「アパレルの物流で使われるプラ袋」撤廃は可能? ZARA擁するインディテックスの試み

プラスチック袋

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ZARAやベルシュカなどの手頃でトレンド力のあるブランドを手がけ、世界トップクラスの売上高を誇るインディテックス。サステナビリティ先進企業でもある同社は、2023年までにすべての使い捨てプラスチックを廃止することを宣言し、物流で必要なプラスチック製ビニール袋の廃止にも挑む。

鴨井里枝|Rie Kamoi

ファッションライター/エディター/ジャーナリスト

イギリスの美術大学でグラフィックデザインを学び帰国後、ファッション週刊紙「WWDJAPAN」の編集部に約10年在籍。ファッションビジネスやトレンドの分析を主に、海外ではNY、ミラノ、ロン…

2024.01.25

商品の物流に使われるプラスチック製ビニール袋

世界のさまざまな業界でプラスチックを使わない代替アイテムへ移行が進むが、アパレル業界で根強く使われ続けているものがある。それが、ビニール袋だ。

小売業者は、商品を工場から店舗や購入者の届け先まで搬送する際、湿気や汚れなどから保護するためにビニール袋を使用している。アパレル業界の環境負荷などの課題に取り組む団体「ファッション・フォー・グッド」によると、ファッション業界では毎年約1800億枚の使い捨てプラスチックによるビニール袋が生産され、衣料品の包装に使われているという。

そして、そのほとんどは技術的にはリサイクル可能だが、大半は埋立地に送られるか、焼却処分されている。プラスチック製のビニール袋よりも、ダメージを負った衣料品の方が環境に悪影響を与えると考える小売業者が多く、さらに代替えの選択肢も非常に限られているとされている。

インディテックス、包装用ビニール袋は再利用95%が目標

そんな物流におけるビニール袋撤廃に挑んでいるのが、ZARAを運営するインディテックスだ。同社は4年前、2023年までに、プラスチック製のハンガーやステッカー、香水の包装紙など、すべての使い捨てプラスチックを廃止することを宣言。

工場から配送される際に使われるビニール袋については、多くのアパレル販売業者と同様に、店舗や倉庫で外し、顧客へ発送する前にリサイクルの段ボールや紙などのパッケージに詰め替え、取り外したビニール袋はリサイクルや再利用のために回収している。社内だけでなくパートナーとも連携を図り、グループレベルで遵守率95%を掲げ、コミットメントを促進しているところだ。

ヨーロッパ最大のECは別の解決策を模索

ヨーロッパ最大のECZalando

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しかし、その試みは必ずしもうまくいっていることばかりではない。同社は、ドイツを拠点とし、ヨーロッパ最大のECを運営するZalandoに対し、商品出荷時のプラスチックの包装をやめることを求めてきた。だが、Bloomberg Newsによると、1年以上におよぶ交渉の末、Zalandoはこれを拒否したという。

インディテックスはZalandoの最大パートナーの一つであり、ZARA以外にもMassimo DuttiやOysho、Bershka、Pull&Bearといったブランドの衣料品も販売していて、Zalandoは「他にも多くのブランドを扱う中で、インディテックスの独自のプロセスに対応することは不可能」と主張。

またインディテックスによる代替品の提案に対しても、「段ボールや紙の代替品に置き換えても、包装の影響は軽減されない」という考えを示し、「プラスチック袋なしでは物流業務を行えない」と述べた。

Zalandoは、長期的に業界全体の問題を解決するために、衣類のたたみ方を変えたり、ビニール袋を薄くしたりするなど、さまざまな選択肢をテストしているとも述べた。また寿命を延ばし耐久性を優先し、素材や廃棄物による影響を最小限に抑える解決法を見出そうとしており、ビニール袋の再利用についても検討中だ。

大手グローバル製造小売企業であり、サステナビリティー先進企業であるインディテックスによるコミットメントは世界中で注目が集まっているが、使い捨てプラスチックの完全廃止には道のりが長そうだ。

※掲載している情報は、2024年1月25日時点のものです。

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