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「デミセクシャル」というセクシュアリティをご存知だろうか。「LGBTQ+」のうち「Q+」の部分に入る、まだあまり知られていないセクシュアリティの1つ。デミセクシャルの特徴や抱える課題、必要な行動などについて解説する。
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「デミセクシャル」とは、基本的に性的な欲求を抱くことはないが、特定の相手、深い愛情や友情といった絆を共有する相手に対してのみ、性的魅力を感じることがある性的指向のことをいう。(※1)
この欲求は相手との深い絆や信頼関係を重視するため、初対面の人や知り合ってから日の浅い人に対して性的魅力を感じることがほとんどない。ごく一部の人にのみ性的欲求を抱くセクシュアリティである。
デミセクシャルに似たセクシュアリティに「デミロマンティック」がある。デミセクシャルとデミロマンティックの違いは、性的指向とロマンティックな感情(恋愛感情)の違いにある。デミセクシャルは、性的な魅力や欲求を感じるために深い愛情や絆が必要であり、特定の相手に対してのみ性的な関心を持つ性的指向である。
一方のデミロマンティックは、性的な魅力や欲求とは異なり、ロマンティックな関係(恋愛関係)において深い感情を持つ傾向がある。簡潔にいうと、デミセクシャルは性的な側面に焦点を当て、デミロマンティックはロマンティックな感情(恋愛感情)の側面に焦点を当てた性的指向の違いである。
デミセクシャルはアセクシャルに近いといわれているが、完全にアセクシャルではないと考えられている。アセクシャルは、他者に対する性的な関心や欲求が非常に少ないか、全くない性的指向だ。
デミセクシャルも基本的に性的な欲求を抱くことはないが、相手と強いつながりを感じることができれば性的な魅力や欲求を感じる可能性があるのに対し、アセクシャルはどの条件下でも他者に対して性的欲求も恋愛感情も抱かない。
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セクシュアリティは、個人の経験や価値観などに基づき形成されるものである。そのためデミセクシャルといっても、多様な特徴があるということをまずは理解しなければならない。以下では、デミセクシャルの基本的な特徴について紹介する。
性的欲求には、深い愛情や絆が必要である。彼らは、深い感情的なつながりがある相手に対してのみ性的な魅力を感じる傾向がある。そのため、初対面や浅い関係では性的な関心が芽生えにくい。
時間をかけて、徐々に性的欲求が芽生えることが多い。デミセクシャルは相手との精神的なつながりを重視する。そのため多くの場合、仲のいい友人や昔からの友人など、時間をかけて築いてきた信頼関係や絆があるところから性的な欲求が芽生え、恋愛感情に発展する傾向がある。
デミセクシャルが性的な魅力を感じるためには、信頼関係とオープンなコミュニケーションが不可欠だ。一番大切にしているのは、性別ではなく相手との深い精神的な絆。パートナーとの信頼関係やオープンなコミュニケーションを通じて性的な興味を育み、性的な関心が芽生える。
デミセクシャルは、恋愛感情と性的欲求が密接に結びついている。まずは愛情深い関係が築かれ、その強い関係性を感じられる相手に対し、初めてそこから性的な魅力に発展する傾向がある。
デミセクシュアルに関する理解はまだ社会に広く浸透していないため、誤解されることも多い。デミセクシャルの人々は、さまざまな経験や感情を抱えながら日々の生活をおくっている。デミセクシャルが抱えている課題について、以下にいくつか解説する。
デミセクシャルは深い感情を持つことが必要なため、パートナー探しに時間がかかる場合がある。一般的な出会いやデートでは性的な魅力が発揮されず、適切な相手を見つけるのが難しい。
デミセクシャルの性的指向に対する社会の認知度はまだ低く、理解も進んでいないのが現状である。デミセクシャルでない人は、例えば有名人やアイドル、あまり話したことがないクラスメートなど、精神的に深い絆を得なくても性的魅力を感じる場合があるが、デミセクシャルの人はそういったことはない。学童期や青年期を通して、恋愛や性的魅力についての会話が友人たちとなされるたびに、自分はみんなと違うと疎外感を感じ、戸惑う経験をする。
そういった悩みや葛藤を抱えたデミセクシャルに対し、「相手のことをよく知ってから体の関係を持ちたいというのは、デミセクシャルでなくても抱く普通の感情ではないか?」、「そんな性的指向はないのでは?」といった発言や意見は、否定し傷つける行為となる。友人や他の人からなかなか理解してもらえないケースも多く、社会的理解の欠如から適切なサポートが得られない状況がある。
デミセクシャルは一般的な性的指向とは異なるため、誤解や偏見に晒されることがある。デミセクシャルは性的欲求をもたない人が多く、2014年のAVENの国勢調査によると、デミセクシャルの3分の2が性行為に興味がないか、性行為に嫌悪感を抱いている(※1)。しかし、けっして全員がそうというわけではなく、一概にグルーピングすることは難しい。性的指向を理解せずに断定的に判断されることで、不当な扱いを受けることがある。
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デミセクシャル、アセクシャル、バイセクシャルなど、それぞれのセクシュアリティを尊重することは、包括的で包容的な社会を構築するうえで不可欠だ。そのために必要な、具体的な行動について解説する。
まずは知識を深めることが、性的指向やアイデンティティを尊重するうえで重要な役割を果たす。深い理解や知識があれば、他者のセクシュアリティやアイデンティティに対する偏見や誤解を減らし、相手を理解・尊重し、個々の経験や感情に敬意を払うことが容易になる。その結果として多様性を受け入れ、差別や偏見を排除した公正な社会を築くことが可能となる。
個々のアイデンティティを認めることは、性的指向やアイデンティティを尊重するうえで重要なステップだ。人々が自らのセクシュアリティやアイデンティティを認識し、表現することを容認、尊重することが重要である。
個々のアイデンティティを認めることで、他者の多様性を尊重し、異なる経験や背景を受け入れる環境を育む。これにより人々は自由に自己を表現し、自己実現する機会を得られる。その結果、人々は自由に生きることができ、誰もが尊重される環境が構築される。
偏見のない公平な態度を心がけることは、性的指向やアイデンティティを尊重するうえで極めて重要な行動だ。人間は自分と異なるもの、異なる価値観に対し、否定的な態度を取ってしまうことが往々にしてある。それは自己を守るための行為でもある。しかしながら、他者を否定するということは、ときに自分を否定されることも許容していることになる。
他者に対して公平な態度を示すことで、他者の性的指向やアイデンティティに基づく差別や偏見を排除し、個々の自己を受容する社会環境を形成が可能となる。そうすることで、異なる性的指向やアイデンティティを持つ人々が安心して自己表現でき、社会に参加できる。
また他者との関係を築く際にも、互いを尊重し理解し合う土台が生まれる。このような環境が整うことで、個々の人々が自己実現を果たし、幸福な生活を送れる社会が築かれる。
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多様なセクシュアリティを知ることは、個々の人々が自己を理解し、受け入れるうえで重要だ。今回の記事では、デミセクシャルについて紹介した。それぞれのセクシュアリティが知られることで、自分や他者の多様性を認識し、偏見や誤解を減らせる。また、悩みを抱える人や自己を探求する人々にとって新たな視点や理解のきっかけとなり、自己受容と共感の道を開く手助けとなる。
セクシュアリティは一人ひとりが持つ個性であり、名前がついているもの、ついていないもの、簡単には分類できないもの、多様に存在する。そしてどれであっても、誰もが自分らしく生きる権利がある。
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