自作コンポストのメリット・デメリットとは 作り方や市販品との違いも解説

堆肥を手に取る女性の手

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環境にやさしく、栄養豊富な堆肥が手に入るコンポスト。近年は、循環型社会への取り組みの一環として自作する人も増えている。本記事では、自作コンポストのメリット・デメリットを解説。自作コンポストの種類や市販との違い、役立つアイテムまで紹介する。

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2023.03.14
SOCIETY
学び

エシカルマーケティングとは? メリットや実例をわかりやすく紹介

目次

コンポストを始めたいと思ったら自作から始めてみよう

コンポスト作業中のスコップ

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コンポストの直接的なメリットは、家庭から出る生ごみを堆肥に変えられることだ。生ごみを捨てる手間がなくなるのはもちろん、ごみの量を減らすことができるので、ごみ袋代の節約にもなるだろう。

生ごみが栄養豊富な堆肥へと変化するので、自宅で手軽に有機栽培に取り組めるのもポイントのひとつ。化学肥料や農薬を使わずに、家庭菜園やガーデニングを楽しめるようになる。

さらには、コンポストは環境問題への取り組みともつながっている。家庭ごみが減り、ごみの焼却が減ると二酸化炭素の削減が実現する。コンポストは、地球温暖化問題とも密接に関わっていることを覚えておきたい。

コンポストを始めようと思ったら、まずは市販のコンポストか自作のコンポストかを選ぶ必要がある。この記事では、両者の違いや、それぞれのメリット・デメリットを解説していく。どちらが自分のライフスタイルに適した選択なのか、考える材料にしてみてほしい。

コンポストとは?

屋外に置いてあるコンポスト

Photo by Patricia Valério on Unsplash

本題に入る前に、コンポストについて改めておさらいしておこう。

コンポストとは、微生物の動きを活用して、生ごみを分解してつくった堆肥のこと。厳密には、分解してできた堆肥をコンポスト、分解するための容器をコンポスターというが、両方を総称してコンポストと呼ぶことも多い(※本記事内でも、容器のことも含めてコンポストと表現する)

自然界においては、有機物は小動物や微生物の働きによって、少しずつ土に戻る。一方で、コンポストを活用すると、微生物の働きを高めることによって、有機物をよりスピーディーに土に還すことが可能となる。

1950年代までさかのぼると、コンポスト化は公共の施設で行われていた歴史がある。その機能が各家庭に分散されるようになっても、コンポストの利用は、土がふんだんにある場所や畑などに限定される傾向があった(※1)。しかし近年は、コンパクトな都市型コンポストが誕生したり、自治体が自作を推奨したりという流れがあり、各家庭での普及が進みつつある。

市販のコンポストと自作コンポストの違い

屋外に置かれたバケツ

Photo by Lucas van Oort on Unsplash

市販のコンポストと自作コンポストでは、機能面や価格、維持の難易度などに差がある。市販のコンポストには種類がさまざまあり、かつ、市販と自作のどちらにもそれぞれのよさがあるというのを大前提に、以下では、市販のコンポストと自作コンポストの違いを大きく3つの観点から紹介する。

必要なコスト

市販のコンポストと自作コンポストとでは、必要なコストが異なる。自作コンポストは、家にある段ボールやバケツを使って始められる。腐葉土や発酵促進剤などの基材は必要だが、大きな出費は必要ないといえるだろう。

一方で、市販のコンポストは、購入のための初期費用が必要となる。土中式、回転式など、選ぶものによって金額は異なるが、ワンタッチでコンポスト化がはじまる電動タイプは高いものだと10万円を超えるものもある。

手間がかかるポイント

コンポストには、内容物を維持するための作業が必要だ。電動タイプを除いては、市販・自作どちらも定期的にかき混ぜたり、コンポスト化の進捗を確認したりする必要があることを覚えておきたい。

自作コンポストは、市販のものより気候や環境の影響を受けやすいのが特徴。コンポスト化が完了し堆肥になるまでの期間が市販のものに比べてはっきりしていない分、自身で内容物の状態をよく確認する必要がある。

また、市販のコンポストを設置しようと思ったら、設置場所の整備や確保、家庭に適したコンポスト選び・購入などを行う必要がある。自作のコンポストは、始めようと思ったら家庭にある道具を使用して、すぐに始められる。「自作」と聞くと手間に思えるかもしれないが、自作といっても組み立てや難しい調合などは必要ない。

悪臭・虫対策の難易度

悪臭や虫の対策は、自作コンポストのほうが難しいかもしれない。市販のコンポストは、臭いや虫の発生のことを考慮して商品化してあるケースが多い。自作コンポストは、基本的には無防備なので、自身のアイディアや工夫によって対策を行うことが重要だ。

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自作コンポストのメリット

ガーデニングが行われているベランダの様子

Photo by Artur Aleksanian on Unsplash

自作コンポストの最大のメリットは、手軽さだろう。以下で、具体的なメリットを3つ紹介する。

生ごみを土に埋めるだけだからすぐに始められる

思い立ったときに始められるのが、自作コンポストの大きなメリットだ。自作コンポストは、段ボールや自宅にある容器を使ってすぐに始められる。基本作業は、生ごみを土に埋めてかき混ぜるだけ。土と容器を用意すれば、今日からでも始められるのだ。

生ごみを出さない便利さが気軽に味わえる

コンポストを始めると、生ごみを捨てる必要がなくなる。生ごみを集めて、水気を切って、袋に入れて、という手間が不要になるのはもちろん、袋代も節約になる。そんなコンポスト生活を気軽に味わえるのが、自作コンポストの魅力だろう。大きな費用がかかるわけでもなく、日用品を用いて始められるので、構えずに、気軽に挑戦してみてほしい。

また、自作コンポストは、子どもが環境問題に関心を持つきっかけにもなるだろう。子どもと一緒につくって、毎日過程を観察してみるのもおもしろいかもしれない。

小さく始められるからベランダでもできる

昔ながらのコンポストは、土が豊富にある場所や畑などの屋外に設置する必要があった。現在も、コンポストのタイプによっては、コンポスト用のスペースを確保する必要がある。しかし、自作コンポストの場合はコンパクトで場所も取らないので、ベランダに置いておくことも可能。庭がない集合住宅でも始められるのが、自作コンポストのメリットだ。

自作コンポストのデメリット

形状が残ったままのりんご

Photo by Del Barrett on Unsplash

手軽ですぐに始められる自作コンポストだが、機能面に関しては、市販のコンポストに劣る面もある。以下では自作コンポストのデメリットを2つ挙げる。

市販品に比べ、分解までに時間がかかる

市販のコンポストに比べて堆肥になるまでの時間がかかる点は、自作コンポストのデメリットだろう。市販のものは、タイプによっては数時間で堆肥化が完了する。自作コンポストは、微生物が生ごみを分解するのに時間がかかるため、堆肥として使えるようになるまでに数ヶ月〜半年程度の時間を要する。

投入する生ごみを細かく切ったり、分解を促進させるためによくかき混ぜたりすることで、多少はコンポスト化の時間を短縮できるかもしれない。しかし、基本的には、自作コンポストは市販のコンポストより分解の時間が長くなる傾向にある。

臭い、虫などの対応が必要

コンポストには生ごみを用いるので、どうしても悪臭や虫が発生する可能性がある。市販のコンポストは臭いや虫に対応している場合が多いが、自作コンポストの場合はより一層の注意が必要だ。

自作コンポストの作業時には、虫が入らないように確認し、虫の発生を防ぐことがポイント。また、カバーをかけることで、外からの虫の侵入を防ぐことができる。

悪臭対策に関しては、かき混ぜるときに、下からしっかり混ぜることが重要。投入する生ごみの見直しや生ごみの投入間隔を開けることも、臭いを減らすのに有効だ。

自作コンポストの種類

スコップで畑の土を容器に入れる様子

Photo by Markus Spiske on Unsplash

自作コンポストとひと口にいっても、種類はさまざまだ。以下では代表的な3つの自作コンポストを紹介しよう。

段ボール

段ボールコンポストは、自宅にある段ボールを容器として活用する。段ボールコンポストに必要なものはすべてホームセンターでそろえることができ、以下の方法で簡単につくることができる。

・すのこや床材などで上げ底した通気性のよい場所に、強度のある段ボールを置く
・「ピートモス」や「もみ殻くん炭」でつくった基材を段ボールに入れる
・生ごみを投入してかき混ぜる
・虫の侵入を防ぐために、フタをする


「生ごみを投入して混ぜる」を基本作業とし、段ボールがいっぱいになったタイミングで生ごみの投入をやめて、1ヶ月ほど熟成させる(※2)。

低コストで気軽に始められる段ボールコンポストだが、耐久性が低いのがデメリットといえる。2〜6ヶ月で定期的に段ボールの交換を行うことで、段ボールコンポストを長く続けられるだろう。

バケツ

バケツコンポストは、生ごみをバケツに投入することでコンポスト化をはかる。バケツが置けるスペースだけで始めることができ、コンポスト専用の容器が必要ないのがポイントだ。具体的な方法は以下。

・生ごみをバケツに投入する
・上から、腐葉土や米ぬかを混ぜた基材を投入する


基本手順は、生ごみと基材を交互に重ねるのみ。空気の通りがいい好気性の発酵方法なので、嫌な臭いを防ぎながらコンポストに取り組める。コンポストがいっぱいになったら、土と混ぜたうえで1〜1ヶ月半放置して熟成させ、濃度を調整しながら堆肥として使用できる。

虫害を防ぐ方法は、段ボールコンポスト同様フタをすることだが、通気性を保つためにネットやTシャツをフタ代わりにするのが望ましい。また、腐ったものや骨類、卵の殻、貝の殻などを投入すると悪臭の原因になるので、気をつけたい。

プランター

プランターコンポストは、家庭菜園やガーデニングをしている人にぴったりだ。

・プランターのなかで生ごみと土を混ぜる
・混ざったら端に寄せて上から土をかぶせる

方法は、上記を繰り返すだけ。生ごみは約1ヶ月で堆肥になる。投入する生ごみは細かく刻むことで、よりスムーズにコンポスト化される。虫が発生したり、カラスが寄ってきたりするリスクがあるが、フタをすることで一定は防ぐことができる。(※3)

自作コンポストに役立つアイテム

自作コンポストには、自宅にあるものを用いるだけでも十分だが、お役立ちアイテムを取り入れるともっと楽しく取り組めるかもしれない。以下では、ELEMINIST SHOPで取扱いのある自作コンポスト向きのアイテムを2つ紹介する。

再生綿アップサイクル軍手(GARDENING)|サイコロ印

再生綿アップサイクル軍手 - 4タイプ shopping

¥660 (税込)

手袋と靴下の製造・販売を行っている「サイコロ印」のプロ向け手袋。肉厚でつけ心地がよく、鉄工所の職人や漁師から愛用されている本格的な軍手だ。

「日常生活にも取り入れていただきたい」との思いで販売されている一般向けタイプは、使う人のシーンに合わせてデザインされている。

「No.3:GARDENING」は、家庭菜園やコンポストの作業時にぴったり。いらなくなった糸くずやワタからつくられたリサイクル糸が使われているのもポイントだ。

ボタニカルダイ エプロン|Lefts,(レフツ)

ボタニカルダイ エプロン shopping

¥16,170 (税込)

全国の産地直送の青果を絞ったジュースのしぼりカスの使い方を模索するブランド「Lefts,(レフツ)」が提供する、100%ボタニカルダイエプロン。ユニセックス仕様で丈の長さがあるので、作業時に衣服を汚れからしっかり守ってくれる。

美しい発色は、天然の植物を由来とした染料と、科学のチカラで実現。カラー展開は3色。それぞれ異なる植物がもととなっている。

気軽に始めてコンポストのメリットを体感しよう

植物の芽が多数出ている様子

Photo by Francesco Gallarotti on Unsplash

手軽に始められる自作コンポスト。コンポストは家庭のごみを減らせるだけでなく、ごみ焼却の際の二酸化炭素の削減にもつながっていて、地球への負荷を減らすことができる。

自作コンポストでコンポスト生活のよさを知ることができたら、市販のものを購入して本格的に始めてみてもいいだろう。コンポストを取り入れて、地球にやさしい循環型のライフスタイルにシフトしていきたいものだ。まずは、自作コンポストから気軽にトライして、コンポストのある暮らしを体感してみてはいかがだろうか。

※掲載している情報は、2023年3月14日時点のものです。

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