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世界人口に影響を与える、出生率。2023年3月時点での、世界の最新ランキング情報を紹介する。日本の順位や現状を確認してみよう。ランキングから見えてくる世界の状況や、今後の予測、出生率が高い国・低い国それぞれの傾向も解説する。
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出生率とは、「人口1,000人に対する1年間の出生数の割合」を示す数値である。日本においては、毎年10月1日時点の人口をもとに計算。厚生労働省の管轄で調査が行われている。具体的には、役所に届けられた出生数を、日本の人口数で割る。求められた数値に1,000をかけて求められるのが出生率だ。「普通出生率」とも呼ばれている。
日本において、普通出生率よりも注目される機会が多いのは、「合計特殊出生率」である。普通出生率とは違い、「15~49歳の女性人口」をもとに計算される。導き出された数値は「1人の女性が生涯を通じて産む子どもの数」だ。今後の人口動向がどう傾くのか、予測するための指標として使われている。
アメリカ合衆国中央情報局(CIA)が発表している「The World Factbook」によると、2023年(推定)の合計特殊出生率の最新ランキングは以下のとおりだ。(※1)
順位 | 国名 | 出生率 |
1位 | ニジェール | 6.73 |
2位 | アンゴラ | 5.76 |
3位 | コンゴ民主共和国 | 5.56 |
4位 | マリ | 5.45 |
5位 | ベナン | 5.39 |
6位 | チャド | 5.35 |
7位 | ウガンダ | 5.26 |
8位 | ソマリア | 5.22 |
9位 | 南スーダン | 5.2 |
10位 | ブルンジ | 4.96 |
11位 | ギニア | 4.82 |
12位 | モザンビーク | 4.74 |
13位 | リベリア | 4.73 |
14位 | ギニアビサウ | 4.65 |
15位 | ナイジェリア | 4.57 |
16位 | スーダン | 4.54 |
17位 | アフガニスタン | 4.53 |
18位 | カメルーン | 4.5 |
19位 | ザンビア | 4.49 |
20位 | タンザニア | 4.33 |
21位 | コンゴ共和国 | 4.32 |
22位 | 赤道ギニア | 4.19 |
23位 | トーゴ共和国 | 4.18 |
24位 | セネガル | 4.17 |
25位 | ブルキナファソ | 4.14 |
26位 | 東ティモール | 4.09 |
27位 | 中央アフリカ共和国 | 3.99 |
28位 | エチオピア | 3.92 |
29位 | ジンバブエ | 3.88 |
30位 | パプアニューギニア | 3.85 |
31位 | シエラレオネ | 3.71 |
32位 | ガンビア | 3.66 |
33位 | ガーナ | 3.61 |
34位 | マダガスカル | 3.55 |
35位 | エリトリア | 3.5 |
36位 | コートジボワール | 3.47 |
37位 | モーリタニア | 3.46 |
38位 | サントメ・プリンシペ | 3.44 |
39位 | パキスタン | 3.39 |
40位 | ガザ地区 | 3.34 |
41位 | マラウイ | 3.3 |
42位 | ガボン | 3.26 |
43位 | ルワンダ | 3.23 |
44位 | ケニア | 3.23 |
45位 | イラク | 3.17 |
46位 | リビア | 3.04 |
47位 | ナミビア | 2.94 |
48位 | ヨルダン | 2.91 |
49位 | イエメン | 2.91 |
50位 | ヨルダン川西岸地区 | 2.91 |
51位 | レソト | 2.88 |
52位 | ソロモン諸島 | 2.82 |
53位 | ツバル | 2.81 |
54位 | フィリピン | 2.77 |
55位 | エジプト | 2.76 |
56位 | グアム | 2.76 |
57位 | シリア | 2.74 |
58位 | マーシャル諸島 | 2.72 |
59位 | トンガ | 2.7 |
60位 | コモロ | 2.69 |
61位 | オマーン | 2.67 |
62位 | 北マリアナ諸島 | 2.59 |
63位 | バヌアツ | 2.59 |
64位 | ベリーズ | 2.59 |
65位 | ナウル | 2.58 |
66位 | グアテマラ | 2.57 |
67位 | イスラエル | 2.54 |
68位 | キルギスタン | 2.47 |
69位 | アルジェリア | 2.47 |
70位 | タジキスタン | 2.42 |
71位 | エスワティニ | 2.41 |
72位 | ハイチ | 2.39 |
73位 | サモア | 2.37 |
74位 | パナマ | 2.37 |
75位 | ボツワナ | 2.37 |
76位 | ラオス | 2.3 |
77位 | フェロー諸島 | 2.28 |
78位 | モロッコ | 2.27 |
79位 | ボリビア | 2.26 |
80位 | フィジー | 2.23 |
81位 | クウェート | 2.22 |
82位 | ミクロネシア連邦 | 2.22 |
83位 | カンボジア | 2.2 |
84位 | ベネズエラ | 2.2 |
85位 | ドミニカ共和国 | 2.2 |
86位 | キリバス | 2.18 |
87位 | ペルー | 2.18 |
88位 | アルゼンチン | 2.17 |
89位 | 南アフリカ | 2.17 |
90位 | アメリカ領サモア | 2.13 |
91位 | ジブチ | 2.13 |
92位 | カーボベルデ | 2.11 |
93位 | カザフスタン | 2.08 |
94位 | バングラデシュ | 2.08 |
95位 | インド | 2.07 |
96位 | ガイアナ | 2.06 |
97位 | ジャマイカ | 2.05 |
98位 | クック諸島 | 2.04 |
99位 | ベトナム | 2.04 |
100位 | エルサルバドル | 2.04 |
101位 | トルクメニスタン | 2.03 |
102位 | フランス | 2.02 |
103位 | エクアドル | 2.02 |
104位 | ドミニカ | 2.01 |
105位 | ビルマ | 2 |
106位 | インドネシア | 1.99 |
107位 | シント・マールテン | 1.98 |
108位 | ヴァージン諸島 | 1.98 |
109位 | ホンジュラス | 1.98 |
110位 | バハマ | 1.97 |
111位 | キュラソー | 1.97 |
112位 | スリランカ | 1.97 |
113位 | チュニジア | 1.96 |
114位 | アイスランド | 1.95 |
115位 | コロンビア | 1.94 |
116位 | アンティグア・バーブーダ | 1.94 |
117位 | グレナダ | 1.92 |
118位 | イラン | 1.92 |
119位 | トルコ | 1.91 |
120位 | アイルランド | 1.91 |
121位 | スリナム | 1.91 |
122位 | カタール | 1.9 |
123位 | ジブラルタル | 1.9 |
124位 | グリーンランド | 1.9 |
125位 | バミューダ | 1.89 |
126位 | 韓国、北朝鮮 | 1.89 |
127位 | モンゴル | 1.89 |
128位 | サウジアラビア | 1.89 |
129位 | パラグアイ | 1.88 |
130位 | コソボ | 1.88 |
131位 | マン島 | 1.88 |
132位 | ネパール | 1.88 |
133位 | アゼルバイジャン | 1.86 |
134位 | コスタリカ | 1.86 |
135位 | ニュージーランド | 1.86 |
136位 | ニューカレドニア | 1.84 |
137位 | アメリカ | 1.84 |
138位 | ノルウェー | 1.83 |
139位 | アルバ | 1.82 |
140位 | ケイマン諸島 | 1.82 |
141位 | セーシェル | 1.81 |
142位 | モンテネグロ | 1.81 |
143位 | セントマーチン | 1.8 |
144位 | フランス領ポリネシア | 1.8 |
145位 | ニカラグア | 1.78 |
146位 | オランダ | 1.77 |
147位 | ブータン | 1.77 |
148位 | デンマーク | 1.77 |
149位 | ベルギー | 1.77 |
150位 | セントクリストファー・ネイビス | 1.76 |
151位 | チリ | 1.75 |
152位 | ウルグアイ | 1.75 |
153位 | ブラジル | 1.75 |
154位 | グルジア | 1.75 |
155位 | セントビンセントおよびグレナディーン諸島 | 1.74 |
156位 | マレーシア | 1.74 |
157位 | フィンランド | 1.74 |
158位 | ブルネイ | 1.74 |
159位 | メキシコ | 1.73 |
160位 | オーストラリア | 1.73 |
161位 | ウズベキスタン | 1.72 |
162位 | アンギラ | 1.72 |
163位 | セントルシア | 1.72 |
164位 | レバノン | 1.71 |
165位 | ウォリス・フツナ | 1.71 |
166位 | キューバ | 1.71 |
167位 | モルディブ | 1.7 |
168位 | バルバドス | 1.7 |
169位 | パラオ | 1.7 |
170位 | タークス・カイコス諸島 | 1.7 |
171位 | リヒテンシュタイン | 1.69 |
172位 | スウェーデン | 1.67 |
173位 | バーレーン | 1.66 |
174位 | ジャージー | 1.66 |
175位 | アルメニア | 1.65 |
176位 | 聖バルテルミー | 1.64 |
177位 | ルクセンブルク | 1.63 |
178位 | イギリス | 1.63 |
179位 | トリニダード・トバゴ | 1.63 |
180位 | ルーマニア | 1.63 |
181位 | アラブ首長国連邦 | 1.62 |
182位 | エストニア | 1.62 |
183位 | リトアニア | 1.61 |
184位 | セントヘレナ、アセンション、トリスタン ダ クーニャ | 1.61 |
185位 | ロシア | 1.6 |
186位 | スロベニア | 1.6 |
187位 | サンピエール島とミクロン島 | 1.59 |
188位 | モルドバ | 1.59 |
189位 | ガーンジー | 1.59 |
190位 | スイス | 1.58 |
191位 | ドイツ | 1.58 |
192位 | カナダ | 1.57 |
193位 | ウクライナ | 1.57 |
194位 | ラトビア | 1.55 |
195位 | アルバニア | 1.55 |
196位 | タイ | 1.54 |
197位 | モナコ | 1.53 |
198位 | サンマリノ | 1.53 |
199位 | 北マケドニア | 1.52 |
200位 | ベラルーシ | 1.52 |
201位 | オーストリア | 1.51 |
202位 | マルタ | 1.51 |
203位 | ブルガリア | 1.51 |
204位 | チェコ | 1.5 |
205位 | ハンガリー | 1.49 |
206位 | キプロス | 1.48 |
207位 | スロバキア | 1.46 |
208位 | セルビア | 1.46 |
209位 | アンドラ | 1.46 |
210位 | クロアチア | 1.46 |
211位 | 中国 | 1.45 |
212位 | ポルトガル | 1.44 |
213位 | ポーランド | 1.41 |
214位 | ギリシャ | 1.4 |
215位 | 日本 | 1.39 |
216位 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | 1.37 |
217位 | イギリス領バージン諸島 | 1.37 |
218位 | モーリシャス | 1.35 |
219位 | モントセラト | 1.32 |
220位 | スペイン | 1.29 |
221位 | プエルトリコ | 1.25 |
222位 | イタリア | 1.24 |
223位 | マカオ | 1.23 |
224位 | 香港 | 1.23 |
225位 | シンガポール | 1.17 |
226位 | 韓国 | 1.11 |
227位 | 台湾 | 1.09 |
2023年(推定)の最新ランキングで、日本の合計特殊出生率は1.39である。つまり、1人の女性が生涯を通じて産む子どもの数は1.39人。夫婦2人の間に生まれる子どもの数が「2」に届かなければ、人口減少は食い止められないだろう。順位は227国中215位と、世界的に見ても最低レベルの数値である。
ちなみに、日本を除く先進国(G7)の合計特殊出生率とランキング情報は以下のとおりだ。
順位 | 国名 | 出生率 |
102位 | フランス | 2.02 |
137位 | アメリカ | 1.84 |
178位 | イギリス | 1.63 |
191位 | ドイツ | 1.58 |
192位 | カナダ | 1.57 |
222位 | イタリア | 1.24 |
日本の順位はG7中6位と、非常に低いことがわかる。また7カ国中、合計特殊出生率が「2」を超えたのはフランスのみだ。今後急速に進むと予測される少子高齢化問題は、多くの先進国が共通して抱える課題と言えるだろう。
出生率ランキング上位にはアフリカの国々が目立つ。社会情勢が安定せず、経済的に発展途上である国も多い。出生率の高さは、こうした要因とも深く関わっていると考えられる。
開発途上国には、経済的に恵まれない人々も多く暮らしている。彼らにとっての「子ども」とは、家族の一員であり稼ぎ手でもある。より豊かな生活を手に入れるため、できるだけ多くの子どもを持とうとするのだ。
また開発途上国では、先進国よりも幼い子どもの死亡率が高い。「無事に生まれたとしても育つかどうかわからない」という事情も、出生率に影響を与えていると言えるだろう。
とはいえ出生率が高い国も、ずっとそのままとは限らない。衛生面や食事の改善、医療の充実が進んでいけば、「多産多死」は「多産少死」へと変化するだろう。それによって生じる急激な人口増加は、国にとってリスクでもある。過去に中国やインドが実施したような人口抑制政策が導入されれば、出生率は低下するだろう。
このほかにも、経済発展や選択肢の多様化が、出生率低下につながるケースもある。経済が発展し、子どもを「労働力」とみなさなくても良くなれば、家庭における家族計画も徐々に変化していくだろう。女性の活躍の場が「家庭」以外に広がれば、「子どもを産む」以外の選択肢も増えるはずだ。
続いては、出生率が低い国に注目してみよう。日本を含め、経済的に安定した国が目立つ。経済発展とともに、人々の選択肢が増えた結果と言えるだろう。
男女を問わず社会で活躍する場が広がれば、「結婚して子どもを持つ」以外の道を選択する人も増える。晩婚化は、出生率低下と深く関連している。多様化する社会において、より自分らしい生き方を望んだ結果、「子どもを持たない」という選択肢や「出産適齢期を逃す」といったことも非常に身近になっているのだ。
出生率が低い国にとって、少子高齢化は非常に深刻な問題である。数値を上昇させるため、国が積極的な取り組みを行う国も目立つ。G7中で唯一、合計特殊出生率が「2」を超えるフランスは、具体的かつ継続的な政策で知られている。家族給付の手厚い支給のほか、保育の充実など、仕事と妊娠・育児の両立支援にも注力。こうした政策が人々の生活や感情とうまくマッチすれば、出生率上昇のきっかけになるだろう。
先ほどのランキング情報から計算すると、出生率の最新世界平均は「2.38」である。日本をはじめとする先進国で人口減少が問題視されているものの、世界全体で見れば、人口はまだまだ増加傾向にあると言えるだろう。貧困や格差、十分な食料の確保など、さまざまな課題を解決していく必要がある。
2020年から2021年にかけて、猛威をふるった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
は出生率にも影響を与えた。コロナ禍において、出生率を上げた国もあれば下げた国もあり、日本は後者に当てはまる。2022年は、多くの国や地域で経済が活性化した。出生率の今後の変化にも注目していこう。
出生率が低下すれば、総人口における若い世代の割合が減少する。高齢化が進めば、労働力不足や社会保障費の負担増といった問題が表面化するだろう。人口が減れば、これまでと同じ社会基盤を維持するのは難しくなる。世界全体で出生率が低下し続ければ、社会の仕組みそのものを変えざるを得ない。
一方で、出生率低下による世界の変化は、悪いことばかりではない。人口が減少すれば、経済活動は緩やかになる。二酸化炭素排出量が減少すれば、地球温暖化を食い止められるかもしれない。人間の生活に必要な品物や食料を無理なく確保できるようになれば、環境破壊もストップできるだろう。
2023年現在、世界の人口は増え続けている。今回紹介した合計特殊出生率から見ても、それは明らかだ。しかし、出生率の数値に注目してみると、その数値は年々減少傾向にある。このまま低下し続ければ、世界人口はいずれ減少に転じるだろう。
先進国においては、出生率の低下はすでに深刻な問題となっている。現在は出生率が高い国々も、今後の経済発展により、先進国と同じような道筋をたどっていくことは想像に難くない。出生率低下がもたらす社会の変化を頭に入れた上で、今後の推移に注目していこう。
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