バイオプラスチックとは?メリット・デメリットや原料、導入事例を紹介

プラスチック

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地球環境問題という喫緊の課題を解決するひとつの施策として、バイオプラスチックが注目されている。バイオプラスチックにはさまざまな種類があり、性質を理解しながらの導入が求められているのが現状だ。本記事ではバイオプラスチックの意味やメリット・デメリット、企業の取り組みなどを紹介する。

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2024.01.18
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「バイオプラスチック」とは

ネットに入ったさまざまな野菜

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バイオプラスチックとは、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの総称だ。従来のプラスチックは、耐久性や利便性から私たちの生活に欠かせないものとなっている。一方で、化石資源を原料としており、地球温暖化や海洋汚染にも深く関わっている事実がある。

そこで登場したのがバイオプラスチックだ。バイオプラスチックは、環境に配慮したプラスチック素材として開発が進められている。温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現においても普及が望まれる素材である。

「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の2種類

バイオプラスチックは、2種類の素材の総称。ひとつは再生可能な有機資源を原料とする「バイオマスプラスチック」、もうひとつは最終的に自然界で分解される「生分解性プラスチック」だ。ひとくくりにされがちだが、それぞれ異なる性質を持つ。以下で確認しよう。

バイオマスプラスチック

日本バイオプラスチック協会(JBPA)によると、バイオマスプラスチックは「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材料」と定義されている。(※1)

バイオマスプラスチックは、植物などの再生可能な有機資源を原料とするのが特徴。具体的な原料としては、サトウキビトウモロコシトウゴマのひまし油などが有名だ。従来のプラスチックと同じように、身近な用途で活用されている。

また、植物でできている性質上、カーボンニュートラルな面でも期待されている。バイオマスプラスチックの原料は、育成過程で光合成によりCO2を吸収する。そのため、処分時に焼却された場合でも、実質的に大気中のCO2濃度は上昇していないとみなせるのだ。この点からも、ごみ袋やマスクなど、焼却処分せざるを得ないものに対して活用されることが期待されている。

生分解性プラスチック

生分解性プラスチックは、微生物などの働きによって最終的にCO2と水にまで分解されるのが特徴。自然界へと循環する性質を持っており、農業における肥料やフィルム、水産業の漁具など、意図せず流出する可能性がある用途で普及することが期待されている。

生分解性プラスチックは、分解する性質上、従来のプラスチックとは構造が異なる。強度や再現性の問題からリサイクルには適さないものも多い。

また、バイオマスプラスチックと混同されがちだが、生分解性プラスチックはすべてが植物でできているわけではない。日本で普及している生分解性プラスチックの約7割がバイオマス由来、ほかは化石資源由来だ。(※2)

さらに、バイオマスプラスチックに生分解性があるとは限らない点もおさえておきたい。バイオマスプラスチックには、生分解するものと生分解しないものがある。

バイオマスとは 期待される“生物資源”の活用方法

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環境省の資料によると、2018年のバイオプラスチックの製造量は以下のとおり。プラスチック製造量全体に占めるバイオプラスチックの割合は低いが、バイオプラスチックの製造量は年々増加して、その市場は拡大している。(※3)

日本のプラスチック投入量(2018年)
年間約992万t
うち、バイオマスプラスチック:4万1000t
うち、生分解性プラスチック:4000t

2030年のマイルストーン
バイオマスプラスチック国内導入量 製品約200万t

バイオプラスチックのメリット

緑の植物

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バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックには、それぞれメリットがある。以下では、バイオプラスチックのメリットとして3つのポイントを紹介しよう。

カーボンニュートラルが期待できる

バイオプラスチックのメリットの1つ目は、カーボンニュートラルの性質を持つことだろう。なかでもバイオマスプラスチックは、原料となる植物が成長過程でCO2を吸収するため、焼却時にCO2が発生したとしても、大気中のCO2濃度が増えるわけではない。カーボンニュートラルの仕組みが成り立っているといえる。

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化石燃料の使用が削減できる

バイオプラスチックのメリットの2つ目は、化石資源を消費しないこと。バイオマスプラスチックは、植物をはじめとする再生可能な有機資源が原料であり、非枯渇資源で生産される。生分解性プラスチックもバイオマス由来のものが多く、枯渇が懸念される化石資源の使用削減に貢献している。

プラスチックごみが削減できる

メリットの3つ目は、プラスチックごみを減らせることだ。生分解性プラスチックは、微生物などによって最終的にCO2と水に分解される。生分解性プラスチックがやむを得ず流出してしまったとしても、比較的短時間で分解されるので、長期間残留するのを防げるだろう。つまり、生分解性プラスチックの普及は、地球に停滞するプラスチックごみを減らすことにつながっている。

また、廃棄物を処理する手間が減るのも、メリットといえる。畑を覆う農業用フィルムに生分解性プラスチックが活用されている場合、回収して処理する過程を省けるだろう。生分解性プラスチック製の生ごみ袋は、袋と生ごみが一緒に生分解性されて、堆肥資源として活用できる。

バイオプラスチックのデメリット・課題

水に濡れたビニール

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バイオプラスチックは、導入が進められている段階であり、デメリットや課題も残されている。主なデメリットは以下の2つ。素材について理解しながら、活用したい。

一般的なプラスチックよりも価格が高くなりやすい

バイオプラスチックは、従来のプラスチックより価格が高い傾向にある。生産量が多くない現状に加え、原料調達の効率性や製造プロセスの複雑性などが高コストの理由だ。例えば、環境省の資料によると、バイオマスプラスチックの単価は、バイオPEが約3倍、バイオPETが約1.5倍。(※3)コスト面で課題が残されており、導入が進みにくい要因となっている。

耐久性や機能性が劣る

バイオプラスチックは、一般的なプラスチックと比較して遜色ない品質のものが増えてきているが、なかには耐久性や機能性の懸念が残されている素材がある。とくに、分解される前提でつくられている生分解性プラスチックは、性質上、強度が劣る。使用中に劣化する可能性があるため、長期の使用は困難だろう。また、リサイクルされた製品の強度に影響を与えるため、リサイクル親和性も高くない。

バイオプラスチックが求められる背景

植物と土を両手で大事に包み込む様子

Photo by Noah Buscher on Unsplash

バイオプラスチックが求められる背景には、さまざまな地球環境課題があり、なかでも気候変動問題との関わりが深い。以下では、2つのポイントを紹介する。

気候変動への懸念

バイオプラスチックは、気候変動問題への取り組みのひとつとして注目されている。私たちがいまのままの生活を続けていると、地球温暖化が進んでしまう。地球温暖化を防ぐためには、大気中のCO2の濃度をこれ以上増やさないことが大切。CO2の吸収量と排出量のバランスをとること、つまりカーボンニュートラルが重要なのだ。

バイオマスプラスチックは、大気中のCO2量を増やさない、カーボンニュートラルな性質を持つ素材。環境にやさしいプラスチックとして期待されている。

パリ協定での合意

パリ協定は、気候変動問題に関する国際的な枠組みとして2015年に採択された。京都議定書の後継にあたり、2020年以降の枠組みが定められている。パリ協定では、産業革命以前と比較し、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑える「1.5℃目標」が策定された。これを受け、世界各国でカーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速している。

日本政府は、2050年までに、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル社会を実現するとしている。2021年4月には「2030年度において、2013年度比で温室効果ガスを46%削減することを目指す」と表明した。

バイオプラスチックの導入が進めば、化石資源の消費削減と大気中のCO2濃度の上昇を抑制できる。バイオプラスチックは、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する素材なのだ。

パリ協定以前の京都議定書においては、2002年に、日本の温室効果ガス削減対策として「バイオテクノロジー戦略大綱」や「バイオマスニッポン総合戦略」が発表された。バイオテクノロジー戦略大綱のなかでは、バイオマス由来プラスチックへの期待について触れられている。(※4)

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バイオプラスチックの導入に関する取り組み

水色のブロックがたくさんある様子

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2021年1月には、環境省・経済産業省・農林水産省・文部科学省が合同で、「バイオプラスチック導入ロードマップ」を策定した。また、同年6月には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(通称、プラスチック資源循環法)」が成立。政府がプラスチックの資源循環に向けた取り組みを促進するなかで、企業でも導入例が増えてきている。(※5)

日清食品グループ|カップヌードル容器包装への導入

日清食品グループでは、「カップヌードル」ブランドの即席麺容器に「バイオマス ECO カップ」を採用。バイオマスプラスチックであるバイオPEと紙が使われており、2021年末に導入が完了した。

「バイオマス ECO カップ」では、容器のバイオマス度81%を達成。化石資源由来プラスチック使用量をほぼ半減することに成功している。ライフサイクルでのCO2排出量は、2008年に採用された「ECOカップ」と比較して約16%削減できた。

バイオプラスチック導入にあたっては、バリア性や保存性などが社内基準をクリアするように技術開発が行われた。容器の見た目が変わらないことにもこだわってつくられている。日清食品グループは、今後も容器包装のバイオマス化を進めていく方針だ。

レゴグループ|ブロックへの導入

プラスチック製玩具メーカーのレゴグループは、製品に持続可能な素材を使用するよう努めている。2018年に、バイオマスプラスチックであるバイオPEを含んだ最初のレゴパーツを発売した。現在は、約150のレゴパーツがバイオPEから製造されている。

レゴブロックは長く愛用されるため、60年以上前に製造されたブロックと一緒に使える必要がある。また、代々受け継がれるためには、耐久性も必須。持続可能な素材であることに加え、品質基準や安全基準も重要だ。

レゴグループでは、大学や新興企業などと連携して、継続的に素材の開発やテストを実施している。これからも、持続可能性と品質を両立したよりよい素材を模索していく。

王子ネピア|バイオマスプラスチックを使ったマスクの販売

王子ネピアでは、2022年11月からバイオマスプラスチックであるポリ乳酸(PLA)を使用したマスクを販売している。PLAは従来の樹脂と物性が異なるため、質感が硬くなる課題があったが、技術的な課題をクリアし不織布部分に導入した。製品全体の80%以上が植物由来のバイオマスでできている。マスクの性能基準である、日本産業規格「JIS T9001」に適合しているのもポイントだ。

今後は、現行商品の改良を行いながら、販路を拡大していく方針。バイオマス素材を使用したことによる環境負荷低減効果の定量化にも取り組む。

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地球環境問題の解決に欠かせないバイオプラスチック

普及が進むバイオプラスチックは、私たちの身近なアイテムにも使われはじめている。バイオプラスチックには、メリットだけでなくデメリットもあるが、気候変動問題やさまざまな地球環境課題をよい方向に導く素材であることに間違いない。性質を理解をしたうえで、積極的に手に取りたい。バイオプラスチックの今後に注目しながら、地球で暮らす一生活者として、環境にやさしい選択を行おう。

※掲載している情報は、2024年1月18日時点のものです。

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