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カナダでは2023年12月より、連邦政府が管理する職場での生理用品無料提供が法的に義務化される。公平性とジェンダー平等を実現する取り組みの一環で、この新しい法律により、職場で働くすべての人の生産性向上や健康への貢献が期待されている。
Kanae Tahara
Freelance PR / Writer
社会貢献×ライフスタイルを軸にした日本国内の企業で広報、PR、コンテンツ制作などの経験を積み、2023年よりフリーに。現在カナダ在住。
経済的な理由などで生理用品が手に入らないために、一部の人々が直面する格差を指す「生理の貧困」。この問題に対する取り組みは世界各国で広がりを見せている。そのような背景のなか、カナダでは2023年12月15日より、労働法の一環として、政府が管理する職場では生理用品の無料提供が義務付けられる。
雇用主に求められる措置は、以下の通りだ。
・トイレには、清潔で衛生的なタンポンとナプキンを設置する
・トイレで生理用品を提供できない場合、別の場所で無料で生理用品を提供する
・トイレの各個室に、使用済み生理用品を廃棄するための蓋付きコンテナを設置する
政府が管理する職場とは、空港、航空会社、銀行、メディア、交通など、多岐にわたる企業が含まれる。
シェーマス・オレガン・ジュニア労働大臣は、「タンポンとナプキンは基本的な必需品です。そのため、より健康で安全な職場を実現するために、私たちはそれらを労働者に無料で提供します」とコメントを発表。
この新しい法律を通じて、生理中の従業員の健康と安全を保護し、ジェンダーに基づく差別や不平等に対抗し、公平性と平等を守ることを強調した。
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カナダは、生理用品の無料提供に積極的な姿勢を見せている国のひとつだ。2019年にブリティッシュコロンビア州がカナダで初めて公立学校での生理用品無料提供を始めてから、マニトバ州、ニューファンドランド・ラブラドール州、オンタリオ州など他の州も追随し、学校での生理用品無料提供が始まっている。
そして今回定められた新しい法律は、これまでの学校での取り組みを職場にも拡大するもので、若年層以外も対象としたものだ。生理用品を購入できないことで起きる欠勤を減らし、従業員の不安感や偏見の軽減にも役立ち、生産性向上に寄与するとみられる。
日本をはじめ、世界ではまだ生理用品の無料提供が広がっていないケースもある。しかし、法的に義務付けられている・いないに関わらず、生理用品を職場で無料提供することは、すべての働く人にとってポジティブな職場環境を提供することにつながると考えられている。
生理用品の無料提供を行う各国の取り組みを通して、生理用品を必要とするすべての人に、堂々と恥じることのない方法で、平等かつ公平に行き届く世界の実現が求められていることがわかるだろう。
※参考
Canada Labour Code to ensure access to menstrual products at work starting December 15|Government of Canada
Free Menstrual Products: Get Set for New Legislation Changes in Canada|Citron Hygiene
B.C. spending $750K to expand access to free menstrual products|CBC
List of federally regulated industries and workplaces|Government of Canada
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