世界のLGBTの割合は約8% 最新2023「LGBT+が多い国ランキング」と日本の現状

葉を持つ女性

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ここ数年で日本でもLGBTという言葉が広がってきたが、世界や日本でLGBTの人の割合はどのくらいだろう?この記事では、最新の調査結果を用いて世界のLGBT+の割合と現状について解説し、我々の住む日本との比較も行っていく。

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2024.04.08
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LGBTとは

LGBTとは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(異性や同性に対して愛や性的魅力を感じる人)、トランスジェンダー(生物学的な性別とは異なる性自認を持つ人)のこと。

さらに、クエスチョニング(性的指向や性自認について自己探求中の人)、パンセクシュアル(すべての性別や性自認に対して性的魅力を感じる人)、オムニセクシュアル(あらゆる形態の性的関係に興味を持つ人)、無性愛者(性的魅力や欲求を感じない人)などの多様な性的マイノリティやジェンダー・セクシャリティの表現を包括して「+(プラス)」をつけて「LGBTQ+」という・

多くの人が住みやすい社会を実現するために、多様性を尊重し、社会的な受容を促進するための運動と理解が必要とされている。

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世界のLGBT+の割合

カラフルな壁

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世界には、LGBTQ+の人々はどのくらいの割合いるのだろうか?

世界人口の平均約8%がLGBT+

日本も含め、世界30か国の成人22,514人に行われた「イプソス LGBT+ プライド 2023 」の調査で、最新の世界のLGBT+の割合が示されている。(※1)

調査対象となった30か国では、LGBT+を自認する人口の割合が平均で約8%であることが示されている。この内訳は、3%がレズビアンまたはゲイ、4%がバイセクシュアル、1%がパンセクシュアルまたはオムニセクシュアル、1%がアセクシュアルだ。

30か国の平均 LGBT+8%
レズビアン/ゲイホモセクシュアル3%
バイセクシュア4%
パンセクシュアル/オムニセクシュアル1%
アセクシャル(無性愛者)1%

男性は女性よりも同性愛を認識する割合が高く、男性は4%が自己を同性愛者と認識しているのに対し、女性は1%にとどまる。しかし、バイセクシュアル、パンセクシュアル、またはオムニセクシュアル、無性愛者として認識する可能性は男性と女性で同等と割合である。

また、世代間でも差異が見られる。1997年から2012年頃までに誕生したZ世代は、ミレニアル世代の約2倍、X世代とそれ以前のベビーブーマー世代の約4倍がバイセクシュアル、パンセクシュアル、オムニセクシュアル、または無性愛者として認識する可能性が高いようだ。

地域によっても異なり、スペインでは同性愛者またはレズビアンとして自己申告する割合がもっともも高く6%、ブラジルとオランダではバイセクシュアルとして自己申告する割合がもっとも高い7%となっている。

ジェンダーに関しては調査対象の国々で、1%がトランスジェンダー、1%がノンバイナリー、ジェンダー不適合、またはジェンダーが流動的であると回答している。また、ジェンダー多様性や認識も地域や世代によって異なる結果も見られる。

LGBT+の割合が多い国ランキング

各国のLGBT+の割合とランキングは以下のとおりだ。

1位ブラジル14%
2位スペイン12%
3位オランダ11%
4位イギリス11%
5位ニュージーランド10%
5位オーストラリア10%
5位コロンビア10%
8位スイス9%
8位カナダ9%
8位フランス9%
8位ドイツ9%
8位アメリカ9%
13位ベルギー8%
13位メキシコ8%
13位アルゼンチン8%
13位チリ8%
13位タイ8%
13位トルコ8%
19位スウェーデン7%
19位シンガポール7%
19位南アフリカ7%
19位イタリア7%
19位ルーマニア7%
24位ハンガリー6%
24位ポルトガル6%
24位韓国6%
27位アイルランド5%
27位ポーランド5%
29位日本4%
29位ペルー4%

LGBT+の割合がもっとも高い国はブラジル

LGBT+の割合がもっとも高い国はブラジルだった。その理由として、国内でのLGBT+を含む社会的マイノリティを保護するための法的な整備や差別の撤廃政策が進んでいることがある。

ブラジルでは2011年に最高裁判所が同性愛カップル間の法廷同棲を認めた。さらには、同性婚に関する動きもあり、同性婚カップルによる婚姻届提出を拒否しない方針を示している。

また差別言動・行為に罰則・罰金を科す法案の成立も進んでおり、LGBT+への差別を禁止する動きも見られる。2019年にはブラジル連邦最高裁は人種差別を最高禁錮5年の刑とする法律を改正。LGB+Tへの差別もこれに含める判断を示しており、LGBT+の権利が法的に保障される方向に進んでいる。

そのほかにも多くの法的な変化や社会的な取り組みによって、ブラジルではLGBT+の権利が徐々に認められ、社会的な受容が広がっていることが今回の調査結果に現れたと考えられる。

日本のLGBT+の割合

平原の桜

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一方、同調査結果で、日本のLGBT+の自己識別率は、バイセクシュアルが1%、アセクシャルが2%で、全体のLGBT+の割合は4%だった。この割合は、調査を行った30か国の中で下位の部類に入る。

この自己識別率の低さは、先に述べた社会的な偏見や法的な保護の不足、教育や情報の不足などの要因が影響していると考えられている。

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日本のLGBT+割合が低い理由

行きかう人々

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日本では、自身がLGBT+であると公言する人は他の国と比較して少ないことを説明した。ここでは、日本でなぜLGBT+の割合が低いのか、もしくは自己認知や公言している人が少ないのか考えていく。

社会的または文化的な背景

日本の社会や文化には、伝統的な家族観や性に関するタブーが依然として強く根付いている。「男女で結婚をして家庭を築くべき」「結婚して子どもができて一人前」と考えられることも多く、性的マイノリティに対する共感や認識が社会的に広がっていない。こういった文化的な側面が、LGBT+の人々が自己申告することをためらわせる要因になっている。

教育の不足

日本の教育制度では現時点で、性的マイノリティに関する教育が不十分であると指摘されている。性的少数者に関する正確な情報や理解が十分に提供されていないため、本来LGBT+である若者が自己認識する機会が限られ、LGBT+への理解が進んでいないこともあるだろう。

法制度の遅れ

日本では、同性婚やパートナーシップ制度など、LGBTの権利を保護する法的な枠組みが不十分だ。LGBT+や同性婚に対して慎重な考えをもつ人々も存在し、法制度の整備が他国と比較して遅れている。そのためLGBT+の人々が安定した関係を築くことが難しい現実があり、マイノリティを受け入れるような制度の策定が求められている。

メディアの影響

日本のメディアでは、LGBT+の人々を適切に描写したり、その権利を正しく取り上げたりする機会が限られている。例えば「オネエキャラ」と呼ばれるタレントたちが取り上げられ、一種のエンターテイメントとして扱われることで、LGBT+に関する世間的な認知が偏っていることも考えられる。

高齢化社会

今回の調査では、世代間におけるLGBT+の割合も調査されたが、世代が上になるとLGBT+の割合も低くなる。日本は高齢化社会であり、65歳以上人口は3,589万人で総人口に占める割合は28.4%となっている。(※2)

また高齢者のなかには、LGBT+などの新しい価値観や考え方を受け入れることが難しい人もいるだろう。これらの要因によって、日本のLGBT+への理解が進んでおらず、割合も低いことが考えられる。

LGBT+が自分らしく生きられる社会を実現するためにできること

より多くの人々が、自分らしく生きられる社会を実現するために、我々一人ひとりができることを考えていく。

正しい知識を身につける

我々一人ひとりがLGBT+に関する正しい知識を身につけることは、差別や偏見を減らし、理解を深めることにつながる。性的マイノリティに関する情報や団体のホームページにアクセスし、LGBT+の人々の生活や権利、考え方について学ぶことで、偏見や誤解を解消し、より多くの人が自分らしくあれるような社会を実現する。同時に、自らの知識を広げることにもつながる。

カミングアウトをサポートする

LGBT+が自分の性的指向や性自認をカミングアウトする際には、周囲の理解とサポートが求められるだろう。身近な人が安心してカミングアウトできるように、LGBT+を受け入れる姿勢を日頃から示しておくことも大切だ。もしかすると、周囲にカミングアウトできない友人や知人がいるかもしれない。一人ひとりが聞き手として寛容な態度を持ち、相手の感情やプライバシーを尊重する姿勢を示すことがLGBT+のサポートになる。

差別や偏見に立ち向かう

LGBT+が差別や偏見に直面したとき、当事者だけではなく我々も声を上げて立ち向かうことが大切だ。差別的な言動やヘイト行為に対して沈黙せず、反対する姿勢を示すことが、よりよい社会を実現するための第一歩になる。LGBT+をはじめとしたあらゆる差別や偏見を許容せず、積極的に行動することで公平で寛容な社会を実現できる。

啓蒙活動への参加

LGBT+への理解を求める啓蒙活動は、あらゆる場所で行われている。LGBT+に関する啓発活動やイベントに参加したり、情報を拡散したりすることで社会への理解を広げることが重要だ。LGBT+が自分らしく生きることの大切さや、差別や偏見のない社会の実現に向けた取り組みを広く啓発することで、社会全体の意識を高めることが目的である。

権利活動への参加

LGBT+の権利を守るためには、法的な支援や活動に参加することも視野に入れる。法的な支援というと大袈裟に聞こえるが、差別や偏見をなくすための法律や政策の改善を求める署名運動はインターネット上でも頻繁に行われており、多くの人が気軽に参加できる。

マイノリティも生きやすい社会を目指して

手のひら

Photo by Alexander Grey on Unsplash

最新の調査では、日本のLGBT+の割合は4%であり、世界平均の約8%がLGBT+という割合からみると、自身がLGBT+であると公言する人は他の国と比較して低い。

LGBT+が生きやすい社会を目指すためには、理解と包括性が不可欠だ。教育現場や職場、地域において、LGBT+に対する啓発活動やサポート体制の整備を行うことが重要だ。また法律や制度の見直しを通じて、LGBT+コミュニティの権利を保障し、安心して生きることができる環境を整えることが求められている。

さらに、個々の人々が相互に理解し合い、違いを尊重する意識を高めることが大切だ。このような取り組みが、日本でLGBT+が自由に自己を表現し、差別や偏見のない社会を実現するための道を切り拓いていくことにつながる。

※掲載している情報は、2024年4月8日時点のものです。

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