【2023年最新】日本の人口減少の現状 背景や対策も解説

横断歩道を歩く人々

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現在、日本の人口は減少傾向にあり、2022年の出生数は過去最少で80万人を下回っており、初めて全47都道府県で人口減少が発生した。本記事では、日本の人口減少の現状について解説。人口減少の背景や対策についてもまとめている。

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2023.10.30
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日本の人口は減少傾向にある

現在、日本の人口は減少傾向にある。47都道府県すべてで人口の減少が確認されたり、出生数が過去最低の80万人を下回ったりと、人口減少に歯止めがかからない状況が続いている。ここでは調査結果をもとに、日本の人口減少の現状を把握しよう。

14年連続で減少し、全都道府県で人口が減る

2023年1月1日時点での日本の人口は1億2242万人余りで、昨年よりおよそ80万人減少し、14年連続の減少となった。昭和43年の調査開始以来、最大の減少数・減少率となっており、初めて全47都道府県で人口減少が発生した。

都道府県別の人口を見てみると、東京都がもっとも多い1326万553人で、鳥取県がもっとも少ない54万1587人となった(※1)。人口減少は経済や社会保障にかかわる重要な問題であるため、子育て政策を強化し、人口減少の流れに歯止めをかけることが求められている。

出生数が初の80万人割れ

2022年の出生数は79万9,728人で、統計開始以来はじめて80万人を下回り、過去最少を更新した(※2)。この結果は、国の予測より10年早く、予想を上回る減少となった。

出生数の減少は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が主な影響と考えられているが、このまま出生率が低下し続ければ、経済縮小や労働力不足、社会保障などさまざまな面にに困難が生じるだろう。

日本政府は過去にも少子化対策を導入してきたが、その効果は十分なものとは言えない。 現在掲げられている「全世代型社会保障改革」では、不妊治療の保険適用、待機児童解消、男性育児休業促進などの取り組みの導入が検討されている。経済的支援や環境整備により、出生率が回復することを期待したい。

【2023年最新】日本の出生率 これまでの推移と今後への影響・対策は?

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日本の人口推移と予測

日本の人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じた。2048年には9,913万人と1億人を割り込み、2060年には8,674万人まで減少すると見込まれている(※3)。この減少は少子高齢化が主な要因であり、出生率の低下や高齢者人口の増加が影響している。

少子高齢化の深刻化により、このまま高齢化が進行すると、2060年ごろには高齢者1人を現役世代1人で支える「肩車社会」が到来するといわれている。人口減少は将来的にも続く可能性が高いため、政府や社会全体で対策が必要だ。

人口減少が進むと、労働力の軽減や社会保障制度の一時的な負担が増加し、経済と社会に大きな影響をおよぼす。介護ニーズも増加するため、社会全体で新たな支援体制が必要とされる。人口減少にともなう課題に対処するためには、効果的な政策や解決が重要であり、少子化の改善や高齢者の社会参加促進など、多角的なアプローチが求められる。

日本における人口減少の理由

ベンチに座る老夫婦

Photo by Matt Bennett on Unsplash

日本の人口減少の理由として、「少子高齢化」が挙げられる。「少子高齢化」とは、全人口における若年齢層の割合が減少する「少子化」と、65歳以上の高齢者の割合が増加する「高齢化」が同時に進行している状態のことを示す。

日本は、2007年に高齢化率が21%以上を占める「超高齢化社会」へ移行し、2022年には29.1%で過去最高の高齢化率を記録している(※4)。

非婚化・晩婚化など結婚観の変化

日本の少子高齢化の背景として、非婚化・晩婚化など結婚観の変化が考えられる。非婚化・晩婚化が進む理由の1つに経済的な課題がある。結婚していない理由として「結婚後の生活資金が足りない」「結婚資金が足りない」などの経済的な理由を挙げる若者も多く、経済的な不安が結婚観に影響を与えていることがわかる(※5)。

また、女性の社会進出が進んだことも、結婚観に影響を与えている。キャリアと結婚・子育ての両立が難しいことから、結婚や出産が選択肢の1つとして考えられるようになった。

「結婚するのは当たり前」「結婚することが幸せ」といった従来の固定概念にとらわれることなく、個人の幸福追求やキャリアの追求が重要視されるようになっているため、非婚化・晩婚化が進んでいるといえる。

子育てにおける経済的不安

塾や習い事、学費など子どもを育てるためには膨大な費用が必要になる。子育ては多くの経済的負担をともなうため、経済的な不安から子どもを持つことを諦める選択をする人も少なくない。

また、働く親の負担が増えていることも、子育てにおける経済的不安の要因となっている。 共働きで子育てをおこなう家庭が多いなか、子どもを預けるための保育費など、子育てと仕事を両立させるためにかかる費用も多い。

経済的な不安から共働きを選択するも、子育てがしやすい労働環境が整備されておらず、結果として経済的・身体的負担がかかるため、子どもを持つ将来を描けないという負のスパイラルが続いている。

少子高齢化の課題を解決するためには、結婚や子育てに対する経済的支援や制度の改善、働く親の負担軽減など、総合的なアプローチが必要となる。

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人口減少の克服に向けた対策

毛布にくるまった赤ちゃんの足

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人口減少を克服するためには、少子化対策を講じることが効果的だと考えられている。子育て支援や雇用環境など、子育てに取り組みやすい環境を整備することが重要となる。

子育て支援の充実

少子化対策の1つに、子育て支援の充実がある。具体的な子育て支援として、保育施設の増加や経済的支援の強化が挙げられる。

共働き夫婦の多い子育て世帯には保育施設が欠かせないが、現状は保育施設の数が足りていないことが多い。充実した保育施設の提供は共働き夫婦にとって重要であり、保育施設の増加や待機児童問題の解消が求められている。

また経済的支援の強化として、政府は児童手当の支給額拡大や、非正規労働者を対象とした子育て支援の新給付制度の創設を検討する必要がある。子どもの教育にかかる費用は膨大であるため、経済的負担を軽減し、子どもを持つことに対する不安削減が求められる。

雇用環境の改善

雇用環境の改善も、少子化対策の重要な手段の1つ。子育てと仕事を両立させるためには、長時間労働の抑制やリモートワークの導入、有給休暇取得の促進など、柔軟なワークスタイルの整備が効果的だ。長時間労働文化を改善し、ワークライフバランスを尊重する企業文化の醸成が求められる。

また、子育てと女性のキャリア形成を両立させることで、将来の展望を描きやすく、少子化対策につながる効果が期待できる。女性が働き続けるためには、育児休暇や職場復帰支援の充実が必要となる。企業が雇用の安定を提供し、経済的な不安を和らげることで、子育てに取り組みやすくなる。

これらの対策を総合的に実施することで、人口減少問題に対処し、持続可能な社会を築く一歩を踏み出すことができる。

人口減少の流れに歯止めをかけられるのか

少子高齢化の進行にともない、人口減少の流れは加速している。人口減少によって、経済成長の鈍化や社会保障制度の崩壊、地方都市の過疎化が深刻化することも考えられる。

人口減少に歯止めをかけるためには、子育て支援や雇用環境の改善などさまざまな施策が求めれる。施策が実施されるためには、一人ひとりのアクションが大きなカギとなるのではないだろうか。人口減少について関心を持ち、行動することで、将来世代の生活が大きく変化するかもしれない。

※掲載している情報は、2023年10月30日時点のものです。

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