オランダ、鼻の低い犬・耳の折れた猫のペット飼育を禁止へ 健康への懸念から

フレンチブルドッグ

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オランダでは、動物の健康被害をなくすため、平たい顔の犬や耳の折れた猫など、人為的に交配された犬・猫の飼育が今後禁止される可能性が高い。こうした動物の輸入や輸出、SNSやコマーシャルでの画像のシェアも禁止が検討されている。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2023.02.22
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人為的に交配された犬・猫は病気のリスクが高い

オランダで飼育が禁止される、人為的に交配された犬・猫

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最近の研究で、鼻が低い犬や耳が折れた猫など、人為的に交配された動物は、健康上の問題を起こしやすいことが明らかとなっている。

例えば、頭蓋骨の長さに比べて鼻の長さが短い短頭種の犬は、呼吸や心臓に関するトラブルを抱えることが多く、歯、皮膚、耳、眼の感染症になるケースもある。

例えば、フレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグ、ボストンテリア、パグ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、シーズー、ボクサーなど、鼻がつぶれたような平らな顔の犬種だ。

加えて、2020年にイギリスの王立獣医科大学の研究で、平らな顔をした犬は雑種犬と比較して、1年間に少なくとも1つの病気と診断される可能性が1.3倍高いことがわかった。

また、アメリカではスコティッシュフォールドのように耳が折れた猫が人気を博しているが、見た目は可愛いが、耳が折れているのは遺伝子変異の結果だという。“スコティッシュフォールド病”とも言われる遺伝性軟骨の異変は体全体にも引き起こし、次の世代に遺伝して影響を与える可能性が高い。

このような変異は、関節炎、柔軟性のない太い尾、脊髄の異常、短い脚など、深刻な障害をもたらし、不自由な生活を強いられる猫もいるという。

オランダ政府は人為的に交配された動物の飼育を禁止する考え

そこで、オランダ政府は人為的に交配された動物の飼育を禁止する方針を提案。同国では2014年にそのような動物の繁殖は禁止されているが、今回はペットの飼育と輸出入も禁止する。

さらに、広告やSNSで画像をシェアすることも規制対象とする方針。現在ペットとして飼っている人は、その動物が寿命を迎えるまで飼育することを許可される予定だ。

オランダのピート・アデマ農相は以下のように語っている。

「『かわいい』『見た目がいい』といった理由で、罪のない動物の生活を悲惨なものにしている。飼い主は、ペットの外見がもたらす負の側面に気づいていないことがよくある。そのため、ペットが外見による健康被害に苦しむ必要のない国に向けて、大きな一歩を踏み出す」

新しいペットを家族として迎える際には、動物の目線で幸せや快適さを尊重することも欠かせない。動物福祉先進国である欧州の事例は大きなヒントとなるだろう。このニュースをきっかけに、人と動物が幸せに共生できる社会について、いま一度考えてはどうだろう。

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※掲載している情報は、2023年2月22日時点のものです。

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