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ブラジルは、動物福祉の観点より、すべての港から生きた牛を輸出することを禁止した。ニュージーランドやオーストラリアでも同じく、生きた動物の輸出を禁止する動きが広まっている。
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ブラジルは、生きたまま牛を輸出する「生体牛輸出」を禁止した。生きた動物の輸出では、動物に多大な苦痛とストレスを与えるため、アニマルウェルフェアの観点から決められた。
今回の生体牛輸出禁止に決まったのは、ブラジルの裁判官の判断によるものだ。ブラジルのNGO団体「動物の保護と防衛のための全国フォーラム(National Forum for the Protection and Defense of Animals)」が2017年、すべての生きた牛の輸出を禁止するようサンパウロの裁判所に訴訟を起こしていた。
この判決として、ジャルマ・ゴメス判事は、判決文で以下のように述べている。「動物は物ではありません。彼らは感性を持った生き物であり、空腹、喉の渇き、痛み、寒さ、苦悩、恐怖を感じます」
「動物の保護と防衛のための全国フォーラム」は、生きた牛を輸出することについて、奴隷制時代の人身売買に似た活動と表現。裁判所が、動物に引き起こされた苦しみを認めた今回の判決を“歴史的”だと称賛している。
ちなみに、ブラジルは世界第5位の生きた牛の輸出国である。しかし、動物福祉に対する世論の高まりを受けて、2021年8月にベトナムに向けた屠殺用雄牛の輸出を最後に、その後は輸出は行っていない。ブラジルの生きた牛の輸出は2021年には69%に減少していた。
長距離移動を伴う生きた動物の輸出は、動物に多大な苦痛とストレスを与える。生きた動物の輸出を禁止するひとつの契機になったのが、2018年に起きた事件だ。冬のオーストラリアから、夏を迎えた中東まで羊が輸送されたのだが、その航海中、約2,400頭の羊が熱ストレスで死亡する悲惨な事件が起きたのだ。
そのため、生体取引を禁止する動きはブラジルだけに留まらない。ニュージーランドも4月30日から、生きた牛の輸出を禁止している。30,000人を超える人々が動物愛護団体「SAFE」の嘆願書に署名し、禁止を求める57,000通以上のメールが首相に送られ、禁止に至ったという。
同団体のデブラ・アシュトン最高経営責任者(CEO)は、生体輸出禁止は動物の虐待がもはや容認されないという世界への強いメッセージだと話している。
「この禁止は、何十万頭もの動物を生きたまま輸出される恐怖から救うものであり、世界中で同様の呼びかけが行われています」
動物福祉や環境意識の高まりを受けて、生きたままの動物の国際取引は今後縮小していくとみられる。
※参考
Brazil Bans Live Animal Exports|Maritime professional
Brazil judge moves to ban live cattle exports, as NZ ban takes effect|Beef central
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