デュアルキャリアとは?アスリートの新たな選択肢 メリット・課題を解説

走る選手たち

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アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる期間は限られており、やがて引退という道をたどることとなる。引退後のキャリアに悩まないように、現役時代からデュアルキャリアという選択をするアスリートが増えてきている。この記事では、デュアルキャリアについて詳しく解説する。

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2024.04.08
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デュアルキャリアとは

オフィスビル

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デュアルキャリアは、競技を続ける現役中から将来を見据えた準備をすること。主にアスリートのキャリアに用いられる概念で、競技活動を続けながら、同時に企業での仕事をこなすことや、現役中から引退後のキャリアについて積極的に取り組むことが挙げられる。アスリートとしての活躍だけではなく、現役引退後のキャリアや生活を念頭に置き、社会でのキャリアを並行して築くことを意味している。

また、デュアルキャリアと似た言葉にセカンドキャリアがある。セカンドキャリアは、最初の職業やキャリアを終えた後に新たな職業やキャリアを築くことを指す。

現役アスリートが抱える3つの課題

赤と黄の運動靴

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現役アスリートは、競技の最前線で活躍するためにパフォーマンスや成績を上げること以外にも、近い将来に訪れる「引退」に関して不安を抱えている。ここでは、現役アスリートが抱える課題を3つ紹介する。

競技生活の短さ

多くのアスリートは、競技人生が限られた期間であることを認識している。一般の職業よりも体を追い込むため、歳を追うごとに体力が衰えていく。さらには、年々エネルギッシュな若手も競技に参加してくるため、競争もどんどん激しくなっていく。また、怪我によって競技を続けられなくなるリスクも抱えている。そのため、多くのアスリートは常に引退と隣り合わせの状況ともいえ、現役引退後に関わる漠然とした不安を抱える人も多い。

社会経験やスキルの不足

アスリートが漠然と抱える不安の一つとして、競技と関わっていない自分を想像できないということが挙げられる。具体的には、競技以外の社会経験やスキルの不足に不安を覚える人が多い。アスリートはこれまでの人生の大半をスポーツに捧げてきており、就職活動やビジネス的なコミュニケーションをとったことのない人もいる。社会的な経験や一般的な職業で必要なスキルを十分に身につけていないと感じることで、引退後の将来に不安を覚えるようだ。

経済的な不安

経済的なことも、アスリートが抱える不安の一つだ。競技生活中はスポンサーシップや契約金に頼って生活していることも多く、引退後の安定した収入源の確保が難しいこともある。セカンドキャリアに移行する際に、多くの現役アスリートが現在の生活を維持できなくなるという不安を感じている。

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アスリートがデュアルキャリアを選択するメリット

テニスラケットとボール

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アスリートが現役期間中にデュアルキャリアを築いておくことのメリットについて解説する。

経済的不安の解消

デュアルキャリアの最大のメリットは、経済的な不安を軽減できることだ。アスリートは競技生活中に収入を得る機会が限られているが、デュアルキャリアを選択することで、競技以外の分野での収入源を確保することができる。引退後の生活やキャリアがより安定し、将来設計を立てやすくなる。

キャリアリスクの分散

デュアルキャリアには、キャリアリスクを分散する役割もある。競技生活は成績不振による収入の減少や、故障など不確実なリスクに晒されることも多く、場合によっては予期せぬ引退に追い込まれることも考えられる。デュアルキャリアによって、競技以外のキャリアを並行して築くことで引退後の安定につながる。

異業種でのスキルアップ

デュアルキャリアを進めることで、異なる業界でのスキルアップも可能となる。もちろん、アスリートはトレーニングや競技活動を通じてリーダーシップや協調性を学び、社会で必要なストレス管理などのスキルを身につけることができる。一方、別のキャリアをもつことで、社会人としてのビジネススキルも同時に磨くことができ、キャリアの幅がより広がるだろう。

社会とのつながりができる

競技とは別の領域でキャリアを築くデュアルキャリアは、アスリートと社会とのつながりをより強いものにする。競技者は競技活動を通じて多くの人と出会い交流するが、基本的にその競技におけるコミュニティにとどまりやすい。しかし、社会人としてのキャリアを並行して築くことで、さらに広い社会とのネットワークを構築することが可能になる。

引退後のキャリアプランの具体化

引退後のキャリアプランは、先にも述べたとおり多くのアスリートにとって不安の原因となる。事実、競技者は競技生活に多くの時間と労力をかけるため、引退後のキャリアについてじっくりと考える機会を失いがちである。しかしデュアルキャリアによって、現役期間中に競技とは別のキャリアについて考える機会も増える。そのため、競技生活を終えた後も自らが本当に望むキャリアプランをスタートできるのである。

デュアルキャリアの問題点

高層ビル

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デュアルキャリアには、アスリートの抱える問題を解決するメリットがある一方で、実際に行うにあたっては課題もある。

時間管理の難しさ

デュアルキャリアを成功させるためには、競技と仕事の両方に十分な時間を割く必要がある。しかし練習や試合に加えて、仕事においても十分なパフォーマンスを発揮するためには、タイトな時間管理が必要になり、場合によっては実践することが難しいことも考えられる。

体力的な負担

競技と仕事の両方に取り組むことは、身体的にも精神的にも負担が大きくなる。長時間の練習や試合に加えて、仕事でのストレスや責任も重くのしかかるであろう。また十分な休息を確保することが難しく、疲労やストレスが蓄積されることで、パフォーマンスの低下やケガのリスクも高まる懸念もある。

キャリアの停滞

デュアルキャリアでは、どちらかのキャリアを優先するか決断しなければならないタイミングがやってくる。競技の成績を維持するために仕事を犠牲にするか、逆に仕事を優先するために競技活動を減らすか、重要な選択である。選べなかった場合、どちらのキャリアも本来の成長や発展を遂げることができず、キャリアの停滞が生じるかもしれない。

企業側の理解不足

アスリートがデュアルキャリアを行う際には、契約しているスポンサーや働く企業側の理解が必要となる。しかしデュアルキャリアの概念はまだ浸透段階にあり、一般企業ではアスリートの競技活動に理解ができず、柔軟な対応ができないことも考えられる。またスポンサーとの契約内容によっては、デュアルキャリアそのものを開始できない可能性もある。

アスリート採用を推進する企業の事例

ここでは、デュアルキャリアに理解をもつ、アスリートの採用を推進する5つの企業を紹介する。

JOC - アスナビ

アスナビは、現役トップアスリートと企業をマッチングする就職支援制度で、日本オリンピック委員会(JOC)が行っている。デュアルキャリアにおける競技と仕事の両立を支援し、アスリートの能力をビジネス社会で活かすことを目的としている。

スポナビアスリート

スポナビアスリートでは、デュアルキャリアやセカンドキャリアをサポートするキャリア支援や活動支援を提供している。現役期間と新たなキャリアの両立に不可欠な、アスリートとしてのパフォーマンス向上支援も行っており、栄養学講座やメンタルサポートなども受けられる。

バリュエンスホールディングス

バリュエンスホールディングスは、アスリートのデュアルキャリア採用に力を入れている企業だ。アスリートが社会人としてもアスリートとしても本気で活躍できる環境を提供し、100人のアスリートを採用することを目標としている。

セールスフォース・ジャパン

セールスフォース・ジャパンは、パラアスリートの採用や支援を行っている企業だ。多くのアスリートが仕事と競技を両立し、自己の成長や新たな挑戦を実現できる環境を提供している。

スポカチ

スポカチは、スポーツ経済の発展を目指し、スポーツ関連企業やスポーツチームの企画運営を行う企業である。また、デュアルキャリア人材の紹介や教育事業を展開するなど、多岐にわたるアスリート支援を行っている。

デュアルキャリアを支援する団体や企業が増えている

走る人々

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アスリートにとって、競技から離れた後のキャリアプランは死活問題である。現時点では、体力や時間など多くの課題を抱えているものの、デュアルキャリアを進めることで引退後のキャリアも安定し、ひいてはよりよい人生を送ることにつながる。

就職先を選ぶ際には、デュアルキャリアを支援している団体や企業のサポートを受け、これまで築いてきたアスリートとしての経験を活かして新たなキャリアを形成したい。

※掲載している情報は、2024年4月8日時点のものです。

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