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アメリカの大手自動車メーカーのフォード・モーターは、自動車サプライチェーンのすべてで動物実験を禁止することを発表した。動物実験実施に対して抗議してきた動物愛護団体によると、自動車業界では衝突実験で動物が使われるケースがあるという。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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アメリカ大手の自動車会社であるフォード・モーターは、自動車の検査や下請け業者などサプライチェーンのすべてで動物実験を禁止することを発表した。
これは、動物愛護団体PETAによる働きかけを受けて実現したものだ。フォードは、幼い子どもに対する衝突の影響をより深く調べるために、27頭のブタを使った動物実験を行ったという。
2018年にフォードが発表した研究報告書のなかでこの事実が記されると、PETAは彼らの慣行が残酷かつ不適切であると非難。PETAはフォードに対して抗議活動を開始したのだ。フォードには12万5000人以上のPETA支持者からメッセージが寄せられたという。
そして、21ヶ月もの年月をかけた抗議活動を経て、フォードはついに動物実験禁止の決断に踏み切った。この内容には、フォード以外の下請け業者など、サプライチェーン全体での動物実験禁止を明示している。
フォードは、2023年統合持続可能性および財務報告書において、「当社の慣行は、自動車試験のために動物を使用することや動物実験への資金提供、第三者に動物実験を依頼することではない。当社は製品の安全性を証明し、提供するための代替方法の開発、検証においてリーダーであり続ける」と述べている。
さらに報告書のなかで、サプライチェーンにおいて、循環、カーボンニュートラル、動物福祉、生物多様性、土地利用、森林破壊などの新しい項目を盛り込むとも伝えている。
自動車会社と動物実験との関連性を初めて知った方もなかにはいるだろう。動物のいのちを犠牲にする衝突実験や排ガス試験は、倫理的に正当化できるものではない。
現在、多くの自動車メーカーはさまざまな先進技術を駆使した代替法を取り入れつつある。また業界を問わず、開発・製造工程で動物実験を行わない「クルエルティフリー」への移行が世界のトレンドだ。
実際、フォード以外には、米大手のゼネラル・モーターズ(GM)が2023年初めに、動物実験と動物実験への資金提供禁止の方針を固めた。また、フランスのステランティスも同様の方針を表明している。
動物福祉の観点からも、残酷かつ不必要な動物実験の撲滅を、消費者である私たちが声高に訴えることが大事なのではないだろうか。
※参考
Ford Spells Out Bans on Animal Testing for Suppliers, Scientific Studies| Newsweek
PETA declares victory with animal ban for crash test research; Ford updates policy|Detroit free press
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