日本酒蔵の土田酒造、微生物にまつわる研究開発を行う株式会社BIOTAと発酵デパートメントがコラボレーションした「菌の見える木桶酒」が12月25日に発売された。酒瓶のラベルのQRコードから商品ページへアクセスすることで、酒を仕込む過程の微生物の遷移データなどを見ることができる。
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2022年12月25日(日)に発酵デパートメントより「菌の見える木桶酒」が発売された。このオリジナル日本酒を手がけたのは、群馬県の日本酒蔵である土田酒造株式会社、微生物多様性によって健康で持続性のある暮らしをつくる企業、株式会社BIOTAと、発酵デパートメントを運営する発酵デザインラボ株式会社の3社。
発酵デパートメントは「世界の発酵みんな集まれ!」を合言葉に、発酵デザイナー・小倉ヒラク氏が各地を旅して収集したユニークな発酵食品・食材や酒、それらにまつわる情報など、発酵のことならなんでもそろうデパートメントだ。
「菌の見える木桶酒」の醸造を手がけたのは土田酒造の星野杜氏。酒母期間約5ヶ月、麹歩合40%で、米のうまみと酸味、じんと沁みるような甘みがあり、香りもユニーク。
開栓から常温で10日〜1ヶ月おくと、熟成による味の変化も味わえる発酵の猛者のための日本酒で、ラベルには開栓日を記載する欄があり、すぐ飲む用と熟成用に購入するのもおすすめだ。
「菌の見える木桶酒」は微生物研究をおこなうBIOTAの研究対象となっており、酒を仕込む過程で起こる微生物の遷移をグラフによって目で見て知ることができる。
酒瓶のラベルのQRコードから商品ページへアクセスすると、研究論文や研究を解説した動画が閲覧可能。「酒瓶に目を凝らせば菌が見える」ということはないものの、発酵と菌に想いを巡らせ、ワクワクしながら日本酒を楽しむことができる。
今回、土田酒造が製造する酒母、および仕込みに用いる酒蔵の室内表面から採取した微生物叢の解析をおこない、木桶酒を醸す菌を可視化。2報のプレプリントとして公開済みであり、現在国際誌に投稿中だ。
1報目の論文では、酒母の2種類の乳酸菌の遷移が、定説や過去のデータとは異なる、ユニークケースであったことを報告。従来は2種類の乳酸菌が入れ替わるように遷移し増殖するとされていたが、「菌の見える木桶酒」は、乳酸菌の遷移が起きない、特殊なケースであることが明らかになった。
2報目の論文では、この酒母に含まれている微生物の混入源を探索。日本酒の発酵において重要な役割を果たしていると考えられてきた蔵付き微生物は、実際酒蔵のどこにいるのかについて、これまで明らかになっていなかった。
そこで、酒蔵の建物やその周辺、道具などの表面に生息する微生物叢を調査し、酒母の発酵で大部分を占めていた乳酸菌、ロイコノストック属は酒母をつくるタンクに生息していたことがわかった。
今後、ロイコノストック属以外の酒母、さらには日本酒に大きな影響を与える微生物についても、さらに研究を進めていく予定だとしている。
発酵デパートメント
菌の見える木桶酒
3,200円
※2023.01.21現在の価格です。
お問い合わせ先/発酵デパートメント
https://hakko-department.com/
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