未利用バイオマス由来のエタノール開発・製造を行う株式会社ファーメンステーションは、食品製造を行う株式会社チルディーとパートナーシップを組み、サンドイッチなどの製造過程で出るパン耳残渣をアップサイクルしたエタノールを配合した除菌アルコールを開発。社内で活用する取り組みを開始した。
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独自の発酵技術で未利用資源を再生・循環させる社会を構築する研究開発型スタートアップの株式会社ファーメンステーションは、パンの製造過程や、加工食品製造過程で出るパン耳等の製造残渣や余剰等を原材料とした、高濃度エタノールの製造を実現し商用化した。
この未利用バイオマス由来のエタノールの開発・製造技術を活用したプロジェクトを、今回一緒に開始したのは、ニッスイグループでコンビニエンスストアやスーパーマーケット向けに食品製造を行う株式会社チルディーだ。
持続可能な社会に向けたサーキュラエコノミー(循環型経済)の実現を目指した「未利用資源 再生・循環パートナーシップ」として、サンドイッチなどの製造過程で出るパン耳残渣をアップサイクルし製造したエタノールを配合した除菌アルコールを開発し、チルディー社内で再び活用する社内循環型アップサイクルの取り組みを始めている。
ファーメンステーションでは、規格外の農産物や食品・飲料製造時に出る副産物といったフードロス/ウェイスト、その他の未利用バイオマスを原材料とし、独自の発酵技術・製造設備を活用したエタノール等の発酵原料の技術開発、商用化製造を加速。
「バイオものづくり」に貢献するとともに、未使用資源のアップサイクルに取り組む企業とのパートナーシップの拡大に取り組んでいくことを目指すとしている。
チルディーは、コンビニエンスストアやスーパーマーケット向けに総菜やサラダ、麺類などの幅広い食品製造販売を行っており、製造過程でやむを得ず出る残渣については、フードロス削減の観点からこれまでもさまざまな取り組みを行ってきた。
今回対象とした、サンドイッチを製造する過程で出るパン耳残渣についても、パン粉として二次加工して販売をしたり、飼料として活用するなど、廃棄を可能な限り減らす活動を行ってきた。
今回のファーメンステーションとの共創においては、製造残渣のさらなる活用として、リサイクル等を超え、さまざまなアイデアや手法でさらに価値の高いプロダクトに転換するアップサイクルを目指している。
アップサイクルの取り組みとして、サンドイッチを製造する過程で出るパン耳残渣由来のエタノールを開発し、再びチルディー社内で入出時に利用する除菌アルコールにすることで資源循環を実現する社内循環型のアップサイクルを実現。
また、発酵・蒸留時に発生する副産物である発酵粕もごみとせず、ニワトリの飼料として余すことなく活用。両社は「未利用資源 再生・循環パートナーシップ」を通じて、持続可能な社会に向けたサーキュラエコノミー(循環型経済)の実現を目指し取り組みを進めていくとしている。
ファーメンステーションは、「未利用資源 再生・循環パートナーシップ」として、これまでも、多種多様な企業とパートナーシップに取り組んできた。
活用した未利用資源は、アサヒグループとJR東日本グループが製造するりんごのお酒「シードル」の醸造工程から発生する副産物であるりんごの搾り残渣や、ANAグループが取り扱う流通過程で汚れや傷みなどにより規格外となり販売できないバナナ、象印マホービンが炊飯ジャーの商品開発において炊飯した際の試食で食べきれないごはん、カンロの飴の製造過程で出る規格外の飴など。
これら未利用資源を発酵・蒸留、精製した「エタノール」を用いて、アロマ製品や除菌ウエットティッシュなどを製造・販売するパートナーシップにも取り組んできている。
今後も未利用資源の再生・循環パートナーシップの取り組みを拡大し、貴重な未利用資源を有する企業(食品・飲料メーカー等)や、そのアップサイクルした原料や商品を展開可能な企業(化粧品・生活雑貨メーカー、小売り等)との連携を推進していくとしている。
ファーメンステーションがこれまでにエタノール化を実現した未利用バイオマスは多岐に渡り、公表済み(商用化)のものでは、米(休耕田・規格外)、炊飯米(余剰炊飯米)、りんご搾りかす(搾汁残渣)、バナナ(規格外)、じゃがいも(規格外)、桃(規格外)、ゆず搾りかす(搾汁残渣)、飴(規格外)、ワイン残渣(ぶどう搾りかす)等がある。
この多種多様な未利用バイオマスからエタノール化を行ってきた技術・ノウハウをもとに、独自の未利用バイオマスデータベースおよび発酵微生物ライブラリをプラットフォーム化しており、今回のパン由来のエタノール開発においてもスピーディーに商用レベルでの製造を実現した。
ファーメンステーションの製造するエタノールは、未利用資源のアップサイクルであることに加え、由来の明確な原材料をもとに100%国内製造していることで実現するトレーサビリティ、100%再生可能エネルギーで操業する国内工場で製造した環境負荷の低い製造、独自のテクスチャーや香りのコントロールなどの機能性など、既存のバイオエタノールにない特徴がある。
これらの特徴をいかし、さまざまな用途に応用が可能な原料として、化粧品・日用品・香水・衛生用品をはじめとした高付加価値市場での活用が進んでおり、加えて、昨今需要が高まるバイオプラスチック原料や燃料(SAF)等の用途としても引き合いがあるという。
国内において、流通しているバイオエタノールの多くは海外の穀物等を原材料とし国外で製造され輸入されるものが大半だが、昨今の食糧原料の高騰やバイオエタノールの需要増加等もありバイオエタノールの供給力の安定化や増加が求められている。
また、円安等の影響からも国内におけるバイオエタノール調達方法の拡充が求められるなかで、ファーメンステーションは、国内で数少ない工業用アルコール(エタノール)の製造許認可事業者として、食糧と競合するような新たな資源を生産・使用せず、国内で大量に発生する未利用バイオマスを原材料に、完全に国内で製造をするモデルを有しており、多様な市場で需要が高まるバイオエタノール需要に応えていくことを目指す。
国内でもさまざまな用途で未利用バイオマス由来のエタノール開発の動きが生まれているなか、今後積極的に外部パートナー企業とも連携し「バイオものづくり」において技術提供や共創を通じた技術開発・製造を行っていくことを予定している。
お問い合わせ先/株式会社ファーメンステーション
https://fermenstation.co.jp/
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