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オーツミルクで知られるスウェーデンの「OATLY(オートリー)」は、イギリスの食品・飲料企業に、自社製品の環境への影響について開示するよう呼びかけ、賛同した企業には無料の広告スペースを提供している。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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オーツ麦からつくる植物性ミルク、オーツミルクのブランドとして知られる、スウェーデンの「OATLY(オートリー)」。
同社は現在、イギリスで食品や飲料を販売しているすべての企業に、二酸化炭素排出量に関する情報を開示する「気候ラベル」を導入するよう呼びかけるキャンペーンを行っている。
オートリーは、イギリスの主要な広告スペースを購入しており、このキャンペーンに賛同する企業には、それらの広告を無料で提供しているのだ。
同社は2019年より、イギリスで販売される製品パッケージ上で気候影響に関するデータを公開。乳製品の代わりに、オーツミルクのような植物性ミルクの使用を広くよびかけてきた。また、自社で取り組むだけでなく、それを業界全体に広げようと、とくに乳製品の二酸化炭素排出量に関する透明性の向上について声を上げている。
そこで、自社に倣い、イギリスのすべての食品・飲料企業に対し、自社製品の気候フットプリントを公表するよう呼びかけているのだ。
イギリス政府の統計によると、牛乳の生産はイギリスにおける温室効果ガス排出量の2.8%を占めている。
また、オートリーが行った調査によると、イギリスの消費者の3分の2近くが、食品・飲料製品への気候ラベルの導入に賛成。55%が「企業はその情報を公表する義務がある」と回答したという。
二酸化炭素排出量に関する正しいデータが開示されれば、6割近くの人が、環境負荷の高い食品や飲料の利用を減らし、購入をやめることが考えられる。とくに18〜34歳の若者世代の関心が高く、消費習慣を変える可能性が高い。
気候ラベルは、食品や飲料をつくるときの環境負荷を見える化する重要な手段だ。人々が環境に配慮した消費活動を行えるきっかけになるだろう。そして企業側も、環境への取り組みをアピールできる利点がある。
気候変動対策は、一社だけが取り組むだけではなく、もはや業界全体で進めていくべきことだ。政府にだけ頼らず、オートリーが業界全体に呼びかけたような動きが、さらに加速していくことに期待したい。
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