海洋汚染の現状やサンゴ礁の衰退に関する知識を広めるため、オーストラリアのグレートバリアリーフに海中美術館「MOUA(The Museum of Underwater Art)」がオープン。現在は二つのインスタレーションを通して、地球環境の危機を発信している。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
Image courtesy of Townsville Enterprise
生命の起源といわれる海だが、私たち人間が大量のプラスチックごみを漂流させてしまっていることで、海洋汚染の一因になっている。環境を考えることなく捨てられたプラスチックは、サンゴに付着すると病原菌を繁殖させる可能性があり、成長に悪影響を与えることもあるそうだ。
知られているようで知られていない海洋汚染に関する現状やサンゴ礁の衰退にまつわる知識を広めるために、オーストラリア・タウンズビル周辺のグレートバリアリーフに海中美術館「MOUA(The Museum of Underwater Art)」がオープンすることになった。これは南半球では初めてとのこと。
現在は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、正式オープンは延期となっているが、その様子を紹介したい。
Image courtesy of Townsville Enterprise
そもそもサンゴ礁の衰退には地球温暖化も大きな影響を与えているといわれている。海水の温度が上がれば、サンゴの受けるストレスも上がってしまい、白化が進んでしまう──。
とはいえ、直感的に理解するのは難しいことも事実。視覚的にこのようなメッセージを訴えるべく製作されたのが「Ocean Siren」だ。
人型の像にLEDサイトが搭載されていて、リアルタイムで海水温度が反映される仕組みとなっている。青から黄色、オレンジ、赤へと、色が変わり警告レベルを可視化。
Image courtesy of Townsville Enterprise
ふたつ目のインスタレーションは「Coral Greenhouse」と名付けられている。これは地上のグリーンハウスを模した建築を海に沈め、時間が経つにつれ、水中生物と調和していくように設計されているとのこと。
像は研究者などのグレートバリアリーフの保全活動に従事する人々を表現していて、環境に配慮する人々へのリスペクトが込められている。
現在「MOUA」が展示しているインスタレーションは二つのみだが、今後、新たな展示が追加されていくという。また、場所も違う島となる可能性が高く、ロケーションにとらわれない先進性もポイントだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けてしまっているが、アフターコロナ時代では世界でもっとも注目される美術館のひとつになるに違いない。
参照元/MOUA
https://www.moua.com.au/
文・小嶋正太郎/編集・ELEMINIST編集部
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