上のために活動する非営利団体「モデル・アライアンス」によると、今回の法律は、モデルやコンテンツクリエイターなどを対象とした法律の誕生になるという。
華やかにみえる裏で搾取されやすかったファッション業界。ニューヨーク州でのムーブをきっかけに、他の国や地域でも業界変革の一歩になってほしい。
※参考
Fashion Workers Act passes New York state assembly in bid to correct ‘gross power imbalance’ |Fashion Dive
Fashion Workers Act passes legislature, heads to governor's desk|WSKG
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