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スウェーデンの喫煙率は5.6%で、EUの中で喫煙率がもっとも低く、「スモークフリーカントリー(禁煙国)」の宣言まで間もないと言われている。専門家は、数十年にわたる禁煙キャンペーンや禁煙法が功を奏したと、これまでの取り組みについて評価している。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
スウェーデンが、ヨーロッパ初の「禁煙国」に近づいている。同国は、EUに加盟する27か国のなかでもとりわけ喫煙率が低い。
世界保健機関(WHO)は、「スモークフリー(禁煙)」について、「日常的に喫煙する人の割合が5%未満」と定義している。
欧州連合統計局によると、スウェーデンで2019年に毎日喫煙する15歳以上の成人は6.4%。EU内では最低水準で、27カ国の平均18.5%を大きく下回った。さらに、スウェーデン公衆衛生局の統計によると、2022年は5.6%に達した。そのため、「スモークフリー・カントリー(禁煙国)」宣言が近いと言われている。
スウェーデンの喫煙率が低いのは、数十年にわたる禁煙キャンペーンやたばこの広告禁止、禁煙希望者への支援策など、複数の施策よるものであると、多くの専門家が認めている。
その結果、20年前の喫煙率は約20%と、当時の時点でも世界的に見ても低い水準であったが、そこからさらに喫煙率が低下。その後、レストラン等の公共の場における喫煙を禁止するといった対策により、ヨーロッパ全土でも喫煙率が低下している。
このようにたばこの撲滅に注力してきた結果、肺がんの発生率が比較的低いなど、さまざまな健康上の利点がもたらされている。スウェーデンがん協会の事務局長ウルリカ・オーレヘド氏は、以下のように述べている。
「私たちは早い時期から公共の場での喫煙を制限してきた。最初は学校の校庭や学童保育所から、続いてレストラン、屋外カフェ、バス停などでも喫煙を制限してきた。同時に、たばこへの課税、これらの製品の販売に対する厳しい規制も重要な役割を果たしている」
現在、世界には約12億人の喫煙者がおり、EUでは毎日約1億人が喫煙しているという。ちなみに日本の喫煙率は、2019年時点で男性27.1%、女性7.6%、男女計16.7%だ。スウェーデンが間もなく達成するとみられる喫煙率5%という数字は、国際的にも非常に低いレベルと言える。
一方で、紙たばこの代替品としてスウェーデンで普及している無煙たばこの「スヌース」について、EUの他の地域では禁止されていることから、指摘する声がある。スヌースにも、依存性や健康リスクがあることを忘れてはならない。
ニュージーランドでは2009年以降に生まれた人のたばこ禁止措置が始まっている。たばこのない社会の実現に向けて、広告の規制のほか公共の場での禁煙などが、世界の潮流となるだろう。
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