スペイン、「2時間半未満の国内線」運航禁止へ 環境保護の一環として

滑走路上にある飛行機

Photo by Bao Menglong on Unsplash

スペインでは、環境負荷の低減を目指して、2時間半未満の短距離国内線の運航が禁止される。この措置は温室効果ガス排出量の削減を図るものであり、他の国でも同様の動きが広がっている。

Kanae Tahara

Freelance PR / Writer

社会貢献×ライフスタイルを軸にした日本国内の企業で広報、PR、コンテンツ制作などの経験を積み、2023年よりフリーに。現在カナダ在住。

2024.03.05
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短距離フライトの運航を禁止へ

スペイン政府は、2時間半未満の短距離国内線の運航を禁止する計画を発表した。スペインは、2050年までに「気候中立(温室効果ガスの正味排出量をゼロにする)」を目指しており、本措置はその計画の一環で、短距離便の運航禁止は2021年から検討を重ねてきたものだ。

この措置により、所要時間が2時間半未満の国内線は、国際線と接続する場合をのぞき、運航が許可されなくなる。

合意文書において、政府は他の環境保護措置を同時に検討していることがわかった。それには、プライベートジェットの使用制限、航空燃料への課税などが含まれている。

環境への期待 批判の声も

飛行中の飛行機の窓から見える飛行機の翼と空

Photo by Ross Parmly

環境団体は、この短距離国内線の禁止により最大30万トンの二酸化炭素と年間5万回のフライトを節約できると主張している。

しかし、航空技術者大学(COIAE)のデータによれば、温室効果ガス排出量の削減は0.06%にとどまり、「効果がない」との意見もある。野党の反対や航空業界からの批判も根強く、今後の展開が注目されている。

現時点では、具体的な導入時期や、どの路線が対象になるか等、まだ不透明な部分が多い。この禁止計画が上院で承認され、最終的に法律として制定されるまでには、いくつかの修正や段階を踏んで計画を進めていくとみられる。

他国でも同様の動き

スペインだけでなく、他の国でも同様の動きが見られる。フランスでは、列車やバスを使い2時間半以内で移動できる国内線のルートについて、運航を禁止するルールを2023年5月より導入している。

フランス「2時間半以内の国内線を禁止」 プライベートジェットの規制も検討

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これに加え、シンガポールでは2026年からシンガポール発のすべてのフライトで持続可能な航空燃料(SAF)の使用を義務付けることを計画中だ。

国ごとの異なる取り組みが進む中、国際的な連携や標準化も今後の課題となりそうだ。とくに陸続きとなる欧州では、飛行機より列車の利用を促進するなど、国を超えた取り組みも必要となるだろう。

短距離フライトの運航禁止を始めたのは、まだ一部の国に限られているものの、今後の航空業界へプラスの影響を与えていくのではないだろうか。

※掲載している情報は、2024年3月5日時点のものです。

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