「脱成長」戦略をあえて掲げる 女性向けアウトドア、アーリー・マジョリティ

脱成長を掲げるブランドのEarly Majority

Photo by Early Majority

2022年に元パタゴニアのマーケティング担当者が立ち上げた、アウトドアウェアブランドの「Early Majority(アーリー・マジョリティ)」。あらゆゆるシーンに対応できるアウトドアウェアを製造し、またメンバーシップ制度によってファッション業界の大量生産・大量消費を防ぐ。

岡島真琴|Makoto Okajima

ライター

ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。ライター・編集者として活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRESSを運営。

2024.01.15
SOCIETY
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創業者はパタゴニアのマーケティング担当

脱成長を掲げるブランドのEarly Majority

Photo by Early Majority

2022年4月に誕生したファッションブランド「Early Majority(アーリー・マジョリティ)」。創設者であるジョイ・ハワード氏は、パタゴニアのグローバルマーケティング担当部長を務めた人物だ。

同ブランドの特徴は、「脱成長(デ・グロース)」を掲げていること。脱成長とは、大量生産・大量消費、経済成長主義のあり方を問い直し、ケアや連帯、社会的公正、生態系のウェルビーイングなどにより価値を置く考え方。経済の成長や効率性よりも、人々がイキイキと生きるための社会革新が追求される。

ビジネスを行ううえで成長を考えることは当然だ。ハワード氏は「成長しないビジネスを構築することはできない。それはビジネスに携わる人々にとって良い経験ではないから」と、認めている。

だが、アパレルブランドの成長は、必要以上の商品を生み出し、廃棄物を増やすことになりかねない。そのためアーリー・マジョリティでは、成長を非物質化し、「脱成長」を基本戦略に掲げているのだ。

女性の目線でつくられたアウトドアウェア

脱成長を掲げるブランドのEarly Majority

Photo by Early Majority

アーリー・マジョリティの脱成長戦略は、商品のデザインに表れている。同ブランドがつくるのは、高性能で汎用性が高いアウトドアウェアで、ブランド立ち上げ時にはわずか7種類の製品でスタートした。

そのどれもが、あらゆるシーンで着ることを想定してデザインされている。自転車に乗るとき、会議に出席するとき、展覧会のオープニングに出かけるときなど、どんな場面にも適したウェアをつくることによって、用途の細分化によって生まれる大量生産・大量消費を防ぐというのだ。

アーリー・マジョリティが目指すのは、既存のファッションシステムの変革だけではない。女性がアウトドアで何を求め、何を必要としているかという視点からデザインしているという。

というのも、これまでスポーツウェアの世界では、多くのものが男性を中心にデザインされてきた。女性用には、「pink it or shrink it(ピンク色にするか、サイズを小さくする)」だけのものものが多かったが、そうしたジェンダーバイアスにも疑問を投げかけている。

例えばパンツにもスカートにも合うアウター、雨が降ってもメイクがにじんだり流れたりしにくいフード、妊娠中でも変わらず着られるAラインジッパーの使用など。黒をはじめ、流行に流されないカラーも特徴だ。

また、全商品に永久保証と無料修理が付いているという。「安いものはつくらず、長もちするものをつくりたい」と考えているそうだ。

コミュニティを成長させる、メンバーシップ制度とニュースレター

脱成長を掲げるブランドのEarly Majority

Photo by Early Majority

アーリー・マジョリティのもう一つの特徴は、メンバーシップ制度の導入だ。123ユーロ(約19,000円)の年会費でメンバーになると、非会員価格よりも4割引き程の価格で商品を購入できる。

現在は年会費がブランド収益のおよそ24%を占めるが、将来的に会員制が成功して、会費で得られる利益が商品販売利益を上回るようになれば、非会員向けの販売を完全に終了させるという。そうすることでアーリー・マジョリティは「脱成長」というミッションを成功させることができるのだ。

さらにアーリー・マジョリティでは、ウェブサイト上で展開されるジャーナルや、ニュースレターの存在も大きい。サステナブルな社会へ向けた充実したコンテンツが提供されている。

ハワード氏はこれらの取り組みについて、「宣伝するよりも、啓蒙する方がずっと満足感がある」と語る。

コミュニティの成長によって、アーリー・マジョリティもサステナブルなブランドとして成長を遂げていく。そんな姿は、今後のファッションビジネスのあり方にも大きな影響を与えていくだろう。

※掲載している情報は、2024年1月15日時点のものです。

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