「ヴィーガンウール」開発者に賞金100万ドル 動物愛護のPETAが開発を奨励

PETAが「ヴィーガンウール」の開発を奨励

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国際動物愛護団体PETAが、羊毛の代替品となる「ヴィーガンウール」の開発を100万ドル(約1億3,600万円)の賞金つきで呼びかけている。羊毛産業で蔓延する羊への非人道的な扱いや環境負荷を減らす狙いがある。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2022.12.12
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羊を守り環境負荷を抑える目的

羊毛産業の残虐さと環境負担に立ち向かう

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アニマルライツを求める国際的な団体PETAが、「ヴィーガンウールチャレンジ」を行っている。これは、ウールに代わる「ヴィーガンウール」の開発を広く呼びかけるもので、主要ファッションブランドに採用され、その素材を使った商品が販売に至った場合、応募者に100万ドル(約1億3,600万円)の賞金が授与される。

ウールとは、羊の毛を原料にした繊維素材。保温性、吸湿性に優れており、合成繊維にはない魅力がある。しかし、低コストや効率を重視してきた羊毛産業において、羊が非人道的に扱われていることがあるという。

そこで、外観、手触り、機能的にもウールと同等かそれ以上のヴィーガンウールの開発を奨励することで、羊を救済する意図がある。

PETAが公開したウール工場での映像で、労働者が羊を殴ったり、踏みつけたり、傷を負わせたりする行為が確認されている。私たちがふだん着用しているウール素材のコートや帽子、靴下などはこうした動物の犠牲の上に成り立っている可能性がある。

また環境負荷の観点でも、問題がある。地球温暖化をもたらすメタンガスを、羊は牛に次いで2番目に多く排出する動物だ。工業的に飼育される羊の膨大な糞尿が、水や土地、空気を汚染し、生態系に悪影響を与える懸念もある。

ある研究によると、羊の毛に潜む寄生虫を駆除するために使用される「ディップ」と呼ばれる化学物質が、近隣の水を汚染し、生息する魚の命を奪う可能性があるという。

「植物や果物、麻や大豆に至るまで、アニマルフリーの衣類やアクセサリーづくりについて、選択肢は無限にある。我々が動物を愛護し、畜産による環境破壊を食い止めるのに有用なイノベーションを促進できることを光栄に思う」とPETAヨーロッパの副部長、ミミ・ベケチ氏は述べている。

急速に拡大するバイオマテリアルの開発

ファッション業界では現在、カーボンフットプリントを抑えられるバイオマテリアルに対する関心が高まっている。とりわけ、キノコの菌糸体を原料にした代替レザーは、いま多くのブランドが注目しているヴィーガン素材のひとつ。ステラ マッカートニー、バレンシアガといった世界の名だたるブランドで採用されている。

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ファーフリーや代替レザーの開発は進んでいるが、ウールの代替となる新素材はまだ代表的なものが生まれていないようだ。PETAの「ヴィーガンウールチャレンジ」は、このような業界の現状を背景に、ヴィーガンウールの開発を促進する目的であると考えられる。

※掲載している情報は、2022年12月12日時点のものです。

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