ハワイ・オーストラリアなど 世界各地で「風船飛ばし禁止」ルール制定

ハワイなど世界各地で進む 風船飛ばし禁止

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風船を空に飛ばすことを禁止する国や地域が増えている。放たれた風船を野生動物や家畜が誤飲したり、海洋プラスチック汚染、停電や山火事の原因となる可能性があるためだ。世界で風船飛ばしを禁止している国や地域を紹介しよう。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2023.03.01
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風船飛ばしを禁止している世界の国・地域

誕生日や卒業式、フェスティバルやイベントで大量に放たれる風船。一度はこのような光景を目にしたことがある方も多いだろう。アメリカや欧州などでは、そんな風船飛ばしを違法とする法案が制定されている。

放たれた風船の多くは、地球にごみとして戻ってくる。野生動物や鳥、海洋生物、家畜などが誤飲すると、消化管の閉塞、組織や血管の圧迫、窒息などを引き起こし命を落とす可能性がある。

また、風船にプラスチック製の紐がついている場合、動物に絡まる危険性も否定できない。このような被害をなくすため、風船飛ばしを禁止する動きが広まっている。ここでは、各国の動向についてまとめて紹介したい。

風船の破片=海洋生物や家畜にとって致命的 罰金対象へ

Photo by Thomas Peham on Unsplash

アメリカ(ハワイ州)

ハワイ州では2023年1月1日より、風船の数や種類に関係なく、意図的に風船を屋外に飛ばすことが違法となった。違反者には500ドル(約6万8,000円)の罰金が科される。ただし、政府機関が科学目的等で使用する場合は免除となる。

この取り決めは、ウミガメなどの海洋生物や野鳥への影響を考慮したものだ。また、2018年以降、風船が送電線に接触したことが原因で、停電が22件発生していることも懸念事項としてあった。

アメリカ(バージニア州)

バージニア州では2021年に同様の法律が制定され、16歳以上の個人が非生分解性または光で分解できない材料でつくられた風船などを屋外で意図的に放ち、廃棄することを禁止した。違反者には、風船1個につき25ドル(約3,400円)の罰金が科される。

海洋生物が誤食する危険性 バージニア州で風船のリリースが禁止に

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アメリカ(その他の地域)

その他、メリーランド州やフロリダ州でも風船飛ばしを禁止。ニューヨーク州やテネシー州でも同様の法律について議論されている。

カリフォルニア州ラグーナビーチ市でも先日、2024年から風船飛ばしを禁止することが決まった。違反者の罰金は、100ドル(約13,500円)から500ドル(約6万8,000円)。

オランダ(ロッテルダム)

オランダ第2の都市・ロッテルダムでは2020年、風船飛ばしが全面的に禁止となった。その後、いくつかの都市が追随している。風船の形状を問わず、ヘリウムなどのガスで膨らましたあらゆる風船が対象だ。ライセンスを申請した場合、イベント主催者はバルーンの使用に際する手順について説明を受けることになる。

オーストラリア(西オーストラリア州・クイーンズランド州)

オーストラリアで風船飛ばしを禁止しているのは、西オーストラリア州のみ。クイーンズランド州では2023年9月から禁止される。クイーンズランド州の罰金は最高額で7200ドル(約98万円)と高額で、風船が環境や自然動物に与える被害の深刻さを反映するものだ。

ブリスベン沖で死んだカメの体内から見つかったプラスチック破片の70%以上が、破裂した風船に由来するものと推定される。また、ニューサウスウェールズ州沖にあり世界遺産に登録されているロード・ハウ島では、80%以上のミズナギドリのヒナが風船やその付属品を食べていることが判明している。

地球環境と動物・海洋生物を守ろう

風船は風にのって長距離移動する厄介な存在だ。海洋生物や野鳥の命を奪い、木や電線に引っ掛かって2次災害を引き起こす可能性がある。

「生分解性のプラスチック風船なら環境にやさしいのでは?」という見方もあるが、海洋は土壌中と環境・条件が違って微生物の数が少なく、分解速度が遅い。結果的に、野生動物や海鳥、海洋生物にとって脅威であることに変わりない。

最近は、風船を飛ばさずに、天井や空中から“風船を落とす”バルーンドロップも人気の演出方法だ。屋内や屋外で行った後、風船を回収して処分するので、動物を苦しめたり環境汚染につながったりする心配が少ない。

人間と自然が共存していくためにも、従来のイベントやフェスティバルのあり方を再考する時期に差し掛かっている。ぜひ本事例を参考に、風船飛ばしの慣習を見直すきっかけにしてはどうだろう。

※掲載している情報は、2023年3月1日時点のものです。

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