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スペインでは、環境負荷の低減を目指して、2時間半未満の短距離国内線の運航が禁止される。この措置は温室効果ガス排出量の削減を図るものであり、他の国でも同様の動きが広がっている。
Kanae Tahara
Freelance PR / Writer
社会貢献×ライフスタイルを軸にした日本国内の企業で広報、PR、コンテンツ制作などの経験を積み、2023年よりフリーに。現在カナダ在住。
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スペイン政府は、2時間半未満の短距離国内線の運航を禁止する計画を発表した。スペインは、2050年までに「気候中立(温室効果ガスの正味排出量をゼロにする)」を目指しており、本措置はその計画の一環で、短距離便の運航禁止は2021年から検討を重ねてきたものだ。
この措置により、所要時間が2時間半未満の国内線は、国際線と接続する場合をのぞき、運航が許可されなくなる。
合意文書において、政府は他の環境保護措置を同時に検討していることがわかった。それには、プライベートジェットの使用制限、航空燃料への課税などが含まれている。
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環境団体は、この短距離国内線の禁止により最大30万トンの二酸化炭素と年間5万回のフライトを節約できると主張している。
しかし、航空技術者大学(COIAE)のデータによれば、温室効果ガス排出量の削減は0.06%にとどまり、「効果がない」との意見もある。野党の反対や航空業界からの批判も根強く、今後の展開が注目されている。
現時点では、具体的な導入時期や、どの路線が対象になるか等、まだ不透明な部分が多い。この禁止計画が上院で承認され、最終的に法律として制定されるまでには、いくつかの修正や段階を踏んで計画を進めていくとみられる。
スペインだけでなく、他の国でも同様の動きが見られる。フランスでは、列車やバスを使い2時間半以内で移動できる国内線のルートについて、運航を禁止するルールを2023年5月より導入している。
これに加え、シンガポールでは2026年からシンガポール発のすべてのフライトで持続可能な航空燃料(SAF)の使用を義務付けることを計画中だ。
国ごとの異なる取り組みが進む中、国際的な連携や標準化も今後の課題となりそうだ。とくに陸続きとなる欧州では、飛行機より列車の利用を促進するなど、国を超えた取り組みも必要となるだろう。
短距離フライトの運航禁止を始めたのは、まだ一部の国に限られているものの、今後の航空業界へプラスの影響を与えていくのではないだろうか。
※参考
euronews|Spain’s plan to ban domestic flights where you can take a train in under two and half hours
ESGtoday|Singapore to Require Sustainable Aviation Fuel Use on All Departing Flights from 2026
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